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葬儀
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祥吾の死が確認されたのは、それから一時間後のことだった。その間、清子は行き交う医師や看護師の行き交うのをぼんやりと椅子に座り見ていた。その隣には晶がいる。
清子の手には封筒があるが、その中身をみようとはしない。医師が清子を呼び、その顔の上に白い布が被せられてもただ清子は呆然としているだけだった。
それは晶が父を亡くしたときと同じだと思う。晶もまた「自分がしっかりしていないと」と気を必死に張っていた。だがその強さは恐ろしくもろい。
その行き交う人たちを見て、清子は封筒をバッグに入れると携帯電話を取り出した。連絡しないといけない人が沢山いる。手続きもしないといけないところが沢山ある。だがその手が震えて止まらない。
清子の様子を見て、晶は機械類を持って行こうとする看護師に声をかけた。
「悪いけど、機材を持って行ったら十分くらい誰も入らないでくれって言っておいてくれないか。」
「わかりました。遺体をそのあと保存しますから。」
看護師はこんな場面を何度見ているだろう。慣れたものなのかもしれない。
「保存?」
「死体ってのは腐りやすいんだ。ばーさんのときもそうだっただろう。だからドライアイスとか入れて、腐るのを防ぐんだ。」
「すでに結構臭いですけどね。」
「そう言うなよ。」
ドアが閉められて晶は立ち上がると、その脇にあった引き出しやクローゼットを開ける。
「あまり物はないな。着物と下着類か。あとバッグ……あぁ良かった。メモ帳がある。」
ペンとメモ帳を手にするとまた椅子に腰掛けた。
「どこにまず連絡をするんだ。」
「林さんの所と……葬儀社に。」
「そうだな。金の問題もあるだろう。それから?」
「出版社と、新聞社と……それから春川さんにも連絡を付けます。」
春川の名前に晶のペンが止まる。
「あいつに連絡するのか?しても葬儀にも来ないだろうよ。」
「ですが……亡くなったことだけは伝えないと。」
「まぁ、伝えるだけな。お前、忌引きを取るか?」
「そうですね……編集長と、朝倉部長にも伝えておかないと。」
清子は立ち上がると、祥吾がいるそのベッドに近づいた。布団はまだ少し温かい。
「人が死ぬのなんて……あっという間ですね。」
晶も立ち上がると、頭をかいた。
「俺の父親の時は、ここまでがっつりと立ち会わなかったな。仕事してた。女の裸を撮ってるときに、連絡があったんだ。」
「祖母の時も同じでした。あなたと体を重ねたあの次の日……病院へ行っている途中で亡くなったと言ってました。」
すると清子の目に涙が溜まる。それを見て、晶は清子を後ろから抱き寄せた。細かく震えていて、その手に手を重ねてくる。
「あなたが居てくれて良かった。私一人では耐えれそうにない。」
「ずっと居てやるよ。俺がずっと居るから。」
この手ではない。この体ではない。わかっていても清子はその手を離せなかった。
林に連絡をすると、林はすぐに病院へ来てくれた。フットワークが軽い男だと思う。
「本来なら自宅に帰るところなのですが、あの家はまだ抵当に入っていないのでそれも可能です。ですが、墓はこっちですし葬儀社もこっちの方なので手間にはなりますね。」
「もう直接、葬儀社に運ぼう。そっちの方が手間がない。」
「そっちの方が私も良いと思います。近親者のみの葬儀ですし、大がかりなことはおそらく出版社がすると思いますから。こちらで手続きをします。清子さんは、出版社などに連絡をしてください。」
「あ、出版社は葬儀などが終わった後で良いと。」
仕事が速い人だ。それだけ頼りにしている人が居るからかも知らない。だがこの場にいるのは恋人言っていた史ではなく晶なのだ。いぶかしげに倫太郎は晶を見ると、晶は手を振っていった。
「俺も去年、父親が死んだんだよ。それで清子に言ってるだけだ。」
「あぁ。そう言うことですか。でしたら、一度町の方へ帰りますか。身の回りの物も揃えないといけないでしょうし。帰るのだったら、私も一度帰りますから連れていけますよ。」
すると清子は首を横に振った。
「いいえ。葬儀社に居ておきたいです。誰かいないといけないでしょうから。」
やはり奇妙なほどしっかりしている。確かに祥吾とは全く繋がりが無く、付き合いがあるようになったのはつい最近のことだ。それもおそらく祥吾が自分の死期を感じ取って、その世話をして貰おうと繋がりを持っただけの人。
その仕事をただ淡々とこなしているだけに見えた。
祥吾に近親者はいない。やっと見つけたのは清子という弟の子供だけだ。もし祥吾が結婚でもしていたらその心配はなかったのだろうに、祥吾は結婚すると言うことをとても嫌がっていた。祥吾の母が結婚していなかったからかもしれない。
それに結婚はしていたが、続かなかったという。仕事しか見えていなかった結果だ。
葬儀社で手続きを済ませて、一度外に出た時にはもう周りはどっぷりと暗くなっていた。倫太郎はそのまま会社に戻り、必要な手続きをするという。清子はこの葬儀社に泊まるらしい。本来なら、親族などが集まって故人を忍ぶのだろうが、この場は清子だけだ。
倫太郎が行ったあと、清子は葬儀社に戻ろうとした。それを晶が止める。
「お前、ここに泊まるのは良いけどさ、飯とか風呂とかうちで世話になった方が良いよ。」
「え?」
「そこまでここは面倒見てくれないから。明日の食事とかは手続きしてあるんだろ?」
「はぁ……そうですけど。」
「俺もそっちに用事があるから。」
史に連絡はした。史は明日、こちらへ来るらしい。通夜に参列したいのだという。
だが今日は来ないのだ。清子はそう思いながら、葬儀社の人にその旨を伝えると、晶の車に乗り込んだ。
「……。」
バッグの中には封筒がある。祥吾に向けて書かれた父親の手紙。消印は七年前。清子が十八の時だった。
そして晶も今日は茂の家で、母親の手紙を読む。きっとお互いに受け入れられない現実があるのかもしれない。そのとき側にいるのは二人だけだ。だがその手を掴むことは出来ない。掴むべきはこの手ではなく、もっと大きくてしなやかな史の手なのだから。
「下着とか買っとく?」
「そうですね。コンビニにあるでしょうから、寄って貰って良いですか?」
「あぁ。良いよ。」
駅の近くにコンビニが一軒ある。スーパーではそろわずに、なおかつ、二十四時間営業のコンビニはこういうときに便利だ。
駐車場に車を止めて店内にはいると、下着を手にした。あとは何が必要だろうと思いながら店内を見ていると、不意に声をかけられた。
「晶君。」
晶は振り返ると、そこには夏生の姿があった。相変わらずよく焼けていて髪も毛先が金色だ。ぱっと見れば、サーファーに見えないこともない。
「夏生。」
「夏生さんでしょ?フランクなのもほどがあるわ。あ、ねぇ。徳成さんよね?」
「はい。」
「お葬式が急に入ったんでしょ?喪服とか今から取りに帰る?」
そうだった。喪服が必要なのだ。自分の荷物の中には一応あるが、それを取りに帰らないといけなかったか。
「あぁ。そうだったな。どうする?俺のうち、女物の喪服とかねぇよ。」
「ですよね。やっぱり一度帰ろうかな。」
そう言って下着をまた戻そうとした清子に、夏生が声をかける。
「あぁ。そう言うことだったら、うちにあるものでよかったら着ていく?」
「え?」
「海女の仲間に声をかけたら、サイズが合う人一人くらい居るでしょ?借りなよ。」
夏生はそう言って携帯電話を取り出す。
「いつも服って何号くらい?」
「九号か八号ですね。」
「OK。だったら明美さんがいいかも。あ、ストッキングは買ってね。」
夏生はそう言って携帯電話で話し出す。その様子に清子は少し戸惑いを隠せなかった。だが晶が背中に手を置いて言う。
「良かったな。」
「……恵まれてますね。私。」
「お前がしてきたことだろう。お前が困ってんのに手をさしのべないような奴だったら、誰も手なんかさしのべねぇよ。田舎ってのはそう言うところを見てんだから。」
意地悪そうに晶はそう言うと、ストッキングを見ていた。
「黒のストッキングって良いよな。色気があって。」
電話を終えた夏生は、その言葉に晶の頭を軽く叩く。
「何考えてんのよ。あ、徳成さん。靴も用意してくれるって。サイズどれくらい?」
夏生はそう言って笑う。ここに帰って来るにはこういう繋がりを大事にしないといけないのだろう。祖母はそれを一切絶っていた。それはどうしてなのか、清子にはわからなかった。
清子の手には封筒があるが、その中身をみようとはしない。医師が清子を呼び、その顔の上に白い布が被せられてもただ清子は呆然としているだけだった。
それは晶が父を亡くしたときと同じだと思う。晶もまた「自分がしっかりしていないと」と気を必死に張っていた。だがその強さは恐ろしくもろい。
その行き交う人たちを見て、清子は封筒をバッグに入れると携帯電話を取り出した。連絡しないといけない人が沢山いる。手続きもしないといけないところが沢山ある。だがその手が震えて止まらない。
清子の様子を見て、晶は機械類を持って行こうとする看護師に声をかけた。
「悪いけど、機材を持って行ったら十分くらい誰も入らないでくれって言っておいてくれないか。」
「わかりました。遺体をそのあと保存しますから。」
看護師はこんな場面を何度見ているだろう。慣れたものなのかもしれない。
「保存?」
「死体ってのは腐りやすいんだ。ばーさんのときもそうだっただろう。だからドライアイスとか入れて、腐るのを防ぐんだ。」
「すでに結構臭いですけどね。」
「そう言うなよ。」
ドアが閉められて晶は立ち上がると、その脇にあった引き出しやクローゼットを開ける。
「あまり物はないな。着物と下着類か。あとバッグ……あぁ良かった。メモ帳がある。」
ペンとメモ帳を手にするとまた椅子に腰掛けた。
「どこにまず連絡をするんだ。」
「林さんの所と……葬儀社に。」
「そうだな。金の問題もあるだろう。それから?」
「出版社と、新聞社と……それから春川さんにも連絡を付けます。」
春川の名前に晶のペンが止まる。
「あいつに連絡するのか?しても葬儀にも来ないだろうよ。」
「ですが……亡くなったことだけは伝えないと。」
「まぁ、伝えるだけな。お前、忌引きを取るか?」
「そうですね……編集長と、朝倉部長にも伝えておかないと。」
清子は立ち上がると、祥吾がいるそのベッドに近づいた。布団はまだ少し温かい。
「人が死ぬのなんて……あっという間ですね。」
晶も立ち上がると、頭をかいた。
「俺の父親の時は、ここまでがっつりと立ち会わなかったな。仕事してた。女の裸を撮ってるときに、連絡があったんだ。」
「祖母の時も同じでした。あなたと体を重ねたあの次の日……病院へ行っている途中で亡くなったと言ってました。」
すると清子の目に涙が溜まる。それを見て、晶は清子を後ろから抱き寄せた。細かく震えていて、その手に手を重ねてくる。
「あなたが居てくれて良かった。私一人では耐えれそうにない。」
「ずっと居てやるよ。俺がずっと居るから。」
この手ではない。この体ではない。わかっていても清子はその手を離せなかった。
林に連絡をすると、林はすぐに病院へ来てくれた。フットワークが軽い男だと思う。
「本来なら自宅に帰るところなのですが、あの家はまだ抵当に入っていないのでそれも可能です。ですが、墓はこっちですし葬儀社もこっちの方なので手間にはなりますね。」
「もう直接、葬儀社に運ぼう。そっちの方が手間がない。」
「そっちの方が私も良いと思います。近親者のみの葬儀ですし、大がかりなことはおそらく出版社がすると思いますから。こちらで手続きをします。清子さんは、出版社などに連絡をしてください。」
「あ、出版社は葬儀などが終わった後で良いと。」
仕事が速い人だ。それだけ頼りにしている人が居るからかも知らない。だがこの場にいるのは恋人言っていた史ではなく晶なのだ。いぶかしげに倫太郎は晶を見ると、晶は手を振っていった。
「俺も去年、父親が死んだんだよ。それで清子に言ってるだけだ。」
「あぁ。そう言うことですか。でしたら、一度町の方へ帰りますか。身の回りの物も揃えないといけないでしょうし。帰るのだったら、私も一度帰りますから連れていけますよ。」
すると清子は首を横に振った。
「いいえ。葬儀社に居ておきたいです。誰かいないといけないでしょうから。」
やはり奇妙なほどしっかりしている。確かに祥吾とは全く繋がりが無く、付き合いがあるようになったのはつい最近のことだ。それもおそらく祥吾が自分の死期を感じ取って、その世話をして貰おうと繋がりを持っただけの人。
その仕事をただ淡々とこなしているだけに見えた。
祥吾に近親者はいない。やっと見つけたのは清子という弟の子供だけだ。もし祥吾が結婚でもしていたらその心配はなかったのだろうに、祥吾は結婚すると言うことをとても嫌がっていた。祥吾の母が結婚していなかったからかもしれない。
それに結婚はしていたが、続かなかったという。仕事しか見えていなかった結果だ。
葬儀社で手続きを済ませて、一度外に出た時にはもう周りはどっぷりと暗くなっていた。倫太郎はそのまま会社に戻り、必要な手続きをするという。清子はこの葬儀社に泊まるらしい。本来なら、親族などが集まって故人を忍ぶのだろうが、この場は清子だけだ。
倫太郎が行ったあと、清子は葬儀社に戻ろうとした。それを晶が止める。
「お前、ここに泊まるのは良いけどさ、飯とか風呂とかうちで世話になった方が良いよ。」
「え?」
「そこまでここは面倒見てくれないから。明日の食事とかは手続きしてあるんだろ?」
「はぁ……そうですけど。」
「俺もそっちに用事があるから。」
史に連絡はした。史は明日、こちらへ来るらしい。通夜に参列したいのだという。
だが今日は来ないのだ。清子はそう思いながら、葬儀社の人にその旨を伝えると、晶の車に乗り込んだ。
「……。」
バッグの中には封筒がある。祥吾に向けて書かれた父親の手紙。消印は七年前。清子が十八の時だった。
そして晶も今日は茂の家で、母親の手紙を読む。きっとお互いに受け入れられない現実があるのかもしれない。そのとき側にいるのは二人だけだ。だがその手を掴むことは出来ない。掴むべきはこの手ではなく、もっと大きくてしなやかな史の手なのだから。
「下着とか買っとく?」
「そうですね。コンビニにあるでしょうから、寄って貰って良いですか?」
「あぁ。良いよ。」
駅の近くにコンビニが一軒ある。スーパーではそろわずに、なおかつ、二十四時間営業のコンビニはこういうときに便利だ。
駐車場に車を止めて店内にはいると、下着を手にした。あとは何が必要だろうと思いながら店内を見ていると、不意に声をかけられた。
「晶君。」
晶は振り返ると、そこには夏生の姿があった。相変わらずよく焼けていて髪も毛先が金色だ。ぱっと見れば、サーファーに見えないこともない。
「夏生。」
「夏生さんでしょ?フランクなのもほどがあるわ。あ、ねぇ。徳成さんよね?」
「はい。」
「お葬式が急に入ったんでしょ?喪服とか今から取りに帰る?」
そうだった。喪服が必要なのだ。自分の荷物の中には一応あるが、それを取りに帰らないといけなかったか。
「あぁ。そうだったな。どうする?俺のうち、女物の喪服とかねぇよ。」
「ですよね。やっぱり一度帰ろうかな。」
そう言って下着をまた戻そうとした清子に、夏生が声をかける。
「あぁ。そう言うことだったら、うちにあるものでよかったら着ていく?」
「え?」
「海女の仲間に声をかけたら、サイズが合う人一人くらい居るでしょ?借りなよ。」
夏生はそう言って携帯電話を取り出す。
「いつも服って何号くらい?」
「九号か八号ですね。」
「OK。だったら明美さんがいいかも。あ、ストッキングは買ってね。」
夏生はそう言って携帯電話で話し出す。その様子に清子は少し戸惑いを隠せなかった。だが晶が背中に手を置いて言う。
「良かったな。」
「……恵まれてますね。私。」
「お前がしてきたことだろう。お前が困ってんのに手をさしのべないような奴だったら、誰も手なんかさしのべねぇよ。田舎ってのはそう言うところを見てんだから。」
意地悪そうに晶はそう言うと、ストッキングを見ていた。
「黒のストッキングって良いよな。色気があって。」
電話を終えた夏生は、その言葉に晶の頭を軽く叩く。
「何考えてんのよ。あ、徳成さん。靴も用意してくれるって。サイズどれくらい?」
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