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行方
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一応、IT部門の責任者は、朝倉だ。朝倉にこちらのパソコンの現状を報告すると、朝倉は呆れたように言った。
「そんな化石みたいなパソコンをまだ使っていたんだね。」
確かに相当前のモノだ。変えて欲しいと言えば変えれるかもしれない、というのが朝倉の見解だった。そしてすぐに新しいパソコンのデーターを送ってもらった。それを今度は、智也に見せる。
「こちらかこちらのパソコンですね。こちらであれば、来週にでも設置することが出来ます。」
すると智也は驚いたように清子を見た。
「本当に変えてくれるんですか。」
「話が通ればの話です。」
その可能性は高いだろう。きっと社長は納得するだろうし、ここまで放っておいたのも責任があると思うだろうから。
「俺、コレでも使えないことはないですけどね。」
メモリーを増設してちゃんと動くようになったパソコンを見て、智也はため息を付く。
「コレは応急処置です。すぐにまた動きは悪くなりますよ。こまめに保存をしておいてください。」
「はい。」
そのとき、オフィスに一人の女性が入ってきた。そして支社長に挨拶をする。
「すいません。遅刻してしまって。」
「かまわないよ。大変だね。君も。」
支社長はそう言って少し笑う。だがその女性の顔色はあまり良くなかった。どこか体調が悪いのだろうか。その様子を見て智也は少しため息を付いた。
「何かありましたか?」
「あぁ。何でもないんです。」
何にもないように見えない。智也の表情が少し暗くなったからだ。だが本人が話したくないと言うのに、無理に話を聞き出すことはないだろう。
そのとき清子の携帯電話が鳴った。社長からかと思ったが、それはメッセージで、我孫子からのモノだった。
「……阿久津さん。こちらで講習なんかはありますか。」
「ウェブ関係のですか?」
「えぇ。」
「数は少ないですけど、無いこともないですね。それに、俺が大学の時の講師がそういうことをしている人もいますし。」
「一度、こっちの方へ来てみませんかというお誘いがあるのですけど。」
そういって清子は携帯電話を見せる。そこには我孫子からの講習の誘いだった。古いパソコンでも今の仕事が十分出来るように工夫をするための、勉強会だった。
「興味はありますね。俺、アナログのパソコンを扱うの好きなんで。でも……うちのが反対するかな。」
「うちの?あぁ。奥様ですか。」
「えぇ。俺が都会に行くって言うと遊びに行くんじゃないかとかばかり思ってて。」
勉強をしに行くというのが理解できないのだろうか。清子は少し首を傾げる。
「理解してくれませんか。」
「あまり。」
元々都会にいた智也だ。そっちが楽しいのだろうと言われているように思える。
「奥様も連れていったらいいのに。」
「それは嫌がるんですよ。どうも……都会には騙されるっていうイメージがあるみたいで。」
「人によりますから。あまり先入観を持たずに来たらいいのに。」
都会に行ってみて、清子も最初はそう思っていた。史が近づいてきたのも何か狙いがあるのだろうと思っていたのだ。
当初、史は確かに狙いがあって清子に近づいてきたのだろう。だが今はそんなことをみじんも感じさせない。だから、帰って告白することは胸が痛い。
「徳成さん?」
ぼんやりしていたのだろう。それを気にして智也が声をかける。
「あ、すいません。何でもないです。」
すると清子は、またパソコンの画面に目を向ける。そして処理を終えると、席を譲った。
「コレで当面は大丈夫です。」
「ありがとうございました。」
「何かあったらまた連絡をください。本社宛で、IT部門の誰に言ってもわかるようにしておきますので。」
すると先ほどの遅刻をしてきた女性が立ち上がると、トイレの方へ向かっていった。その様子に周りの男がため息を付く。
「やれやれ。そんなにつわりが酷いなら、早く産休を取ればいいのに。」
なるほど、妊娠中だったのか。だから顔色が悪かったのだろう。
「あまり言わないでくれよ。マタハラなんて言われたくないから。」
編集長はそういって、男たちをたしなめる。だが実際、妊婦というのは病気ではない。なのに気を使わないといけない。男にとっては理解が出来ないのかもしれない存在だ。
「徳成さんは、恋人がいるんですか。」
「セクハラですか。」
そういって女性社員が笑う。だが清子は隠すつもりはない。
「えぇ。」
「結婚しようとか?」
「まだ考えてませんよ。」
史からも、晶からも結婚したいと言われている。だが自分が幸せな家庭を経験していないのだ。それが一番未知の世界だと思う。
「阿久津君が結婚したのが不思議だよ。」
支社長はそういうと、少し笑った。
「どうしてですか?二十六なら普通ではないのですか。」
「だって、阿久津君の父親は海外だし、母親は会社の社長だろう?」
「エロの社長ですよ。」
その言葉に清子は驚いたように智也をみる。やはりそうだったのか。
「阿久津美夏さんの?」
その言葉に智也は驚いたように清子をみる。
「知ってるんですか。」
「元々エロ雑誌に籍を置いているんです。阿久津さんの会社にもお世話になったことがあって。」
「え?出演を?」
細身だが、確かにいい体をしている。女性向けのAVなんかに出ていたら、あまり美形でも良くないが不細工すぎても良くない。そういった意味では清子はいい女優になりそうだ。
「いいえ。そっちの方ではなく、ウェブ管理の方で。」
「というと、慎吾の?」
「慎吾さんは弟さんですか。」
「そうです。あいつ、口の効き方がなってないでしょう?」
「気にしませんよ。」
弟もコンプレックスだった。自分より遙かに腕が立つし、姿だって美形だ。都会に妻を連れて行けば、きっと比べてしまうという劣等感が都会に行きたくないという理由でもあった。
「もっと口の悪い人もいますから。」
そのとき、オフィスに晶がやってきた。晶は清子の方を見て、ずかずかと近づいてくる。
「清子。まだ仕事おわんねぇのか?」
「もう終わります。」
「連絡は来たか?」
「まだです。」
「ったく……おせぇな。」
「そちらの都合もありますから。のんびり待ちましょう。」
「飛行機の時間があるんだよ。乗れなくてキャンセルになったら、どうしてくれんだよ。こっちは交通費なんか出さねぇぞ。」
側にいる智也には目もくれていない。失礼な男だ。智也はそう思っていたが、おそらく先ほど言った「もっと口の悪い人」と言うのは、この男のことなのだろうと納得した。そしてこの男が恋人なのだろうと思っていたのだ。
「ん?あんた、ここのウェブ担当?」
「阿久津智也です。」
「へぇ。慎吾のなんか?」
「お兄さんだそうです。」
「だろうな。よく似てる。でも慎吾の方が、社交性はないな。あいつ、気に入った奴としか話したくねぇんだろ?」
「そういう人もいます。」
すると清子はコートとマフラーを巻いた。
「あと、何かすることはありますか?」
「もう特にはないですね。あとはメッセージでやりとりをします。総務課で良かったんですかね。」
「えぇ。そちらと連絡を付けてください。」
「清子。ラーメン食わねぇ?味噌ラーメン。こっちが元祖なんだろ?どこが美味いの?」
晶の言葉に、智也は少し苦笑いをした。すると支社長が話をする。
「ラーメンは人の好みがあるからね。久住君。」
「わかってんじゃん。でもやっぱ地元ラーメンが美味いだろ?」
その様子を見て、晶と慎吾は全く別に見える。慎吾は興味のない人には目もくれないが、晶はすっと懐に入っていく。清子もそういうところに惹かれたのかもしれない。
「あとお土産を買わないと。」
「部署に?「pink倶楽部」のは俺も金出すから。」
「そうですか?」
「お前、編集長にも選べよ。」
「史に?どうして?」
「編集長も用意してんだろ。お前個人的にって。」
「……そんなものですか。」
「お前なぁ。一応彼氏だろ?気を使えよ。」
その言葉に慎吾は驚いた。晶が恋人ではなく、別に恋人がいると思っていなかったからだ。
だが清子のその視線はまるで恋人のようだと思うし、晶もそういう風に見ているように見えた。自分にもそんな時期があったはずだ。清子と晶を見て、智也の心にどす黒い感情が湧いて出てくるような気がしていた。
「そんな化石みたいなパソコンをまだ使っていたんだね。」
確かに相当前のモノだ。変えて欲しいと言えば変えれるかもしれない、というのが朝倉の見解だった。そしてすぐに新しいパソコンのデーターを送ってもらった。それを今度は、智也に見せる。
「こちらかこちらのパソコンですね。こちらであれば、来週にでも設置することが出来ます。」
すると智也は驚いたように清子を見た。
「本当に変えてくれるんですか。」
「話が通ればの話です。」
その可能性は高いだろう。きっと社長は納得するだろうし、ここまで放っておいたのも責任があると思うだろうから。
「俺、コレでも使えないことはないですけどね。」
メモリーを増設してちゃんと動くようになったパソコンを見て、智也はため息を付く。
「コレは応急処置です。すぐにまた動きは悪くなりますよ。こまめに保存をしておいてください。」
「はい。」
そのとき、オフィスに一人の女性が入ってきた。そして支社長に挨拶をする。
「すいません。遅刻してしまって。」
「かまわないよ。大変だね。君も。」
支社長はそう言って少し笑う。だがその女性の顔色はあまり良くなかった。どこか体調が悪いのだろうか。その様子を見て智也は少しため息を付いた。
「何かありましたか?」
「あぁ。何でもないんです。」
何にもないように見えない。智也の表情が少し暗くなったからだ。だが本人が話したくないと言うのに、無理に話を聞き出すことはないだろう。
そのとき清子の携帯電話が鳴った。社長からかと思ったが、それはメッセージで、我孫子からのモノだった。
「……阿久津さん。こちらで講習なんかはありますか。」
「ウェブ関係のですか?」
「えぇ。」
「数は少ないですけど、無いこともないですね。それに、俺が大学の時の講師がそういうことをしている人もいますし。」
「一度、こっちの方へ来てみませんかというお誘いがあるのですけど。」
そういって清子は携帯電話を見せる。そこには我孫子からの講習の誘いだった。古いパソコンでも今の仕事が十分出来るように工夫をするための、勉強会だった。
「興味はありますね。俺、アナログのパソコンを扱うの好きなんで。でも……うちのが反対するかな。」
「うちの?あぁ。奥様ですか。」
「えぇ。俺が都会に行くって言うと遊びに行くんじゃないかとかばかり思ってて。」
勉強をしに行くというのが理解できないのだろうか。清子は少し首を傾げる。
「理解してくれませんか。」
「あまり。」
元々都会にいた智也だ。そっちが楽しいのだろうと言われているように思える。
「奥様も連れていったらいいのに。」
「それは嫌がるんですよ。どうも……都会には騙されるっていうイメージがあるみたいで。」
「人によりますから。あまり先入観を持たずに来たらいいのに。」
都会に行ってみて、清子も最初はそう思っていた。史が近づいてきたのも何か狙いがあるのだろうと思っていたのだ。
当初、史は確かに狙いがあって清子に近づいてきたのだろう。だが今はそんなことをみじんも感じさせない。だから、帰って告白することは胸が痛い。
「徳成さん?」
ぼんやりしていたのだろう。それを気にして智也が声をかける。
「あ、すいません。何でもないです。」
すると清子は、またパソコンの画面に目を向ける。そして処理を終えると、席を譲った。
「コレで当面は大丈夫です。」
「ありがとうございました。」
「何かあったらまた連絡をください。本社宛で、IT部門の誰に言ってもわかるようにしておきますので。」
すると先ほどの遅刻をしてきた女性が立ち上がると、トイレの方へ向かっていった。その様子に周りの男がため息を付く。
「やれやれ。そんなにつわりが酷いなら、早く産休を取ればいいのに。」
なるほど、妊娠中だったのか。だから顔色が悪かったのだろう。
「あまり言わないでくれよ。マタハラなんて言われたくないから。」
編集長はそういって、男たちをたしなめる。だが実際、妊婦というのは病気ではない。なのに気を使わないといけない。男にとっては理解が出来ないのかもしれない存在だ。
「徳成さんは、恋人がいるんですか。」
「セクハラですか。」
そういって女性社員が笑う。だが清子は隠すつもりはない。
「えぇ。」
「結婚しようとか?」
「まだ考えてませんよ。」
史からも、晶からも結婚したいと言われている。だが自分が幸せな家庭を経験していないのだ。それが一番未知の世界だと思う。
「阿久津君が結婚したのが不思議だよ。」
支社長はそういうと、少し笑った。
「どうしてですか?二十六なら普通ではないのですか。」
「だって、阿久津君の父親は海外だし、母親は会社の社長だろう?」
「エロの社長ですよ。」
その言葉に清子は驚いたように智也をみる。やはりそうだったのか。
「阿久津美夏さんの?」
その言葉に智也は驚いたように清子をみる。
「知ってるんですか。」
「元々エロ雑誌に籍を置いているんです。阿久津さんの会社にもお世話になったことがあって。」
「え?出演を?」
細身だが、確かにいい体をしている。女性向けのAVなんかに出ていたら、あまり美形でも良くないが不細工すぎても良くない。そういった意味では清子はいい女優になりそうだ。
「いいえ。そっちの方ではなく、ウェブ管理の方で。」
「というと、慎吾の?」
「慎吾さんは弟さんですか。」
「そうです。あいつ、口の効き方がなってないでしょう?」
「気にしませんよ。」
弟もコンプレックスだった。自分より遙かに腕が立つし、姿だって美形だ。都会に妻を連れて行けば、きっと比べてしまうという劣等感が都会に行きたくないという理由でもあった。
「もっと口の悪い人もいますから。」
そのとき、オフィスに晶がやってきた。晶は清子の方を見て、ずかずかと近づいてくる。
「清子。まだ仕事おわんねぇのか?」
「もう終わります。」
「連絡は来たか?」
「まだです。」
「ったく……おせぇな。」
「そちらの都合もありますから。のんびり待ちましょう。」
「飛行機の時間があるんだよ。乗れなくてキャンセルになったら、どうしてくれんだよ。こっちは交通費なんか出さねぇぞ。」
側にいる智也には目もくれていない。失礼な男だ。智也はそう思っていたが、おそらく先ほど言った「もっと口の悪い人」と言うのは、この男のことなのだろうと納得した。そしてこの男が恋人なのだろうと思っていたのだ。
「ん?あんた、ここのウェブ担当?」
「阿久津智也です。」
「へぇ。慎吾のなんか?」
「お兄さんだそうです。」
「だろうな。よく似てる。でも慎吾の方が、社交性はないな。あいつ、気に入った奴としか話したくねぇんだろ?」
「そういう人もいます。」
すると清子はコートとマフラーを巻いた。
「あと、何かすることはありますか?」
「もう特にはないですね。あとはメッセージでやりとりをします。総務課で良かったんですかね。」
「えぇ。そちらと連絡を付けてください。」
「清子。ラーメン食わねぇ?味噌ラーメン。こっちが元祖なんだろ?どこが美味いの?」
晶の言葉に、智也は少し苦笑いをした。すると支社長が話をする。
「ラーメンは人の好みがあるからね。久住君。」
「わかってんじゃん。でもやっぱ地元ラーメンが美味いだろ?」
その様子を見て、晶と慎吾は全く別に見える。慎吾は興味のない人には目もくれないが、晶はすっと懐に入っていく。清子もそういうところに惹かれたのかもしれない。
「あとお土産を買わないと。」
「部署に?「pink倶楽部」のは俺も金出すから。」
「そうですか?」
「お前、編集長にも選べよ。」
「史に?どうして?」
「編集長も用意してんだろ。お前個人的にって。」
「……そんなものですか。」
「お前なぁ。一応彼氏だろ?気を使えよ。」
その言葉に慎吾は驚いた。晶が恋人ではなく、別に恋人がいると思っていなかったからだ。
だが清子のその視線はまるで恋人のようだと思うし、晶もそういう風に見ているように見えた。自分にもそんな時期があったはずだ。清子と晶を見て、智也の心にどす黒い感情が湧いて出てくるような気がしていた。
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