隣人は秘密をもつ

神崎

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#初めての相手#

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 しばらくして症状が収まった島本さんと、足の処置をした私はタクシーに乗って社宅に戻ってきた。
 今は島本さんよりも私の方が手を貸してもらっている状態だけど。
「悪かったね。こんなことになってしまって。」
「大丈夫ですよ。私が過剰に反応してしまったから……。」
 私は少し暗い顔をしていたのかもしれない。昔を思い出したから?そうなのかもしれない。
「君、何も食べてないんじゃないの?」
「そう言えば……。」
「俺のせいで食べ損ねた?」
「いいえ。大丈夫。冷蔵庫に何かありますよ。卵かけご飯でも食べようかしら。」
「嫌みかな。」
「そうとらえてもらっても大丈夫です。」
 手を貸してくれるその手が温かい。そして熱い。軽口をたたきながら、私はあなたばかり見ていたのに。
「じゃあ、また明後日。」
 家の前にたってドアを開けようとしたときだった。ぐいっと体を押し込まれた。衝撃で私は玄関に倒れ込む。
「何?」
 目の前には後ろ手で玄関ドアを閉めた島本さんがいる。彼は私を見下ろしていた。しかしすっとしゃがみ込み、私の目線に合わせる。
「何ですか。島本さん。」
「卵かけご飯を食べる前に、しておきたいことがあって。」
「……。」
「キスしていい?」
「え?」
「今日のお礼っていうのは名目。本当は俺がしたいからだけど。」
 目を離せない。
「ずっと君とキスしたいと思ってたんだ。」
 その瞳が近づいてくる。私は自然と目を瞑り、その柔らかい唇を重ねた。
「……んっ……。」
 唇を割って舌を絡めてくる。まるで別の行きものように私の口内を愛撫する。
「いけないんだ。こんなに軽くキスなんてして。それもそんな表情でいられちゃ、断れないな。」
「……島本さん……。」
「ずっと君を抱きたいと思ってたんだよ。俺は君に惚れているからね。」
 島本さんが好きだ。だからこんなキスをされても抵抗はしなかった。だけど……そこまでいきなり進んでいいの?
「あの……島本さん。私……。」
「どうしたの?」
「その……初めてで……。」
「処女?」
 ゆっくりうなづくと、彼は私を抱き抱えてベッドに座らせる。
「最初はベットの方がいいだろ?」
「島本さん…。」
「啓って呼んでいいから。そのかわり俺も倫子って呼ぶから。」
 私は普段から下の名前をほとんど呼ばれなかった。だけど島本さんは私の名前をすっと出した。それだけ覚えていたのかもしれない。
「倫子。あぁ。俺、ずっと倫子って呼びたかった。知ってる?営業部に君が来たとき、他の男と話しているのを見て俺がどれだけ嫉妬してたとか。」
「でも……それは仕事だから。」
「わかってても嫉妬するんだよ。君は人気あるからね。」
「私が?」
「小動物みたいだって。」
 少し顔を膨らませたとき彼は少し笑い、ブラウスのボタンを全て外し終えた。ひんやりとする胸元。そして下着のホックを外された。
「あまり見ないでください。恥ずかしいから。」
「いいじゃない。思ったよりも大きいし、先っぽもピンク。」
 胸はコンプレックスだった。背が低いのに、胸だけが昔から成長していたから。だから男の人が苦手になったのだけど。
 露わになった胸を手のひらでもむ。そしてその先っぽに舌を絡ませる。そのたびに私は吐息に混ざって声がでる。
「乳首、立ってきたね。自分で触って。」
 自分で触れると、その先が痛いくらい立っているのがわかる。やだ。自分で触っても声がでそうになる。
「倫子。声、我慢しないでいいから。」
 唇をふさがれ、そしてその下にも手が伸びる。
「いたっ。」
 さすがに痛い。
「少し濡れているけど、まだだめだね。」
 彼が捜し当てた穴の上。そこに指をはわせる。
「だめっ。そこは。」
「どうしたの?ここ、すごく敏感なところ。俺と同じ。立ってくるんだって。」
「でも……そこ触られると……。」
「どうしたの?」
 そのコリコリとした場所に触れると腰が浮く。
「あっ!……いやぁ!」
「すげぇ。濡れてきた。ここ、相当気持ちいいんだな。」
 しつこいくらいいじってくる。そのたびに私はお漏らしでもしたようにパンツまでぐじょぐじょになってしまった。
 同時に、島本さんは私の乳首を舐めたり、噛んだりしていた。
 もう、何も考えられない。頭の中が真っ白になりそうだ。島本さんが触れるそこが、熱を持ったように熱く、そして体全体がビクビクと痙攣を始めた。でもそれが初めての快感でそれに身をゆだねるしかできなかった。
「だめ……島本さんっ!何かくる……。いや……怖い……。」
「倫子。イキたいんだろ?イケよ。」
「あっ!ああああぁぁ!」
 気持ちいいというのかわからない。ただ、頭が真っ白になった。
「すごいな。クリをいじっただけで。」
 シーツ明日洗わなきゃ。なんてこと思っている暇はなかった。全身がびくびくと波打っているようだった。
「指。入れてみようか。」
 パンツを脱がされ、そこに触れようとした彼を私は止めた。
「待って。」
「どうしたの?」
「……島……いいえ。啓さんも脱いでください。私ばかり裸で……。」
「わかった。」
 ワイシャツを脱ぎ、下着を脱ぐ。そしてズボンとパンツを脱ぐと、そこには大きなモノが見えた。
「……。」
「大丈夫。入るから。」
 私の気持ちを察したのか。よっぽど私が不安そうな顔をしていたのだろうか。
「触っても?」
「いいよ。」
 ベッドの上で彼はひざを突く。そして私は半身を起こして、恐る恐る彼のモノに触れた。生温かくて固い。そして大きい。こんなものが私の中に入るのだろうか。
「うっ。」
 そのとき彼が低くうなる。
「え?」
「大丈夫。気持ちよかっただけだから。」
 生温かいそのモノの先かが少しずつ濡れていく。しかも触る度に大きく堅くなっていく。
「それ……口で含んでみて……。」
「え。」
「出来ないならいいよ。」
「……やります。」
 口内は先ほど、彼の舌が愛撫してくれた。今度は彼のモノを愛撫する番だ。
 恐る恐るそれを口にくわえると、また彼の吐息が漏れてそれが声にも変わる。
 歯を立てないように、舌や唇でそれを咥えると口の周りがべとべとになるくらい唾液と彼の液体が混ざり、部屋の中に水の音が響いた。
「倫子。上手だね。……あぁ。いい。けど……これ以上はまずい。」
「平気……です。」
 一度モノを離し、再び口にくわえる。
「君の口の中に果ててしまうから……。ね。倫子。」
 優しく諭すように言ってくれたが、私はそれをやめるつもりはない。それはさらに大きく硬くなり、彼が低く唸ると根元から何かが放出されたのがわかる。
 そのとき私は口内に生温かい感触が広がった。ぬめぬめしているそれは、喉の奥で引っかかっているような感覚になる。
「倫子。吐いていいから。」
 島本さんはそう言ってくれたが、私はそれを喉の奥にしまった。生臭い。それを。
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