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意識を取り戻した銘は、体を起こした。遙か上に見える小さな窓から見える限り、もう明るくなっている。時間はわからないが、昼を過ぎているかもしれない。
そして自分の体をみる。傷や字が沢山あるだけではなく、自分の性器や肛門からドロッとした感触を感じた。こんな時のためにそういうことも慣らしておいて良かったのかもしれない。どんな拷問でも耐えれる体を鼠は求められる。こういった拷問は想定の範囲内だ。
口を割る気はない。
鼠のためだけじゃない。藍のためにも、累のためにも。
しばらくすると、足音が聞こえてきた。そして鍵を開ける音。入ってきたのは悦だった。また何かするのだろうか。銘はぼろぼろになっている毛布を引き寄せた。
「……いくら何でも昨日の今日でしない。別に精力に溢れてるわけじゃない。その辺は紅花様とは違う。」
そういって彼は手に持っている布を彼女の前に投げた。
「着ろ。」
「自白剤入り?」
「そんなモノはいっていない。」
ワンピースだが、粗末なもので白だったのかもしれないが黄ばんでいる。
「それから、飯だ。」
「食事なんか用意してくれてるなんてね。」
「餓死してしまっては、聞きたいことも聞けない。」
テーブルにトレーをのせる。そこにはパンとスープが置いてあった。くず肉や野菜が入っていて、温かいだけが取り柄のようだ。だが彼女はそれに口を付けない。
「どうした。食べないのか。」
「あたしは何も知らない。鼠なんかじゃない。」
「夕べと同じ事を言うのか。」
ため息を付いて彼は彼女に手を挙げようとその手を振り上げた。しかし彼女は目をぎゅっとつぶっただけだった。
「どうして逃げない。」
「逃げれば疑われる。だから逃げない。」
「……口を割らなければ、お前は第四兵隊の男たちに放り投げる。奴らは禁欲しているから、性欲は尽きることがないだろう。」
「一国の城でそんなことをするなんて、恥を知りなさいよ。」
「紅花様の指示だ。口を割らなければ、死なない程度に何をしてもいいとな。」
藍がそんなことを言うのだろうか。そもそもそんな人だったのか。
累といたときの顔と全く違うように思えた。
「……藍が?」
「藍というのは、紅花様の別名だな。本名らしいが、まぁ……紅花様の生まれを知ればその名も頷ける。」
「どう言うことなの。」
ニヤリと笑う。そして彼は腕を組んだ。
「情報を知りたければ、自分の情報も言うことだ。鼠のことをな。」
「知らないモノは言えない。」
「強情な女だ。さっさと食え。」
「……いやよ。こっちに自白剤が入っているかもしれない。」
すると彼はそのテーブルに載っているスープに口を付けた。
「何……。」
「何も入っていない。」
そういってまたスープをテーブルに置いた。その言葉に彼女はそのスープにやっと口を付ける。だが口の中が染みて、顔をしかめた。
「痛いか。」
だが彼女はその痛みをこらえて口にした。美味しい。累が作るような味によく似ていた。
「あんたみたいなサディスト初めて見るわ。」
「誉め言葉か。」
「別に誉めてない。サディストは優しくするからマゾヒストが耐えられる。飴と鞭ってわけね。」
「銘といったか。」
「……あれだけセックスしておいて、名前もお互い知らないなんてね。あなたは?」
「悦だ。」
「第二兵隊隊長か。」
「あぁ。」
「それで藍が……赤の側近。」
「あぁ。」
「……累は可哀想ね。あんなに愛されているのに、何も知らずに人殺しのトップに愛されているなんて。」
「紅花殿が人殺しだと?」
ムキになったように悦は彼女を見下ろす。しかし彼女はスープをすすりながらいった。
「紅花殿が好きでトップに立っていると思っているのか。本来なら……。」
「何?」
「噂程度の話だ。俺は何も言わない。」
スープを飲み終わると、彼女は立ち上がり彼に向かい合う。
「私も何も言わないわ。拷問されても、強姦されても、輪姦されても無駄よ。」
「鼠だからそういうことも鍛えているというわけだ。だったらあの兵たちに与えても無駄だろう。だったら……。」
彼は彼女を見下ろし言う。
「取引をしよう。」
「取引?」
「これからお前とセックスをする。」
「またするの?どうしてこんなに精力旺盛なのかしら。」
呆れたように彼女は言う。
「言っておくが、打ったり叩いたりはしない。あくまで恋人のようにする。」
「恋人のように?」
意外だった。夕べあんなにハードなセックスをした人の言葉とは思えない。
「あぁ。それでお前がイけば、お前は知っていることをすべて話せ。そのかわり俺が先にイったら、俺は紅花殿の事を話そう。」
「上司を売るの?それも城のやり方?」
「どうだろうな。」
彼は少し微笑み、彼は彼女の答えを待った。
「あたし、そういうことはする事もあるし、あなたがノーマルなモノにするって言うんだったらすぐにあなたをイかせることができるわ。それでもいいの?不利だと思わない?」
「どうだろうな。俺も慣れていると言ったらどうだろうか。」
その言葉に戸惑いながら、彼女は彼を見上げれる。
「……絶対言わせてヤるわ。」
「後悔するなよ。」
彼はそういって彼女の手を引き、牢を出て行った。そして城にある自分の自室へ連れ込むと、ドアを閉めたとたん、彼女の唇にキスをする。
彼女もまたそれに答えるように唇を重ねた。銘はどこか幻に似ている。よく笑い、よく喘ぎ、そして感情がむき出しだ。
寝たことはない。だが寝たらこんな感じなのだろう。
「銘。」
名前を呼ぶ。そしてまた唇を重ねた。
「シャワー浴びるか?」
「うん。たぶん朝浴びるチャンスがあったんでしょうね。でも浴びれなかった。」
「腰が立たなかったからか。またそれくらい激しくしていいか。」
これも嘘。恋人にするようにするという、悦の嘘なのだ。
そして自分の体をみる。傷や字が沢山あるだけではなく、自分の性器や肛門からドロッとした感触を感じた。こんな時のためにそういうことも慣らしておいて良かったのかもしれない。どんな拷問でも耐えれる体を鼠は求められる。こういった拷問は想定の範囲内だ。
口を割る気はない。
鼠のためだけじゃない。藍のためにも、累のためにも。
しばらくすると、足音が聞こえてきた。そして鍵を開ける音。入ってきたのは悦だった。また何かするのだろうか。銘はぼろぼろになっている毛布を引き寄せた。
「……いくら何でも昨日の今日でしない。別に精力に溢れてるわけじゃない。その辺は紅花様とは違う。」
そういって彼は手に持っている布を彼女の前に投げた。
「着ろ。」
「自白剤入り?」
「そんなモノはいっていない。」
ワンピースだが、粗末なもので白だったのかもしれないが黄ばんでいる。
「それから、飯だ。」
「食事なんか用意してくれてるなんてね。」
「餓死してしまっては、聞きたいことも聞けない。」
テーブルにトレーをのせる。そこにはパンとスープが置いてあった。くず肉や野菜が入っていて、温かいだけが取り柄のようだ。だが彼女はそれに口を付けない。
「どうした。食べないのか。」
「あたしは何も知らない。鼠なんかじゃない。」
「夕べと同じ事を言うのか。」
ため息を付いて彼は彼女に手を挙げようとその手を振り上げた。しかし彼女は目をぎゅっとつぶっただけだった。
「どうして逃げない。」
「逃げれば疑われる。だから逃げない。」
「……口を割らなければ、お前は第四兵隊の男たちに放り投げる。奴らは禁欲しているから、性欲は尽きることがないだろう。」
「一国の城でそんなことをするなんて、恥を知りなさいよ。」
「紅花様の指示だ。口を割らなければ、死なない程度に何をしてもいいとな。」
藍がそんなことを言うのだろうか。そもそもそんな人だったのか。
累といたときの顔と全く違うように思えた。
「……藍が?」
「藍というのは、紅花様の別名だな。本名らしいが、まぁ……紅花様の生まれを知ればその名も頷ける。」
「どう言うことなの。」
ニヤリと笑う。そして彼は腕を組んだ。
「情報を知りたければ、自分の情報も言うことだ。鼠のことをな。」
「知らないモノは言えない。」
「強情な女だ。さっさと食え。」
「……いやよ。こっちに自白剤が入っているかもしれない。」
すると彼はそのテーブルに載っているスープに口を付けた。
「何……。」
「何も入っていない。」
そういってまたスープをテーブルに置いた。その言葉に彼女はそのスープにやっと口を付ける。だが口の中が染みて、顔をしかめた。
「痛いか。」
だが彼女はその痛みをこらえて口にした。美味しい。累が作るような味によく似ていた。
「あんたみたいなサディスト初めて見るわ。」
「誉め言葉か。」
「別に誉めてない。サディストは優しくするからマゾヒストが耐えられる。飴と鞭ってわけね。」
「銘といったか。」
「……あれだけセックスしておいて、名前もお互い知らないなんてね。あなたは?」
「悦だ。」
「第二兵隊隊長か。」
「あぁ。」
「それで藍が……赤の側近。」
「あぁ。」
「……累は可哀想ね。あんなに愛されているのに、何も知らずに人殺しのトップに愛されているなんて。」
「紅花殿が人殺しだと?」
ムキになったように悦は彼女を見下ろす。しかし彼女はスープをすすりながらいった。
「紅花殿が好きでトップに立っていると思っているのか。本来なら……。」
「何?」
「噂程度の話だ。俺は何も言わない。」
スープを飲み終わると、彼女は立ち上がり彼に向かい合う。
「私も何も言わないわ。拷問されても、強姦されても、輪姦されても無駄よ。」
「鼠だからそういうことも鍛えているというわけだ。だったらあの兵たちに与えても無駄だろう。だったら……。」
彼は彼女を見下ろし言う。
「取引をしよう。」
「取引?」
「これからお前とセックスをする。」
「またするの?どうしてこんなに精力旺盛なのかしら。」
呆れたように彼女は言う。
「言っておくが、打ったり叩いたりはしない。あくまで恋人のようにする。」
「恋人のように?」
意外だった。夕べあんなにハードなセックスをした人の言葉とは思えない。
「あぁ。それでお前がイけば、お前は知っていることをすべて話せ。そのかわり俺が先にイったら、俺は紅花殿の事を話そう。」
「上司を売るの?それも城のやり方?」
「どうだろうな。」
彼は少し微笑み、彼は彼女の答えを待った。
「あたし、そういうことはする事もあるし、あなたがノーマルなモノにするって言うんだったらすぐにあなたをイかせることができるわ。それでもいいの?不利だと思わない?」
「どうだろうな。俺も慣れていると言ったらどうだろうか。」
その言葉に戸惑いながら、彼女は彼を見上げれる。
「……絶対言わせてヤるわ。」
「後悔するなよ。」
彼はそういって彼女の手を引き、牢を出て行った。そして城にある自分の自室へ連れ込むと、ドアを閉めたとたん、彼女の唇にキスをする。
彼女もまたそれに答えるように唇を重ねた。銘はどこか幻に似ている。よく笑い、よく喘ぎ、そして感情がむき出しだ。
寝たことはない。だが寝たらこんな感じなのだろう。
「銘。」
名前を呼ぶ。そしてまた唇を重ねた。
「シャワー浴びるか?」
「うん。たぶん朝浴びるチャンスがあったんでしょうね。でも浴びれなかった。」
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