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二年目
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顔が近づいてきて、私はその顔を避けるように下を向く。だけど顔が火照る。なんだろう。熱があるみたいだ。
「薬を飲ませてそんな抵抗が出来るんだな。」
「薬?」
変な薬でも飲ませたの?
「でもそれも出来ないはずだ。ほら。ここが立ってる。」
そういって彼は手を胸に持ってくる。するとびりっとしたような感触があった。まるで電流でも流されているような。
「あっ!」
「服越しなのに。やらしい奴。」
服越しに、手が私の胸に触れてくる。その手つきはとてもイヤらしくて、下着越しなのにそこが痛いほど立っているのがわかる。
「直接触ったらどんな反応をするんだろうな。」
薄い明かりの中でも、笑っているのがわかる。好きだとか、そんな感情じゃない。ただ単純に女を楽しみたい。そんな風にも見える。
「やだ。やだ。怖い。やめて。」
抵抗したいのに、抵抗できない。首をただ振るだけ。それも顎を捕まれて、唇を重ねて舌を差し込まれるとそれも出来ない。
「んっ……。」
舌の先がびりびりと痺れるようだ。いつものキスなのに、胸の奥から熱くなる。ワンピースの背中のチャックを下ろされる音がして、そしてそのまま下着のホックがはずされる。ふっと軽くなり、下着が乳首に軽く触れる。
「んっ……んっ……。」
このまましてしまうの?茅さんとセックスしてしまうの?数時間前まであんなに幸せの中にいたのに。私は……。
「やだ。」
唇を離されて、彼の体を押しのけようと手を伸ばした。だけど彼の体は全く避けようとしない。
「ここ、すごい立ってるな。ビンビン。それに小さいけど柔らかい。」
そのときだった。
茅さんの体がすっと離れた。正確には離されたというのだろうか。
「茅。」
柊さん?ううん。違う。それは葵さんだった。
「葵か。」
「精が溜まっているなら、自分で処理でもしたらどうだ。そういう方法はいくつか知っているだろう。」
首根っこを捕まれ、葵さんは彼を床に放り投げた。
どすん。と言う音がして、彼は床に倒れ込む。そして私を背にして、葵さんは茅さんを見下ろしている。こちらからは表情は見えない。
「ふん。力付くでもないと、こいつは言うことを聞かないだろう?」
「聞くわけがない。それに薬を使って言うことを聞かせるなんて言うのは、私が椿の時でもしたことはない。誰から習った?」
倒れ込んでいる茅さんに葵さんは、しゃがみ込んで言う。
「茅。こいつはお前のモノにはならない。」
「……お前のモノにもならねぇよ。」
「今のところ柊だけのモノだ。」
「その柊はいねぇよ。何してんのかわかんねぇ。そんな怪しいことしてんのに、こいつは待つだけか?」
「だからこの人を襲った?薬を飲ませて?」
「……。」
「いいわけだ。茅。もう近づくな。」
すると茅さんは立ち上がり、葵さんを見上げた。
「変な薬なんか飲ませてねぇよ。ただのビタミン剤だ。」
「……。」
「俺で反応していたのは事実だからな。」
そういって茅さんは部屋を出ていった。と思う。玄関ドアが開いて閉まった音がしたから。
葵さんはふっとため息をつくと、私の方を振り向いた。
「大丈夫ですか。」
「はい。ありがとうございます。」
手をさしのべられたけれど、私はそれに捕まらずに自分でたちが上がった。
「すいません。ご迷惑かけて。」
「迷惑なんて思ってませんよ。悪いのは茅です。」
私は乱れた服を身につける。変な薬だと思っていたのは、ビタミン剤だった。それを知ってか、私は妙に落ち着いている気がした。
「また、あなたが傷ついてしまいましたね。」
「……。」
「茅はいつもあんな感じですか。」
「……茅さんはどこか不安定な部分がありました。たまにこうして、私に近づいてくることもあって……でも今日みたいなのは、初めてです。」
「柊には言っていますか?」
私は首を横に振る。
「言えません。」
「そうでしょうね。彼はまだきっと茅を、慕ってくる後輩だというくらいでしか思っていないでしょうし。」
葵さんはいつもの笑顔を浮かべ、私の肩に手を置く。
「一度シャワーでも浴びましょう。落ち着いて。」
バスルームへやってきて、シャワーを浴びる。あぁ。数時間前まであんなに幸せの中にいたのに。
他の男の人の手でこんなに淫らになる。そんな自分がイヤだった。柊さんの手の中で、イヤらしい女になりたいのに。
部屋着に着替えて、リビングにやってくると葵さんが私にカップを差し出す。
「落ち着きますよ。」
カップにはホットミルクが注がれていた。甘い匂いがする。ただ単に牛乳を温めただけじゃないんだろう。
「ありがとうございます。」
「私もね、あなたを無理矢理モノにしようとしたことは何度もありますよ。でも、あなたがそれを望んでいなかった。望まれたのは一度だけですね。」
「後悔しています。」
ソファに座り、ホットミルクに口を付けた。蜂蜜のにおいと甘さを少し感じた。
「私にとってはいい思い出ですがね。」
「……。」
「茅も……茅なりにあなたに好意を持っているのでしょうね。」
「私は望んでません。」
「えぇ。そうでしょうね。彼はきっとあなたに恋をしているわけではない。上っ面だけの好きという言葉です。」
あなたもそうだろう。そういいかけて、やめた。いくら何でも今この状態でそれはあんまりだ。
「柊はそんな状態でもあなたの側にはいられない。少なくともあと半年は。」
「……。」
「桜さんに話があったんです。だから今日ここに訪れたんですけどね。」
「どうしましたか?」
「バイトを募集します。気を悪くしないでくださいね。」
確かに私がやめれば、「窓」は今までやっていたテイクアウトが出来なくなるから。今から育てた方がいいと思っているのだろう。
「次は男性にしますよ。それから、あなたが焙煎を覚えたら、うちに戻ってくれればと思っています。」
「……柊さんはきっとこの町に戻ってくるのをいやがっていると思います。私もそれに習いたいと思っているので。」
「彼も戻ってきますよ。椿がある限りね。」
その葵さんの微笑みは、いつもと違う。そんな気がした。
「薬を飲ませてそんな抵抗が出来るんだな。」
「薬?」
変な薬でも飲ませたの?
「でもそれも出来ないはずだ。ほら。ここが立ってる。」
そういって彼は手を胸に持ってくる。するとびりっとしたような感触があった。まるで電流でも流されているような。
「あっ!」
「服越しなのに。やらしい奴。」
服越しに、手が私の胸に触れてくる。その手つきはとてもイヤらしくて、下着越しなのにそこが痛いほど立っているのがわかる。
「直接触ったらどんな反応をするんだろうな。」
薄い明かりの中でも、笑っているのがわかる。好きだとか、そんな感情じゃない。ただ単純に女を楽しみたい。そんな風にも見える。
「やだ。やだ。怖い。やめて。」
抵抗したいのに、抵抗できない。首をただ振るだけ。それも顎を捕まれて、唇を重ねて舌を差し込まれるとそれも出来ない。
「んっ……。」
舌の先がびりびりと痺れるようだ。いつものキスなのに、胸の奥から熱くなる。ワンピースの背中のチャックを下ろされる音がして、そしてそのまま下着のホックがはずされる。ふっと軽くなり、下着が乳首に軽く触れる。
「んっ……んっ……。」
このまましてしまうの?茅さんとセックスしてしまうの?数時間前まであんなに幸せの中にいたのに。私は……。
「やだ。」
唇を離されて、彼の体を押しのけようと手を伸ばした。だけど彼の体は全く避けようとしない。
「ここ、すごい立ってるな。ビンビン。それに小さいけど柔らかい。」
そのときだった。
茅さんの体がすっと離れた。正確には離されたというのだろうか。
「茅。」
柊さん?ううん。違う。それは葵さんだった。
「葵か。」
「精が溜まっているなら、自分で処理でもしたらどうだ。そういう方法はいくつか知っているだろう。」
首根っこを捕まれ、葵さんは彼を床に放り投げた。
どすん。と言う音がして、彼は床に倒れ込む。そして私を背にして、葵さんは茅さんを見下ろしている。こちらからは表情は見えない。
「ふん。力付くでもないと、こいつは言うことを聞かないだろう?」
「聞くわけがない。それに薬を使って言うことを聞かせるなんて言うのは、私が椿の時でもしたことはない。誰から習った?」
倒れ込んでいる茅さんに葵さんは、しゃがみ込んで言う。
「茅。こいつはお前のモノにはならない。」
「……お前のモノにもならねぇよ。」
「今のところ柊だけのモノだ。」
「その柊はいねぇよ。何してんのかわかんねぇ。そんな怪しいことしてんのに、こいつは待つだけか?」
「だからこの人を襲った?薬を飲ませて?」
「……。」
「いいわけだ。茅。もう近づくな。」
すると茅さんは立ち上がり、葵さんを見上げた。
「変な薬なんか飲ませてねぇよ。ただのビタミン剤だ。」
「……。」
「俺で反応していたのは事実だからな。」
そういって茅さんは部屋を出ていった。と思う。玄関ドアが開いて閉まった音がしたから。
葵さんはふっとため息をつくと、私の方を振り向いた。
「大丈夫ですか。」
「はい。ありがとうございます。」
手をさしのべられたけれど、私はそれに捕まらずに自分でたちが上がった。
「すいません。ご迷惑かけて。」
「迷惑なんて思ってませんよ。悪いのは茅です。」
私は乱れた服を身につける。変な薬だと思っていたのは、ビタミン剤だった。それを知ってか、私は妙に落ち着いている気がした。
「また、あなたが傷ついてしまいましたね。」
「……。」
「茅はいつもあんな感じですか。」
「……茅さんはどこか不安定な部分がありました。たまにこうして、私に近づいてくることもあって……でも今日みたいなのは、初めてです。」
「柊には言っていますか?」
私は首を横に振る。
「言えません。」
「そうでしょうね。彼はまだきっと茅を、慕ってくる後輩だというくらいでしか思っていないでしょうし。」
葵さんはいつもの笑顔を浮かべ、私の肩に手を置く。
「一度シャワーでも浴びましょう。落ち着いて。」
バスルームへやってきて、シャワーを浴びる。あぁ。数時間前まであんなに幸せの中にいたのに。
他の男の人の手でこんなに淫らになる。そんな自分がイヤだった。柊さんの手の中で、イヤらしい女になりたいのに。
部屋着に着替えて、リビングにやってくると葵さんが私にカップを差し出す。
「落ち着きますよ。」
カップにはホットミルクが注がれていた。甘い匂いがする。ただ単に牛乳を温めただけじゃないんだろう。
「ありがとうございます。」
「私もね、あなたを無理矢理モノにしようとしたことは何度もありますよ。でも、あなたがそれを望んでいなかった。望まれたのは一度だけですね。」
「後悔しています。」
ソファに座り、ホットミルクに口を付けた。蜂蜜のにおいと甘さを少し感じた。
「私にとってはいい思い出ですがね。」
「……。」
「茅も……茅なりにあなたに好意を持っているのでしょうね。」
「私は望んでません。」
「えぇ。そうでしょうね。彼はきっとあなたに恋をしているわけではない。上っ面だけの好きという言葉です。」
あなたもそうだろう。そういいかけて、やめた。いくら何でも今この状態でそれはあんまりだ。
「柊はそんな状態でもあなたの側にはいられない。少なくともあと半年は。」
「……。」
「桜さんに話があったんです。だから今日ここに訪れたんですけどね。」
「どうしましたか?」
「バイトを募集します。気を悪くしないでくださいね。」
確かに私がやめれば、「窓」は今までやっていたテイクアウトが出来なくなるから。今から育てた方がいいと思っているのだろう。
「次は男性にしますよ。それから、あなたが焙煎を覚えたら、うちに戻ってくれればと思っています。」
「……柊さんはきっとこの町に戻ってくるのをいやがっていると思います。私もそれに習いたいと思っているので。」
「彼も戻ってきますよ。椿がある限りね。」
その葵さんの微笑みは、いつもと違う。そんな気がした。
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