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告白
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春川にも清子は葬儀の時に直接会い、冬山祥吾のことを聞いた。春川は亡くなった事についてショックを受けていたが、予想通りだという。最後に会ったのは年末。そのときその前に会った時よりも異様に痩せていたことで、何かしらの病気なのだろうと思っていたのだ。
まだ一緒に暮らしていたときは、病院嫌いの冬山を引きずるようにして病院に連れて行ったが、そのときは初期段階だったのでそれほど大事にはならなかった。
だがそれが再発する可能性は高かった。
それに気が付いて目をそらしていたこと、そして自分の作品を模倣していたことなどは、もう責める気にもなれなかった。死んだものを責めても何もないことは春川にもわかっていたのだから。
次号の文芸誌で、清子と春川の文書が掲載された。
清子は、幼い頃から冬山に会ったことはなく、祖母の葬儀やそれが終わった後にも手を差し伸べられることはなかったと告白した。自分の死期が近づいたときに急に清子に近づき、自分の葬儀をしたこと。だから冬山に関してのことは、清子が知っていることはない。
それを世に知られたとき、清子を追っていたマスコミはさっと手を引いた。これ以上のことは本当に何も知らないのだと信じているのだろう。
そしてそれよりもその紙面で春川は初めて世に顔を出した。それが大きな話題になったことで、清子のことはおざなりになったことも良いことだった。官能小説というジャンルであり、ライターとしても性風俗のことを生々しく書き連ねている春川が、どこにでもいるような飾らない女性だったことは世の中に衝撃を与えたのだろう。
「こういう人ほどすごい淫乱だったりするのかね。」
下品な言葉で、文芸誌を読んでいた男が香子に話しかける。だが香子はその文章の内容よりも、それを想像させる文章力が春川にはあると思った。
「文芸誌の方で、濡れ場のない全年齢対象の作品を載せてましたよ。」
「あぁ。古い童話をモチーフにしたヤツな。でもあれ、全年齢にしては結構ぎりぎりだったよ。カニバリズムだろ?」
「性的な意味はなくても、ホラーになるでしょうね。でも読んでてゾクゾクした。
美しい王女がその美貌と若さを保つために、乙女の生き血を飲むという話だった。人は狂えば、何をするかわからない。
「お、もう徳成さんが来たか。始業時間だな。」
昼休憩が終わる頃に、清子は「pink倶楽部」のオフィスにやってくる。コートやバッグを置くと、給湯室へ向かいコーヒーを入れてデスクに戻ってくるのだ。
相変わらずSNSは荒れている。この間の講習で紹介された新しいセキュリティーを入れてみたのだ。これだと画像のコピーも、文章のコピーも全く出来ない。それを不満に思ったユーザーから、不満のメッセージが届いている。既存の女優のファンや、男優のファンから、「あくまで個人的に楽しみたい」とメッセージは届くが、それを許すわけにはいかないのだ。個人で楽しむと言っても、その証明は何もないのだから。
ふとオフィスを見ると、晶が戻ってきた。新聞社には、地方へ行くことを告げると「そちらで撮ることがあるものは、依頼をする」というので決着が付いたらしい。
当初、地方へ行くことに怪訝そうだった新聞社だが、晶は元々「三島出版」の人間だからと何も言わなかったらしい。頼りにしているの自体が、異質なことなのだから。
パソコンにカメラを繋ぎ、画像をチェックしている後ろ姿を見て清子はふっと視線をそらせた。意識しているからかもしれない。
そのとき史がオフィスに帰ってきた。そしてその後ろには、四人の男女がいる。
「もうみんな帰ってきた?」
史がそう聞くと、オフィスの人たちは視線を史の方に向ける。
「三月で移動になる人たちの後にやってくる人たちだけど、えっと……明神さんと、久住と、俺と、徳成さんかな。」
四人が移動したり退職したりするのだ。その後ろにいる人たちも四人。数は合っている。
清子の所には新卒の若い男がやってきた。工業系の大学を春に卒業する予定らしい。卒業式は一ヶ月後だ。
「あの子、可愛いよね。」
女性陣が、清子の側にやってきた男に目をやる。どこかのアイドルのような顔立ちと、薄い茶色の短い髪。ホストに見えないこともない。だが清子は全く相手にしていない。
「桜井と言います。」
資料を手渡されて、清子はそれに目を落とす。桜井御影。名前までホストのようだと思った。学校を見て、清子は御影を見上げる。
「あの大学の出身だったら、我孫子さんの講習は受けてますね。」
「あ、はい。俺、研究室はそこです。」
だったら話は通じるかもしれない。
「では仕事内容に移りましょう。」
いすを用意して、御影にも座ってもらう。画面には「pink倶楽部」のホームページが映し出されて、女性のきわどい画像が映し出されている。
「この雑誌は月に一度の発刊ですので、その二週間前にはホームページの更新を済ませます。それから、こっちのページは有料ではありませんが、会員登録が必須です。」
「コラムも載せてるんですか?」
「えぇ。編集長が書いて下さってます。こちらも会員専用ページに載せています。誤字、脱字のチェックをして下さい。それからメーカーに載せて欲しいという動画ですが……。」
ここだけではない。あらゆるデスクの画面からは、女の喘いでいる声や、股を開いている女性の画像が映し出されている。御影は童貞ではないが、こんなに無修正のものがあるとちょっと引いてしまう。
「おー。すげぇ。吉田さん。すげぇじゃん。」
晶の声がオフィスに響いた。晶のあとにはいるカメラマンは新卒ではなく中途採用になる。四十代の男で、世界中を回っては人体改造をした人間を撮っていたらしい。
「ほら、ボディサスペンションの一環らしいよ。」
「肌に穴をあけてそこにワイヤー通して、滝に吊されるってすげぇな。これ、肌がちぎれたりしないの?」
「そんな風にならないように、ちゃんと肉付きのいい人を選んでる。」
「なるほどねぇ。お、この人すごいな。ここまで肌に穴があいてたら、何か不自由そうだ。」
「ほら、こっちの画像のさ……。」
話が合う男らしい。清子はまたパソコンに目を向ける。
「それから画像は撮ってきてもらいますが、ある程度の修正が必要な場合はあります。」
「修正?」
「こういう画像は水着の写真もありますが、わざとサイズの小さな水着やマイクロ水着というものを着ている場合があります。たまにずれて見えるときがあるので、それを修正します。その他、肌の加工をすることもありますが、顔や体にはそこまで修正を加えることはありません。」
涼しい顔をしてこんなことばかりしているのだろうか。
「男性のページもあります。ここは、女性向けのものですね。」
「女性にも人気があると聞いてます。」
「らしいですね。で、男性の場合の修正はほとんどありません。きっちり下着を着てますし。それから、注意すべき点は……。」
画像の修正、加工、その他セキュリティー、コピーガード、SNSの更新、メッセージのチェック。
「メッセージを送ってくる人には注意して下さい。なるべく早く対応が出来るように。」
思ったよりも仕事量が多い。御影はメモを取りながら、少しため息を付いた。
「徳成さんはこれを一人で?」
「えぇ、で、今はこれを半日で。」
「半日?」
「去年まではここだけだったので、これにプラスして校閲なんかもしてました。今は校閲までは手が回りませんけど。」
するとパソコンの社内チャットにメッセージが届いた。
「失礼します。」
それを開くと、IT部門からのメッセージらしい。それに清子は素早く反応してメッセージを打ち込んでいく。
「IT部門の?」
「えぇ。午前中はそこにいました。あぁ、秋からは本社にも居ませんから。」
「え?」
「在宅勤務になるので、何かあったらメッセージを送って下さい。」
この女性は派遣でこの会社に来て、そのまま本採用になったらしい。その前は色んな所を転々としていた。だから仕事が速いのだろう。だが自分にここまでのものを求められても困る。少し詳しいからと言って、自信があったのだがもろくも崩れそうだ。
「徳成さん。」
声をかけられて、清子はふと見上げる。そこには史の姿があった。
「すべてを言う必要はないよ。桜井さんも、徐々に覚えていけばいいことだから。」
「そうですね……。とりあえずページの管理とSNSだけでもしっかりしていただければ。」
「わかりました。」
「言葉には気をつけて下さい。どんなところから突っ込まれるかわかりませんから。」
それで何度痛い目にあっただろう。きっと我孫子の元で学んでいたという御影の方が詳しいかもしれない。
まだ一緒に暮らしていたときは、病院嫌いの冬山を引きずるようにして病院に連れて行ったが、そのときは初期段階だったのでそれほど大事にはならなかった。
だがそれが再発する可能性は高かった。
それに気が付いて目をそらしていたこと、そして自分の作品を模倣していたことなどは、もう責める気にもなれなかった。死んだものを責めても何もないことは春川にもわかっていたのだから。
次号の文芸誌で、清子と春川の文書が掲載された。
清子は、幼い頃から冬山に会ったことはなく、祖母の葬儀やそれが終わった後にも手を差し伸べられることはなかったと告白した。自分の死期が近づいたときに急に清子に近づき、自分の葬儀をしたこと。だから冬山に関してのことは、清子が知っていることはない。
それを世に知られたとき、清子を追っていたマスコミはさっと手を引いた。これ以上のことは本当に何も知らないのだと信じているのだろう。
そしてそれよりもその紙面で春川は初めて世に顔を出した。それが大きな話題になったことで、清子のことはおざなりになったことも良いことだった。官能小説というジャンルであり、ライターとしても性風俗のことを生々しく書き連ねている春川が、どこにでもいるような飾らない女性だったことは世の中に衝撃を与えたのだろう。
「こういう人ほどすごい淫乱だったりするのかね。」
下品な言葉で、文芸誌を読んでいた男が香子に話しかける。だが香子はその文章の内容よりも、それを想像させる文章力が春川にはあると思った。
「文芸誌の方で、濡れ場のない全年齢対象の作品を載せてましたよ。」
「あぁ。古い童話をモチーフにしたヤツな。でもあれ、全年齢にしては結構ぎりぎりだったよ。カニバリズムだろ?」
「性的な意味はなくても、ホラーになるでしょうね。でも読んでてゾクゾクした。
美しい王女がその美貌と若さを保つために、乙女の生き血を飲むという話だった。人は狂えば、何をするかわからない。
「お、もう徳成さんが来たか。始業時間だな。」
昼休憩が終わる頃に、清子は「pink倶楽部」のオフィスにやってくる。コートやバッグを置くと、給湯室へ向かいコーヒーを入れてデスクに戻ってくるのだ。
相変わらずSNSは荒れている。この間の講習で紹介された新しいセキュリティーを入れてみたのだ。これだと画像のコピーも、文章のコピーも全く出来ない。それを不満に思ったユーザーから、不満のメッセージが届いている。既存の女優のファンや、男優のファンから、「あくまで個人的に楽しみたい」とメッセージは届くが、それを許すわけにはいかないのだ。個人で楽しむと言っても、その証明は何もないのだから。
ふとオフィスを見ると、晶が戻ってきた。新聞社には、地方へ行くことを告げると「そちらで撮ることがあるものは、依頼をする」というので決着が付いたらしい。
当初、地方へ行くことに怪訝そうだった新聞社だが、晶は元々「三島出版」の人間だからと何も言わなかったらしい。頼りにしているの自体が、異質なことなのだから。
パソコンにカメラを繋ぎ、画像をチェックしている後ろ姿を見て清子はふっと視線をそらせた。意識しているからかもしれない。
そのとき史がオフィスに帰ってきた。そしてその後ろには、四人の男女がいる。
「もうみんな帰ってきた?」
史がそう聞くと、オフィスの人たちは視線を史の方に向ける。
「三月で移動になる人たちの後にやってくる人たちだけど、えっと……明神さんと、久住と、俺と、徳成さんかな。」
四人が移動したり退職したりするのだ。その後ろにいる人たちも四人。数は合っている。
清子の所には新卒の若い男がやってきた。工業系の大学を春に卒業する予定らしい。卒業式は一ヶ月後だ。
「あの子、可愛いよね。」
女性陣が、清子の側にやってきた男に目をやる。どこかのアイドルのような顔立ちと、薄い茶色の短い髪。ホストに見えないこともない。だが清子は全く相手にしていない。
「桜井と言います。」
資料を手渡されて、清子はそれに目を落とす。桜井御影。名前までホストのようだと思った。学校を見て、清子は御影を見上げる。
「あの大学の出身だったら、我孫子さんの講習は受けてますね。」
「あ、はい。俺、研究室はそこです。」
だったら話は通じるかもしれない。
「では仕事内容に移りましょう。」
いすを用意して、御影にも座ってもらう。画面には「pink倶楽部」のホームページが映し出されて、女性のきわどい画像が映し出されている。
「この雑誌は月に一度の発刊ですので、その二週間前にはホームページの更新を済ませます。それから、こっちのページは有料ではありませんが、会員登録が必須です。」
「コラムも載せてるんですか?」
「えぇ。編集長が書いて下さってます。こちらも会員専用ページに載せています。誤字、脱字のチェックをして下さい。それからメーカーに載せて欲しいという動画ですが……。」
ここだけではない。あらゆるデスクの画面からは、女の喘いでいる声や、股を開いている女性の画像が映し出されている。御影は童貞ではないが、こんなに無修正のものがあるとちょっと引いてしまう。
「おー。すげぇ。吉田さん。すげぇじゃん。」
晶の声がオフィスに響いた。晶のあとにはいるカメラマンは新卒ではなく中途採用になる。四十代の男で、世界中を回っては人体改造をした人間を撮っていたらしい。
「ほら、ボディサスペンションの一環らしいよ。」
「肌に穴をあけてそこにワイヤー通して、滝に吊されるってすげぇな。これ、肌がちぎれたりしないの?」
「そんな風にならないように、ちゃんと肉付きのいい人を選んでる。」
「なるほどねぇ。お、この人すごいな。ここまで肌に穴があいてたら、何か不自由そうだ。」
「ほら、こっちの画像のさ……。」
話が合う男らしい。清子はまたパソコンに目を向ける。
「それから画像は撮ってきてもらいますが、ある程度の修正が必要な場合はあります。」
「修正?」
「こういう画像は水着の写真もありますが、わざとサイズの小さな水着やマイクロ水着というものを着ている場合があります。たまにずれて見えるときがあるので、それを修正します。その他、肌の加工をすることもありますが、顔や体にはそこまで修正を加えることはありません。」
涼しい顔をしてこんなことばかりしているのだろうか。
「男性のページもあります。ここは、女性向けのものですね。」
「女性にも人気があると聞いてます。」
「らしいですね。で、男性の場合の修正はほとんどありません。きっちり下着を着てますし。それから、注意すべき点は……。」
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「メッセージを送ってくる人には注意して下さい。なるべく早く対応が出来るように。」
思ったよりも仕事量が多い。御影はメモを取りながら、少しため息を付いた。
「徳成さんはこれを一人で?」
「えぇ、で、今はこれを半日で。」
「半日?」
「去年まではここだけだったので、これにプラスして校閲なんかもしてました。今は校閲までは手が回りませんけど。」
するとパソコンの社内チャットにメッセージが届いた。
「失礼します。」
それを開くと、IT部門からのメッセージらしい。それに清子は素早く反応してメッセージを打ち込んでいく。
「IT部門の?」
「えぇ。午前中はそこにいました。あぁ、秋からは本社にも居ませんから。」
「え?」
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この女性は派遣でこの会社に来て、そのまま本採用になったらしい。その前は色んな所を転々としていた。だから仕事が速いのだろう。だが自分にここまでのものを求められても困る。少し詳しいからと言って、自信があったのだがもろくも崩れそうだ。
「徳成さん。」
声をかけられて、清子はふと見上げる。そこには史の姿があった。
「すべてを言う必要はないよ。桜井さんも、徐々に覚えていけばいいことだから。」
「そうですね……。とりあえずページの管理とSNSだけでもしっかりしていただければ。」
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