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鍵
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結局史は自分の家に帰っていく。スーツケースを車に載せて、夜の町を走っていった。史の家に近づくにつれて、街灯の明かりが強くなり昼間のような明るさだと思う。
「すげぇな。俺、あんまりこの辺を夜来ないけど、こうピンクとか電飾ばっかだと目がチカチカする。」
「疲れもあるんだろうな。ん……その二つ目の信号を右だ。」
「了解。」
右の車線にはいると、ウィンカーをつけた。
「明日の朝にでも清子のところに行くのか?」
「……そうだな。」
史がすんなりと清子の所を出たのは、清子が鍵を渡してくれたからだ。予備の部屋の鍵だ。明日、起きたら来て欲しいということだろう。確かに今日はお互い疲れている。清子が史の家に来るのならわかるが、史があの部屋で寝るのはお互いきついかもしれない。
「一緒に住むかな。」
「え?」
「俺の家に清子を呼べば、何の問題もない。」
元々二人で住んでいた部屋だ。文句は言わせない。特に晶には。
「ふーん。別にいいんじゃねぇ?」
「いいのか?」
「そっちが恋人なんだろうし、別にグダグダ言うつもりはねぇよ。でも……あんたの自己中なの、清子がくたばらなけりゃ良いと思うけどな。」
「……。」
「俺が行かなきゃ、セックスしてたのか?」
「そうかもしれないな。あんな姿見たらたまらない。」
「姿?」
「適当に取ったって言ってたけど、黒い下着だ。」
その言葉に思わず煙草がむせそうになった。まさか自分が買っていったモノをつけていたとは思っても見なかったのだ。
「想像するなよ。」
「いいや。意外だと思ったんだよ。あいつ、飾るの嫌がるからさ、そんな機能性がないようなモノを身につけると思ってなかったな。ん……そこだっけ?」
見覚えのあるアダルトグッズの店の看板が見える。その中までは入らなかった。車が行けないことはないが、一方通行で面倒だからだ。
路肩に車を停めると史は車を降りて、後部座席からスーツケースを取り出した。
「久住。」
煙草を消した晶は呼ばれた史の方をみる。
「んだよ。」
「このまま清子の所に行こうなんて思うなよ。今日あいつの前で言ったことは、お前にも言えるんだからな。」
疲労しているのだ。だから帰ったのに、このまままた清子の所へ行きそうだと思って釘を差した。
「へぇへぇ。わかってるよ。」
心の中で舌打ちをした。なにもかもお見通しなのかもしれない。確かに史を置いたら、そのまま清子の所へ行こうと思っていた。連れ去りたいと思っていたのだから。
目を覚ますと、周りは相当明るくなっているような気がした。カーテンの隙間から漏れる光が強かったからだ。備え付けの時計を見ると、いつもよりも随分眠っていたようだ。
清子は布団から体を起こすと、ぐっと伸びをする。夕べは史と晶がやってきて食事をして風呂に入ったあと、二人は帰っていった。数日間史とこの部屋で過ごしたが、やはりこの狭いベッドでは寝返りすらうてない。疲れは徐々に蓄積されて、思うように疲れが取れていなかったのだろう。
「はぁ……。」
あくびをして周りを見渡す。史の姿はない。鍵を渡していたが、まだ眠っているのかも知れないのだ。史はさらに寝ていないのだから、もっとゆっくり休ませてあげたい。そう思いながら、テーブルで充電させていた携帯電話を手にする。数件のメッセージは企業からのモノ。この年末で手が回らないのにトラブルがあったらしく、夕べ清子に聞いてきていたのだ。その対処を教えたので、お礼のメッセージが着ている。
そんなに立派なことをしたわけではない。そう思いながら、キッチンへ向かうと、湯沸かし器に水を入れてスイッチを入れた。そのとき携帯電話に着信が入る。
急いで携帯を手にすると、その主は晶だった。
「もしもし。……さっき起きました。え……あ……そうですか。でしたら、こちらから連絡をします。はい……持ってきていただけると助かりますが、こちらから行っても良いですよ。」
史は夕べ晶の車で家に帰った。だがその車の中に鍵を忘れていたらしい。それは清子の家の鍵だろう。それを渡したいが、史に連絡を入れても繋がらないらしい。なので、清子に預けたいのだという。
家にまた来られるのは困る。清子は駅で、晶と待ち合わせをすることにした。
お湯の沸いた湯沸かし器からポットにお湯を入れると、そのまま服を着替えて身支度をする。髪を結ぶと、いつもの清子に戻った気がした。
そのとき部屋のチャイムが鳴る。ダウンのコートを着たときだった。
「はい。」
ドアを開けると晶がいた。
「よう。」
「駅で待ち合わせをするといってたんですけど。」
「けど、もう近くにいたしな。勝手には入らなかっただけありがたいと思えよ。」
そうかも知れない。晶の性格なら、土足で家に入り込むかも知れないと思ったのだ。
「渡すモノがあるんだよ。中に入れて。」
「別に良いですけど……なんですか?。」
「それに超寒かったし、ちょっと休憩させて。」
仕事をしていたのだろうか。晶の手にはいつもの黒いバッグが握られている。
「どうぞ。」
清子は体を避けて、晶を家に上がらせる。靴を脱ぎっぱなしで晶は家に上がると、テーブルに置いていたリモコンを手にした。
「寒くて外と変わらない。エアコンつけて良い?」
「……別に良いですけど。」
まるで自分の家のようにバッグを置いて、エアコンのスイッチを入れる。
「史に連絡を入れたんですか?」
「入れたよ。電話を何回かして、メッセージも入れてる。」
まだ寝ているのかもしれない。それだけ疲れているのだろう。
「コーヒーで良いですか?」
「あぁ。そうだった。お前にやりたいもんがあったんだっけ。」
ソファーに置いていた自分のバッグを開けて、晶は無造作にビニールに積めた緑色のモノを清子に手渡す。
「茶葉ですか?」
「そう。あの町のヤツ。まだ茶を作っている家もあってさ、兄貴が送ってきたんだ。」
よく見ると、値札もある。おそらく物産展で売っているものだろう。
「夏生ってほら、俺らが帰るときにきた海女がいるだろ?」
「あぁ。」
元AV女優だ。史は知っていたが、知らないふりをした。それが優しさだと思う。
「今年はあいつが手伝ったから、結構量があるらしいよ。」
「それは良かったですね。」
コーヒーを入れようと思ったが、このお茶を飲みたい。久しぶりに美味しいお茶が飲みたいと思う。
ポットを棚から取り出し、茶葉を茶を入れる袋に入れた。そしてお湯を注ぐ。ふわんとそれだけで良い香りがした。
そしてカップにお茶を注ぐと、ソファーでカメラを取り出して写真をチェックしている晶の前に置いた。
「どうぞ。」
「お。悪いね。」
カメラを片手にお茶を口に入れる。ペットボトルのお茶ではこうはいかないだろう。良い匂いがする。
「これに慣れると、ペットボトルのお茶なんかクソだよな。」
「喉を潤すだけなら良いですよ。」
わざとソファーに座らなかった。そしてお茶を口に入れると、清子は晶を見下ろした。
「鍵をもらえますか?」
すると晶はポケットから鍵を取り出して、清子に見せる。
「なぁ。これ、合い鍵作って良い?」
「駄目です。」
「けち。でももう作ったし。」
「は?」
驚いて晶をみる。すると晶は少し笑っていった。
「冗談だよ。そこまで常識は外れてないから。」
鍵を手渡すと、晶はまたカメラの画面に視線を落とした。今日撮ってきたモノをチェックしているのだ。
「何を撮ってきたんですか?」
「んー。A区のさ。年末の市場。毎年すげぇから。」
そう言って、カメラの画面を見せる。立っている位置では、画面が小さくて見えない。せっかく見せてくれたのだ。清子は仕方なく、ソファーに座ると、その画面を見る。
「……すごい人ですね。しかもこんな早朝に。」
周りは薄暗いほどの暗さだ。夜も明けきらないうちからこんなに買いだめをするのだろう。
「安いしさ。蟹とかエビとか。」
「正月で食べたいんですか?」
「お前んちは、食べなかったのか?」
「正月だからといっておせちも作りませんでしたから。」
「そっか……。だったらさ、今からスーパー行かない?」
「え?」
「編集長も来るんだろ?ちょっと正月らしいことくらい用意してたら?」
「やめときます。」
「何で?」
「したこともないことを用意していると、疑われますから。」
お茶を口に入れて、清子は画面から目を離す。
史は疑っていない。だから、これ以上裏切りたくなかった。
「すげぇな。俺、あんまりこの辺を夜来ないけど、こうピンクとか電飾ばっかだと目がチカチカする。」
「疲れもあるんだろうな。ん……その二つ目の信号を右だ。」
「了解。」
右の車線にはいると、ウィンカーをつけた。
「明日の朝にでも清子のところに行くのか?」
「……そうだな。」
史がすんなりと清子の所を出たのは、清子が鍵を渡してくれたからだ。予備の部屋の鍵だ。明日、起きたら来て欲しいということだろう。確かに今日はお互い疲れている。清子が史の家に来るのならわかるが、史があの部屋で寝るのはお互いきついかもしれない。
「一緒に住むかな。」
「え?」
「俺の家に清子を呼べば、何の問題もない。」
元々二人で住んでいた部屋だ。文句は言わせない。特に晶には。
「ふーん。別にいいんじゃねぇ?」
「いいのか?」
「そっちが恋人なんだろうし、別にグダグダ言うつもりはねぇよ。でも……あんたの自己中なの、清子がくたばらなけりゃ良いと思うけどな。」
「……。」
「俺が行かなきゃ、セックスしてたのか?」
「そうかもしれないな。あんな姿見たらたまらない。」
「姿?」
「適当に取ったって言ってたけど、黒い下着だ。」
その言葉に思わず煙草がむせそうになった。まさか自分が買っていったモノをつけていたとは思っても見なかったのだ。
「想像するなよ。」
「いいや。意外だと思ったんだよ。あいつ、飾るの嫌がるからさ、そんな機能性がないようなモノを身につけると思ってなかったな。ん……そこだっけ?」
見覚えのあるアダルトグッズの店の看板が見える。その中までは入らなかった。車が行けないことはないが、一方通行で面倒だからだ。
路肩に車を停めると史は車を降りて、後部座席からスーツケースを取り出した。
「久住。」
煙草を消した晶は呼ばれた史の方をみる。
「んだよ。」
「このまま清子の所に行こうなんて思うなよ。今日あいつの前で言ったことは、お前にも言えるんだからな。」
疲労しているのだ。だから帰ったのに、このまままた清子の所へ行きそうだと思って釘を差した。
「へぇへぇ。わかってるよ。」
心の中で舌打ちをした。なにもかもお見通しなのかもしれない。確かに史を置いたら、そのまま清子の所へ行こうと思っていた。連れ去りたいと思っていたのだから。
目を覚ますと、周りは相当明るくなっているような気がした。カーテンの隙間から漏れる光が強かったからだ。備え付けの時計を見ると、いつもよりも随分眠っていたようだ。
清子は布団から体を起こすと、ぐっと伸びをする。夕べは史と晶がやってきて食事をして風呂に入ったあと、二人は帰っていった。数日間史とこの部屋で過ごしたが、やはりこの狭いベッドでは寝返りすらうてない。疲れは徐々に蓄積されて、思うように疲れが取れていなかったのだろう。
「はぁ……。」
あくびをして周りを見渡す。史の姿はない。鍵を渡していたが、まだ眠っているのかも知れないのだ。史はさらに寝ていないのだから、もっとゆっくり休ませてあげたい。そう思いながら、テーブルで充電させていた携帯電話を手にする。数件のメッセージは企業からのモノ。この年末で手が回らないのにトラブルがあったらしく、夕べ清子に聞いてきていたのだ。その対処を教えたので、お礼のメッセージが着ている。
そんなに立派なことをしたわけではない。そう思いながら、キッチンへ向かうと、湯沸かし器に水を入れてスイッチを入れた。そのとき携帯電話に着信が入る。
急いで携帯を手にすると、その主は晶だった。
「もしもし。……さっき起きました。え……あ……そうですか。でしたら、こちらから連絡をします。はい……持ってきていただけると助かりますが、こちらから行っても良いですよ。」
史は夕べ晶の車で家に帰った。だがその車の中に鍵を忘れていたらしい。それは清子の家の鍵だろう。それを渡したいが、史に連絡を入れても繋がらないらしい。なので、清子に預けたいのだという。
家にまた来られるのは困る。清子は駅で、晶と待ち合わせをすることにした。
お湯の沸いた湯沸かし器からポットにお湯を入れると、そのまま服を着替えて身支度をする。髪を結ぶと、いつもの清子に戻った気がした。
そのとき部屋のチャイムが鳴る。ダウンのコートを着たときだった。
「はい。」
ドアを開けると晶がいた。
「よう。」
「駅で待ち合わせをするといってたんですけど。」
「けど、もう近くにいたしな。勝手には入らなかっただけありがたいと思えよ。」
そうかも知れない。晶の性格なら、土足で家に入り込むかも知れないと思ったのだ。
「渡すモノがあるんだよ。中に入れて。」
「別に良いですけど……なんですか?。」
「それに超寒かったし、ちょっと休憩させて。」
仕事をしていたのだろうか。晶の手にはいつもの黒いバッグが握られている。
「どうぞ。」
清子は体を避けて、晶を家に上がらせる。靴を脱ぎっぱなしで晶は家に上がると、テーブルに置いていたリモコンを手にした。
「寒くて外と変わらない。エアコンつけて良い?」
「……別に良いですけど。」
まるで自分の家のようにバッグを置いて、エアコンのスイッチを入れる。
「史に連絡を入れたんですか?」
「入れたよ。電話を何回かして、メッセージも入れてる。」
まだ寝ているのかもしれない。それだけ疲れているのだろう。
「コーヒーで良いですか?」
「あぁ。そうだった。お前にやりたいもんがあったんだっけ。」
ソファーに置いていた自分のバッグを開けて、晶は無造作にビニールに積めた緑色のモノを清子に手渡す。
「茶葉ですか?」
「そう。あの町のヤツ。まだ茶を作っている家もあってさ、兄貴が送ってきたんだ。」
よく見ると、値札もある。おそらく物産展で売っているものだろう。
「夏生ってほら、俺らが帰るときにきた海女がいるだろ?」
「あぁ。」
元AV女優だ。史は知っていたが、知らないふりをした。それが優しさだと思う。
「今年はあいつが手伝ったから、結構量があるらしいよ。」
「それは良かったですね。」
コーヒーを入れようと思ったが、このお茶を飲みたい。久しぶりに美味しいお茶が飲みたいと思う。
ポットを棚から取り出し、茶葉を茶を入れる袋に入れた。そしてお湯を注ぐ。ふわんとそれだけで良い香りがした。
そしてカップにお茶を注ぐと、ソファーでカメラを取り出して写真をチェックしている晶の前に置いた。
「どうぞ。」
「お。悪いね。」
カメラを片手にお茶を口に入れる。ペットボトルのお茶ではこうはいかないだろう。良い匂いがする。
「これに慣れると、ペットボトルのお茶なんかクソだよな。」
「喉を潤すだけなら良いですよ。」
わざとソファーに座らなかった。そしてお茶を口に入れると、清子は晶を見下ろした。
「鍵をもらえますか?」
すると晶はポケットから鍵を取り出して、清子に見せる。
「なぁ。これ、合い鍵作って良い?」
「駄目です。」
「けち。でももう作ったし。」
「は?」
驚いて晶をみる。すると晶は少し笑っていった。
「冗談だよ。そこまで常識は外れてないから。」
鍵を手渡すと、晶はまたカメラの画面に視線を落とした。今日撮ってきたモノをチェックしているのだ。
「何を撮ってきたんですか?」
「んー。A区のさ。年末の市場。毎年すげぇから。」
そう言って、カメラの画面を見せる。立っている位置では、画面が小さくて見えない。せっかく見せてくれたのだ。清子は仕方なく、ソファーに座ると、その画面を見る。
「……すごい人ですね。しかもこんな早朝に。」
周りは薄暗いほどの暗さだ。夜も明けきらないうちからこんなに買いだめをするのだろう。
「安いしさ。蟹とかエビとか。」
「正月で食べたいんですか?」
「お前んちは、食べなかったのか?」
「正月だからといっておせちも作りませんでしたから。」
「そっか……。だったらさ、今からスーパー行かない?」
「え?」
「編集長も来るんだろ?ちょっと正月らしいことくらい用意してたら?」
「やめときます。」
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