テロリストと兵士

神崎

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 シャワーを浴びて、髪を乾かす前に累はいつもキッチンの引き出しにある薬の瓶を取り出す。薬は二種類。
 白い薬は一日一度きっちり飲まなければいけないのだという。肉体的な理由であり、これを飲まなければ倦怠感に襲われ指先一つ動かせなくなるのだという。
 そして青い薬。これは特に一日一度飲まなければいけないということはない。頭痛がしたり、気分が悪くなったりするときに飲むものだという。おそらくこれは精神的なものだと思う。人間で言えば、安定剤のようなものだろうか。
 取って付けたような感情だという。元々は愛玩用であり、その機能を少し薄め、代わりに戦闘用に改造したもの。それに由教授は安定させるためと感情を付けたのだという。
 結果、感情は彼女を安定させたが、それでもバランスを崩すことがあるのだ。その時この青い薬が役に立つ。
 藍とセックスをした後、決まって頭が痛くなったのはきっと強烈な初恋だったからかもしれない。だが隆としたときはそんなことは思わなかった。彼は優しく、あくまで壊れ物に触れるように彼女を抱くのだ。
「累。」
 自分の髪を乾かし終わった隆は、コップを置いた彼女に声をかける。
 彼女もまた彼の元へ向かうと、髪を乾かし始めた。長い髪は、乾かすのに時間がかかる。それでも彼は何も言わずにその様子を見ていた。
「……倫さんも髪は長かったんですか?」
 倫のことを聞かれると思ってなかった。だが彼はそれも隠さずに言う。
「倫は短かったな。男みたいに短くしていて、俺の髪を女みたいだと笑っていた。」
「……今は長いのか短いのかわかりませんが。」
「暑いからな。かといって丸刈りにはしたくないし。」
 特徴的な髪型だと思う。周りだけを短く刈り込み、上の髪は結べるくらい長い。いわゆるツーブロックのスタイルだった。
「今思えば、倫は男のようになりたかったんだと思う。」
「女性は男性にはなれませんよ。」
「そういう意味じゃない。あの島はな、割と古い風習が残っているところで、男は神職、漁師、農業と決められていて、それが出来なければ本土へ移り住む。女はそんな男と結婚して子供を産み、家を守のが美徳だと教えられていた。」
 だが倫は違う。倫もまた本土へ出て、仕事を男並にしたいと息巻いていた。
「島のばあさん連中からは、評判は悪かったな。だから妊娠したって聞いたとき、股の緩い女だと噂されていたらしい。だが……倫の子供は間違いなく俺の子供だった。」
「……望んで作った子供だったのでしょう?」
「あぁ。」
 やはり子供が欲しいと思っていたのだろう。だが自分には出来ない。なのに体を求める理由は何だろう。子供を作るためにセックスをするのであれば、自分は存在する意味がないだろう。
 性欲のはけ口なのだろうか。
「累。」
 ドライヤーを止めて、彼は彼女の肩を抱く。
「暗い顔になってる。嫌なことを想像しているんじゃないのか。」
「……私には子供を作ることが出来ないので……。」
「そんなこと。」
 すると彼は少し笑い、その手を頬に持ってきた。そして彼女を自分の方に向かせる。
「これは別に子供を作るだけの行為じゃない。体を合わせることで、互いの気持ちを確かめることが出来るだろう?累。お前は俺を欲しくないのか?言われているから仕方なくしているのか?」
「いいえ。」
「だったらそれでいいだろう?俺もお前が早く欲しい。」
 上を向かせると、彼は彼女の唇にキスを軽くする。そして髪に触れた。
「まだ少し濡れているか?」
 言葉とは裏腹に、彼はその首もとに唇を寄せた。すると敏感に彼女は声を上げる。
「あっ……。」
「累。可愛いな。ほら。こんなに赤くなって。」
 手で触れる首もとは、すでに赤く染まっている。
「隆……。そんなにしたら……もう……。」
「まだ何もしていないのに?」
 耳元で話す度に息がかかり、それが背中をぞくっとさせる。すると彼はその白い耳たぶに吸いつき、軽く噛んだ。
「あっ!」
「痛かったか?」
「痛くないんです……なんか……ぞくっとして。」
「いい反応だな。」
 すると彼はシャツ越しに肩を引き寄せると、その唇にキスをする。唇を割ると、彼女もまた舌を絡ませてきた。水の音が部屋に響き、彼女は彼の首に手を回す。
 唇を離すと、彼は軽く息をはいた。
「すごいな。これだけで立ちそう。まだ脱いでもないのに。」
「だったら……脱がせましょうか。」
「お前も脱がせて良いか。」
 シャツに手をかけた彼女は、戸惑ったようにうなづいた。すると彼もそのシャツに手をかけた。下着をつけていなかった彼女の肌は、すぐにその肌がさらされる。白く、何か柔らかい陶器か何かで出来ているようなそんな彼女の肌。そしてその小振りの胸の先は彩とも藍ともしていたという割には、変色もしていないようにまるで十代のような色をしていた。
 そして彼もシャツを脱がされる。彼の左肩には入れ墨があった。島のものになるためにいれたその入れ墨は、きっと一生消えることはない。だがそれすらも誇りだという。
 ズボンに手をかけ、下着をとると「立ちそう」だという言葉は嘘のように天を指している。
「隆……。」
「キスだけでこうなるとはな。でもお前もすごいな。」
 ズボンを脱がされた彼女の性器からも、また露が溢れている。今すぐに入れ込んでも良いくらいだ。だがそんなことはしたくない。
 彼女はベッドに腰掛けている彼の膝に乗りかかり、再びキスをする。そしてその首に、入れ墨のある肩に、唇を這わせる。
「……んっ……。良いな……累……。」
 体を徐々に沈め茶色のそこに舌を這わせると、さらに声を上げた。
「累……そこは……。」
「駄目ですか?」
「いいや。ゾクゾクする。」
 腕で体を支えていないと、倒れ込みそうだ。それくらい彼女のそれは絶妙に吸い上げたり、舐めたりしてくれる。
 やがて腹に、そして性器に指がかかってきた。
「もうこんなに……。」
「あっ!」
 指が先に触れただけで気持ちがいい。彼女はそれに顔を近づけ、指で手のひらで刺激する。そしておもむろに舌を這わせた。優しく、それを舐めあげる。そのたびにその先から汁が溢れ、それすら舐めあげるように彼女は刺激を与え、そして口の中にいれた。
 ぐちゃ、ぐちゃという音がして、卑猥だった。唾液と汁が混ざり、ますます硬く大きくなっていく。
「もっと奥までくわえた方が良いですか?」
 口を離し、彼を見上げる。すると彼は余裕がなさそうに赤い頬をしていた。
「出来ればいいけど……お前の口の中に出るぞ。」
「……最初は……中で出したいといってましたね。」
「あぁ……。でもまだ出ないかな……。奥までくわえて。」
 すると彼女は口を開けると、その口にまた入れ込んだ。今度は根本まで。すると彼は低くうめく。
「んっ……。ごめん。離して。出そうだった。」
 強がったのが裏目に出た。彼は思わず射精しそうだったそれを、必死で押さえ込む。
「隆……。」
 彼は彼女を抱えるとそのベッドにおもむろに押し倒す。
「よくも責めてくれたな。」
「え……。」
「累。覚悟しておけよ。」
 納得しない。いいといわれたからしていたのに。口をとがらせて、抗議したが彼はその唇にキスをする。
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