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ツケ
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社員食堂のランチは二種類。今日のランチは鰺フライか、豚の生姜焼きだった。香子は鰺フライを選択して、他の社員たちのテーブルにつく。
社員食堂は一階。カフェと併設されていて、そのカフェで働く男が可愛いと評判だったが、夜はゲイバーで働いていることもあり女性社員からの誘いはない。
周りは当然だが他部署の社員ばかりで、同じようなメニューの食事をしている。
「明神さんさ、これから編集長とかなったらさらに婚期遅れない?」
「へ?」
鰺フライにソースをかけて、香子は向かいに座っている女性の顔を見る。
「だから結婚。あたしと同期で入ってるんだからさ、二十八でしょ?三十までには結婚したいじゃん。ってことはもうあまり遊んでる暇ないと思うよ。」
合コンも遊びに見えたのか。香子はそう思いながら鰺フライを切り分ける。
「んー。結婚はまだ良いかな。」
「マジで?年齢重ねると、めっちゃ変な男しか寄ってこなくなるしさ、困るじゃん。」
「でもさぁ……あまり結婚、結婚って大騒ぎしたくないし。」
「あーあ。梶原さんはいいよね。秋に結婚でしょ?」
その声に、梶原といわれた女は少し笑う。他部署だが同期で入っている男とのつきあいは二、三年ほどになる。クリスマスにプロポーズされて、秋に結婚式をするらしいのだ。
「ってか明神さんってもしかしてまだ編集長のことを想ってる?」
その言葉に思わず味噌汁をこぼしそうになった。図星だからだ。
「やだー。編集長と付き合ってたのってどれくらい前だっけ。」
「一年前くらい?ほら、花火の時に告白したから。」
「あぁ。そうだった。でも編集長って、最近あれじゃん。」
「あぁ。徳成さんでしょ?」
清子の名前に思わず端を握る手に力が入る。
「男性社員でさ、トトカルチョしてるよ。」
「え?」
「久住さんも狙ってるじゃん。だからどっちに転ぶかって。」
「やーだ。競馬じゃないんだから。」
すると香子は冷静に言う。史が清子を想っていることなど見たらわかるが、それを認めたくないと思う自分もいたから。
「どっちにも転ばないこともあるわ。」
「え?」
ご飯を口に運び、香子は少し笑う。
「だって契約一年でしょ?春にはここをいなくなるわけだし。」
清子は来年の春にいなくなる。だからその恋は一時的なものと想って欲しいのだ。清子もそうやって一人で生きてきたのだから、これからもそうするのだろう。
というか、史を取られたくない。その一心だった。
「そうよねぇ。ずっと男がいなかったわけだし、今更恋人なんかって思ってるかもね。」
女性社員はそう言って納得するようにうなずいた。
「でも磨いたら超綺麗になると思うよ。そうだ。梶原さん。今度のビアガーデンさ、徳成さんも来るの?」
「まだ話、聞いてない。」
「浴衣でも着させようよ。そしたら思わずどっちかが襲ってくるって。」
その言葉に香子は少しイラつきを覚えた。だが女性が少ない職場で反論したら、自分が痛い目に遭うかもしれない。だから黙っておいたが、これ以上話をしたくなかった。
「あはっ。トトカルチョの結果を早く見たいってこと?」
陽気に無責任な言葉を口にする女に、別の女性社員は、口を尖らせていった。
「だってさ、どっちにも付かずにただ言い寄られてるだけって、中途半端じゃん。見てる方はいらっとするよ。」
その言葉に香子は箸を止めた。その考えはなかったから。しかしその女性社員がいらっとしているのも何となくわかる。男を手玉に取っているように見えなくもないのだ。
そして食事を終えて、自分たちの階に戻ろうとしたときだった。玄関ドアから一人の男が入ってきた。それは香子の周りの女性社員が見ほれるような男だった。
「何?どこのアイドル?」
「かっこいい。ハーフ?」
その声に香子もその男を見た。するとそこには慎吾の姿がある。受付の女性は頬を赤くしながらも、決まりだからと首を横に振っていた。その様子に思わず香子は慎吾に声をかける。
「慎吾さん。」
「あぁ……あんた……AVの……。」
AVという単語に、女性社員たちが顔を見合わせた。もちろん女性社員もそれは知っている話だが、表立って香子にそのことを言ったことはない。香子も気にしていたことだが、慎吾が口に蓋が出来ないのは前に会ったときからからだ。もう怒る気にもなれない。
「ここって約束かなんかがないと、中に入れないのか?」
慎吾も出来ればこんな女に声をかけたくはなかった。だが状況が状況だ。声をかけずにはいられないのだろう。
「えぇ。あの端末で名前をいれて、そしたらパスが発行される。そのパスをかざせばゲートが開くの。」
「面倒だな。しかも約束もしてねぇし。」
そう言って慎吾は持っていたバッグから一枚の紙を取り出して、それを横に四つに折る。
「これ、清子に渡しておいて。」
「徳成さんに?渡せばわかる?」
「あぁ。あとで清子にはメッセージ送っておくから。」
そう言って慎吾は携帯電話を取り出して時間を見る。
「やばっ。時間ねぇし。じゃあ、頼んだ。」
そう言って慎吾はまた社外に出て行く。その様子に他の社員が、香子に近づいて聞いてきた。
「何?明神さんの知り合い?」
「うん。少し前に……。」
「しかも徳成さんを呼び捨てで呼ぶなんて……何?あの人が徳成さんの彼氏?」
「違うみたいだけど。」
渡された無造作に折られた紙を開いてみる。それを他の社員も見た。
「何?これ。講習会のリスト?」
「徳成さんは休みの度にこういう勉強会に行ってるみたいだわ。」
そんな話をしていた。というか清子と慎吾はそんな話しかしていないように見えたから、男と女というにはほど遠い。良くて戦友という感じだろうか。
「すごいな。休みの日くらいゆっくり寝たいって思わないのかな。」
清子は休息や食事やセックスよりも、こういうことをしている方が楽なのだろう。根っからの仕事人間なのだ。
そのころ清子はパソコンをスリープ状態にして、小説を読んでいた。最近読み始めたのは、今度映画化になるという小説。ジャンルは官能小説だし濡れ場がふんだんに織り込まれているが、それでも売れているし清子も夢中になれるのは、それだけストーリーがしっかりしているからだろう。
小さい頃に両親と離ればなれになった少女が、一人で小説家をしていた叔父のところに引き取られ叔父に恋をする。叔父も少女を想っていたのだが、立場上、手を出すことは出来ない。そして年頃になった少女が結婚したいと連れてきたのは自分のライバルでもあった男だった。
だがその本も中盤にさしかかった時、本を読みながら読みながらつい首ががくんと前に垂れる。その様子を見て、いつもこのオフィスに残っている男が笑っていた。
「お疲れだねぇ。徳成さん。」
眼鏡を外して目をこする清子は、ぐっと伸びをした。
「最近残業も多いから……。」
「少し仮眠した方が良いよ。まだ時間があるし、仮眠室があるのわかる?」
「いいんですかね。派遣がそんなことして。」
「かまわないよ。校了になったら朝まで仕事して仮眠して仕事をする人が多いし。タイマーかけて寝てなよ。」
確かにこのままでは仕事にならないかもしれない。それなら十分か二十分、仮眠を取ったほうが午後の仕事に集中できる。
「じゃあ、そうしようかな。」
バックを手にして、清子はふらふらとオフィスを出て行った。そして男は携帯電話を開く。男は先日子供が産まれて、妻から子供の目が開いたと画像付きのメッセージが送られてきたのだ。
「可愛いな。」
画面には白い肌のぽちゃっとした赤ちゃんが載っている。その画像を見て少し笑いぽつりとそう言うと、携帯電話をしまう。帰れば見れるし世話をするのだが、こうやっていつも妻はかいがいしく子供の写真を送ってくるのだ。そのとき香子たちがオフィスに戻ってきた。
「あれ?徳成さんいないんですか?」
その声に男は香子の方を振り返る。
「ちょっと疲れているみたいだったから、仮眠室に行ったよ。」
「珍しいですね。頼まれたことがあるんですけど……ま、良いか。あとで渡そうっと。」
そう言って香子も自分のデスクに戻った。その言葉に、オフィスに戻ろうとした史の足が、仮眠室へ向かっていく。
社員食堂は一階。カフェと併設されていて、そのカフェで働く男が可愛いと評判だったが、夜はゲイバーで働いていることもあり女性社員からの誘いはない。
周りは当然だが他部署の社員ばかりで、同じようなメニューの食事をしている。
「明神さんさ、これから編集長とかなったらさらに婚期遅れない?」
「へ?」
鰺フライにソースをかけて、香子は向かいに座っている女性の顔を見る。
「だから結婚。あたしと同期で入ってるんだからさ、二十八でしょ?三十までには結婚したいじゃん。ってことはもうあまり遊んでる暇ないと思うよ。」
合コンも遊びに見えたのか。香子はそう思いながら鰺フライを切り分ける。
「んー。結婚はまだ良いかな。」
「マジで?年齢重ねると、めっちゃ変な男しか寄ってこなくなるしさ、困るじゃん。」
「でもさぁ……あまり結婚、結婚って大騒ぎしたくないし。」
「あーあ。梶原さんはいいよね。秋に結婚でしょ?」
その声に、梶原といわれた女は少し笑う。他部署だが同期で入っている男とのつきあいは二、三年ほどになる。クリスマスにプロポーズされて、秋に結婚式をするらしいのだ。
「ってか明神さんってもしかしてまだ編集長のことを想ってる?」
その言葉に思わず味噌汁をこぼしそうになった。図星だからだ。
「やだー。編集長と付き合ってたのってどれくらい前だっけ。」
「一年前くらい?ほら、花火の時に告白したから。」
「あぁ。そうだった。でも編集長って、最近あれじゃん。」
「あぁ。徳成さんでしょ?」
清子の名前に思わず端を握る手に力が入る。
「男性社員でさ、トトカルチョしてるよ。」
「え?」
「久住さんも狙ってるじゃん。だからどっちに転ぶかって。」
「やーだ。競馬じゃないんだから。」
すると香子は冷静に言う。史が清子を想っていることなど見たらわかるが、それを認めたくないと思う自分もいたから。
「どっちにも転ばないこともあるわ。」
「え?」
ご飯を口に運び、香子は少し笑う。
「だって契約一年でしょ?春にはここをいなくなるわけだし。」
清子は来年の春にいなくなる。だからその恋は一時的なものと想って欲しいのだ。清子もそうやって一人で生きてきたのだから、これからもそうするのだろう。
というか、史を取られたくない。その一心だった。
「そうよねぇ。ずっと男がいなかったわけだし、今更恋人なんかって思ってるかもね。」
女性社員はそう言って納得するようにうなずいた。
「でも磨いたら超綺麗になると思うよ。そうだ。梶原さん。今度のビアガーデンさ、徳成さんも来るの?」
「まだ話、聞いてない。」
「浴衣でも着させようよ。そしたら思わずどっちかが襲ってくるって。」
その言葉に香子は少しイラつきを覚えた。だが女性が少ない職場で反論したら、自分が痛い目に遭うかもしれない。だから黙っておいたが、これ以上話をしたくなかった。
「あはっ。トトカルチョの結果を早く見たいってこと?」
陽気に無責任な言葉を口にする女に、別の女性社員は、口を尖らせていった。
「だってさ、どっちにも付かずにただ言い寄られてるだけって、中途半端じゃん。見てる方はいらっとするよ。」
その言葉に香子は箸を止めた。その考えはなかったから。しかしその女性社員がいらっとしているのも何となくわかる。男を手玉に取っているように見えなくもないのだ。
そして食事を終えて、自分たちの階に戻ろうとしたときだった。玄関ドアから一人の男が入ってきた。それは香子の周りの女性社員が見ほれるような男だった。
「何?どこのアイドル?」
「かっこいい。ハーフ?」
その声に香子もその男を見た。するとそこには慎吾の姿がある。受付の女性は頬を赤くしながらも、決まりだからと首を横に振っていた。その様子に思わず香子は慎吾に声をかける。
「慎吾さん。」
「あぁ……あんた……AVの……。」
AVという単語に、女性社員たちが顔を見合わせた。もちろん女性社員もそれは知っている話だが、表立って香子にそのことを言ったことはない。香子も気にしていたことだが、慎吾が口に蓋が出来ないのは前に会ったときからからだ。もう怒る気にもなれない。
「ここって約束かなんかがないと、中に入れないのか?」
慎吾も出来ればこんな女に声をかけたくはなかった。だが状況が状況だ。声をかけずにはいられないのだろう。
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「面倒だな。しかも約束もしてねぇし。」
そう言って慎吾は持っていたバッグから一枚の紙を取り出して、それを横に四つに折る。
「これ、清子に渡しておいて。」
「徳成さんに?渡せばわかる?」
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そう言って慎吾は携帯電話を取り出して時間を見る。
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そう言って慎吾はまた社外に出て行く。その様子に他の社員が、香子に近づいて聞いてきた。
「何?明神さんの知り合い?」
「うん。少し前に……。」
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「違うみたいだけど。」
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「何?これ。講習会のリスト?」
「徳成さんは休みの度にこういう勉強会に行ってるみたいだわ。」
そんな話をしていた。というか清子と慎吾はそんな話しかしていないように見えたから、男と女というにはほど遠い。良くて戦友という感じだろうか。
「すごいな。休みの日くらいゆっくり寝たいって思わないのかな。」
清子は休息や食事やセックスよりも、こういうことをしている方が楽なのだろう。根っからの仕事人間なのだ。
そのころ清子はパソコンをスリープ状態にして、小説を読んでいた。最近読み始めたのは、今度映画化になるという小説。ジャンルは官能小説だし濡れ場がふんだんに織り込まれているが、それでも売れているし清子も夢中になれるのは、それだけストーリーがしっかりしているからだろう。
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だがその本も中盤にさしかかった時、本を読みながら読みながらつい首ががくんと前に垂れる。その様子を見て、いつもこのオフィスに残っている男が笑っていた。
「お疲れだねぇ。徳成さん。」
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「最近残業も多いから……。」
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「いいんですかね。派遣がそんなことして。」
「かまわないよ。校了になったら朝まで仕事して仮眠して仕事をする人が多いし。タイマーかけて寝てなよ。」
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「あれ?徳成さんいないんですか?」
その声に男は香子の方を振り返る。
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