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火祭り
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茂が風呂から上がり、史が風呂に入っていった。清子はそのまま茂の頬の手当をすると救急箱を閉じる。
「朝には引いていると良いですね。」
「刑務所に入っていたときは、こんな怪我は日常だったけどね。」
「そうなんですか?」
「あぁ。ヤクザ崩れとか、半グレとか、そんな人ばかりだった。最初の方は訳の分からないことで文句を付けられて、看守の居ないときにリンチされたこともあったしね。」
「生きてんのが、不思議だな。」
「まぁ……やられっぱなしじゃなかったからかな。」
ずっとバスケをしていたので、喧嘩は強くない。だが刑務所によってはボランティアで空手や柔道を学ぶことも出来るから、それを素直に学んだのだろう。そもそも運動神経が悪いわけではないし、真面目な人だから素直に学べたのだ。
「きっと俺は一人で生きていくと思ってた。だからいつか晶に言われたように、誰にも負けないという強みを持とうと思った。」
それは前に清子が言った言葉だった。それを覚えていたのだろうか。今考えるとずいぶん偉そうなことを言ったものだ。
「でもこれからは自分だけじゃない。守りたいものが出来ると強くなれると思うから。」
「夏生さんですか。」
「あぁ。こう見えてね、出所したとき近所から偏見の目でずっと見られてた。でも夏生ちゃんは最初からそんなことを気にしていなかった。それが楽だったな。」
いつからか女としてみていた。AV女優だったことを知っていたから、童貞の自分には合わないとずっと思っていたのに想いを押さえることが出来なかったのだ。
「幸せですね。」
ぽつりと清子が言うと、晶はお茶を清子に差し出す。
「誰でも幸せになれる権利はあるだろ。お前だって別に幸せになっちゃいけねぇってことはないんだから。」
「そうですね。」
お茶を受け取ると、それを一口飲んだ。今日、部屋で晶と飲んだお茶と一緒の味がする。
「清子ちゃん。あのさ……。」
史はまだ風呂から出てこないだろう。今がチャンスだ。はっきりさせておいた方が良いことがある。
「晶と寝たの?」
まっすぐに聞いてくる茂の言葉に、清子は思わずお茶を噴きそうになった。
「え……。」
すると晶は意地悪そうに笑った。
「昔の話だよ。俺らが高校生くらいのとき。あのとき……家もぼろぼろだったじゃん。親父は仕事ばっかで帰ってこねぇし、あんたは祖母さんの介護ばっかしてた。でも限界だったよな。こいつの家も……。」
「そんな昔のことじゃない。それに清子ちゃんに聞いているんだ。お前は黙っていろ。」
思わずぐっと言葉に詰まる。茂がこんなに荒い口調で晶をたしなめることがなかったからだ。
「清子ちゃんが入社したのは……もう去年か、春だったね。」
「はい。」
「そのときに晶と再会したんだろう?それから何もなかったの?部屋に行っていると聞いているし、デートくらいはしているんだろう?」
「してませんよ。」
「だったら寝たの?」
すると、清子の頬が赤くなる。これでは言葉に出さなくても「した」といっているのも同じだ。その様子に茂はお茶を冷静に飲んだ。
「言っとくけどよ。兄貴。」
「何だ。」
「寝たのは、まだ編集長と付き合う前だ。股が緩いって勘違いしないでくれ。」
「そんなことは思ってないよ。ただ、兄としては少し複雑なんだ。」
湯飲みを置き、茂は清子の方をみる。
「晶は俺だけじゃなくて、了のことも面倒を見ている。だから、同じくらい幸せになって欲しいと思うよ。」
「……俺、別に了のことはそこまで面倒を見た気はねぇけどな。大学行くときの保証人とか、家の保証人とかのサインをしたくらいで。」
「じゃないだろう?」
「は?」
「結婚資金を貯めていると言っていた。」
その言葉に晶はじろっと清子をみる。しかし清子は首を横に振った。
「私、何も言ってないですよ。」
「ったく……じゃあ誰が……。」
「別に誰でも良い。清子ちゃん。きっと君は正木さんの恋人なのだろう。だけど、晶も悪い男じゃないよ。」
「わかります。でも……素直な気持ちで考えると、久住さんとどうこうなることはありません。」
「そう?無理してない?」
「無理なんかしてませんよ。」
「俺には、晶といる方が自然に見えるよ。」
その言葉に、清子はちらっと晶をみる。だが晶は口の端で、少し笑っただけだった。
お茶を飲み過ぎたのかもしれない。晶はそう思いながらぼんやりする頭で起きあがり、外のトイレへ向かう。外は雪が降りそうなくらい冷えていた。それで一気に目が覚める。
そして用を足すと、部屋の中に入っていった。そしていつものように部屋のドアを開けて、布団に潜り込む。そのときふと柔らかくて温かいものが布団に入っているのに気がついた。
「ん?」
するとその柔らかいものはすぐに晶の方をみる。
「久住さん。」
その声は清子だった。驚いて晶はすぐに寝ぼけ眼が一気に目を覚ました。
「清子。何でここに。」
「久住さんの布団はここじゃないでしょ?」
よく見たら、化粧台なんかがある。間違えて祖母の部屋に来てしまったらしい。
「悪い。悪い。わざとじゃねぇよ。」
寝ていたようで、清子の着ていた浴衣が乱れている。暗いながらも薄く障子の向こうで月明かりでともる清子の下着が見えた。白い下着は、シンプルなもので晶が選んだ黒い下着ではない。だがそれに触れるわけにはいかない。なのに手が自然とその胸に触れた。
「やめてください。」
「あ……だから悪いって言ってるじゃん。」
そう言って背中に手を回した。
「こんなところでやめて。」
ぱちんという音がして、ふっと下着の締め付けが楽になった。
「あいつがここで盛るのイヤだけど、俺が盛るのは良いだろ?」
「史が……。」
「疲れ溜まってる。すごい寝てんだもん。ん……お前のここ、すごい柔らかいな。」
緩くなった下着の下から、手が伸びてきた。器用に乳首をなぞられて、思わず声が出そうになる。
「ん……。」
「キスしかしてねぇもんな。これくらいしても良いだろ?」
「駄目。駄目だから。」
体を押しやり、布団から無理矢理晶を出す。そして晶に背を向けた。
「お休み。」
するとその後ろを向いている清子の髪をよけて、首筋に唇を寄せた。わずかにちくっとした痛みを感じて、晶の方を向く。すると晶は意地悪そうに、その唇にそっとキスをした。
「朝には引いていると良いですね。」
「刑務所に入っていたときは、こんな怪我は日常だったけどね。」
「そうなんですか?」
「あぁ。ヤクザ崩れとか、半グレとか、そんな人ばかりだった。最初の方は訳の分からないことで文句を付けられて、看守の居ないときにリンチされたこともあったしね。」
「生きてんのが、不思議だな。」
「まぁ……やられっぱなしじゃなかったからかな。」
ずっとバスケをしていたので、喧嘩は強くない。だが刑務所によってはボランティアで空手や柔道を学ぶことも出来るから、それを素直に学んだのだろう。そもそも運動神経が悪いわけではないし、真面目な人だから素直に学べたのだ。
「きっと俺は一人で生きていくと思ってた。だからいつか晶に言われたように、誰にも負けないという強みを持とうと思った。」
それは前に清子が言った言葉だった。それを覚えていたのだろうか。今考えるとずいぶん偉そうなことを言ったものだ。
「でもこれからは自分だけじゃない。守りたいものが出来ると強くなれると思うから。」
「夏生さんですか。」
「あぁ。こう見えてね、出所したとき近所から偏見の目でずっと見られてた。でも夏生ちゃんは最初からそんなことを気にしていなかった。それが楽だったな。」
いつからか女としてみていた。AV女優だったことを知っていたから、童貞の自分には合わないとずっと思っていたのに想いを押さえることが出来なかったのだ。
「幸せですね。」
ぽつりと清子が言うと、晶はお茶を清子に差し出す。
「誰でも幸せになれる権利はあるだろ。お前だって別に幸せになっちゃいけねぇってことはないんだから。」
「そうですね。」
お茶を受け取ると、それを一口飲んだ。今日、部屋で晶と飲んだお茶と一緒の味がする。
「清子ちゃん。あのさ……。」
史はまだ風呂から出てこないだろう。今がチャンスだ。はっきりさせておいた方が良いことがある。
「晶と寝たの?」
まっすぐに聞いてくる茂の言葉に、清子は思わずお茶を噴きそうになった。
「え……。」
すると晶は意地悪そうに笑った。
「昔の話だよ。俺らが高校生くらいのとき。あのとき……家もぼろぼろだったじゃん。親父は仕事ばっかで帰ってこねぇし、あんたは祖母さんの介護ばっかしてた。でも限界だったよな。こいつの家も……。」
「そんな昔のことじゃない。それに清子ちゃんに聞いているんだ。お前は黙っていろ。」
思わずぐっと言葉に詰まる。茂がこんなに荒い口調で晶をたしなめることがなかったからだ。
「清子ちゃんが入社したのは……もう去年か、春だったね。」
「はい。」
「そのときに晶と再会したんだろう?それから何もなかったの?部屋に行っていると聞いているし、デートくらいはしているんだろう?」
「してませんよ。」
「だったら寝たの?」
すると、清子の頬が赤くなる。これでは言葉に出さなくても「した」といっているのも同じだ。その様子に茂はお茶を冷静に飲んだ。
「言っとくけどよ。兄貴。」
「何だ。」
「寝たのは、まだ編集長と付き合う前だ。股が緩いって勘違いしないでくれ。」
「そんなことは思ってないよ。ただ、兄としては少し複雑なんだ。」
湯飲みを置き、茂は清子の方をみる。
「晶は俺だけじゃなくて、了のことも面倒を見ている。だから、同じくらい幸せになって欲しいと思うよ。」
「……俺、別に了のことはそこまで面倒を見た気はねぇけどな。大学行くときの保証人とか、家の保証人とかのサインをしたくらいで。」
「じゃないだろう?」
「は?」
「結婚資金を貯めていると言っていた。」
その言葉に晶はじろっと清子をみる。しかし清子は首を横に振った。
「私、何も言ってないですよ。」
「ったく……じゃあ誰が……。」
「別に誰でも良い。清子ちゃん。きっと君は正木さんの恋人なのだろう。だけど、晶も悪い男じゃないよ。」
「わかります。でも……素直な気持ちで考えると、久住さんとどうこうなることはありません。」
「そう?無理してない?」
「無理なんかしてませんよ。」
「俺には、晶といる方が自然に見えるよ。」
その言葉に、清子はちらっと晶をみる。だが晶は口の端で、少し笑っただけだった。
お茶を飲み過ぎたのかもしれない。晶はそう思いながらぼんやりする頭で起きあがり、外のトイレへ向かう。外は雪が降りそうなくらい冷えていた。それで一気に目が覚める。
そして用を足すと、部屋の中に入っていった。そしていつものように部屋のドアを開けて、布団に潜り込む。そのときふと柔らかくて温かいものが布団に入っているのに気がついた。
「ん?」
するとその柔らかいものはすぐに晶の方をみる。
「久住さん。」
その声は清子だった。驚いて晶はすぐに寝ぼけ眼が一気に目を覚ました。
「清子。何でここに。」
「久住さんの布団はここじゃないでしょ?」
よく見たら、化粧台なんかがある。間違えて祖母の部屋に来てしまったらしい。
「悪い。悪い。わざとじゃねぇよ。」
寝ていたようで、清子の着ていた浴衣が乱れている。暗いながらも薄く障子の向こうで月明かりでともる清子の下着が見えた。白い下着は、シンプルなもので晶が選んだ黒い下着ではない。だがそれに触れるわけにはいかない。なのに手が自然とその胸に触れた。
「やめてください。」
「あ……だから悪いって言ってるじゃん。」
そう言って背中に手を回した。
「こんなところでやめて。」
ぱちんという音がして、ふっと下着の締め付けが楽になった。
「あいつがここで盛るのイヤだけど、俺が盛るのは良いだろ?」
「史が……。」
「疲れ溜まってる。すごい寝てんだもん。ん……お前のここ、すごい柔らかいな。」
緩くなった下着の下から、手が伸びてきた。器用に乳首をなぞられて、思わず声が出そうになる。
「ん……。」
「キスしかしてねぇもんな。これくらいしても良いだろ?」
「駄目。駄目だから。」
体を押しやり、布団から無理矢理晶を出す。そして晶に背を向けた。
「お休み。」
するとその後ろを向いている清子の髪をよけて、首筋に唇を寄せた。わずかにちくっとした痛みを感じて、晶の方を向く。すると晶は意地悪そうに、その唇にそっとキスをした。
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