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想う人
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ホストクラブで今日の売り上げが一番良かったホストが、今日のラストソングを歌う。隣には一番お金を落とした客がいるのだ。
当然のように今日の売り上げの一番は、水樹だった。水樹はカラオケなんかでは歌わない。だいたいキーボードを用意してもらって弾き語りで歌うのだ。その歌声に本来なら自分の担当のホストがナンバーワンにならなかった場合、すぐに帰ってしまう他のホストについていた客もその場にとどまるのだ。
今日の水樹は何かが違う。少し距離を置いていた経営者である代表と名前の付いている男が、その様子をじっと見ていた。
水樹の表情が切ない。隣にいる女ではなく、その違う誰かを見ているような気がしていた。薄い歌詞のメロディだが、水樹の手に掛かれば名曲になるような気がする。
そして水樹は歌い終わると、女たちが羨望のまなざしで見ていた。拍手の渦の中、ステージを降りてテーブルにある水を飲む。水を飲んでいるだけなのに絵になる男だ。
なのに水樹の頭の中には、一つのことしかなかった。
風の音がしたのでおそらく外にいた。日が変わった時間だった。そんな時間に外にいるのは、きっと恋人である蓮が近くにいたから。そしてそのままどこかへ消えたのだ。どこかというのはきっと一つしかない。水樹もいったことのある蓮の部屋なのだろう。
恋人同士の男女が二人でいる。何もしないわけはないのだ。きっとセックスをしているに違いない。そう思うと腹立たしい。
奪いたい。蓮からも、棗からも。抱き寄せてキスをしてそのまま抱きたい。そう思えるのは初めてだったかもしれない。
シャワーからあがると、菊子はCDの棚を見ていた。いつものことだ。乾いたスポンジに水を吸うように、菊子は音楽を吸収しようとしている。
そして一枚のレコードを手にした。
「それがいいのか?」
外国のロックバンドのレコードだった。昔のレコードで、紙のパッケージは端がぼろぼろになっている。
「うん。聴いてみてもいい?」
「菊子。」
このパターンだと、朝までレコードを聴いている。それもかまわないが、せっかくの二人の時間なのだ。もっと触れていたい。そう思ってレコードを手に取っている菊子の体を後ろから抱き寄せた。
「蓮……。」
不満そうに口をとがらせるが、あまり時間はないのだ。こんな時くらいゆっくり抱きたい。
「レコードを置いて。」
言われたとおりレコードを置くと、菊子は蓮の方を向いた。
「はぐらかしたの。」
「菊子。」
「何度しても緊張するから。それに……恥ずかしいのは慣れない。」
その言葉に蓮は少し笑い、菊子の頬に手を置いた。
「俺も慣れない。でも……お前のことが好きだ。」
急に手が熱くなる。菊子の頬が赤くなったのだ。そして菊子は何もいわずに蓮の胸に倒れ込む。
「私も好き。」
そう言うと蓮は菊子の体を抱きしめた。そして耳元で言う。
「俺の方を見て言え。」
「意地悪。」
少し笑い、菊子を少し離す。すると菊子は蓮の方を見上げた。
「好き。」
真っ赤になっている頬。恥ずかしいのか、目が合っていたがすぐに逸らせた。その頬に唇を重ね、そして唇にキスをする。
「蓮……。」
潤んだ目で菊子は蓮を見上げる。その表情がたまらない。菊子を抱き上げると自分の膝の上に載せて唇をまた重ねる。今度は唇を割ると、舌を絡ませた。
「ん……。」
全部忘れさせてくれないだろうか。皐月にされたキスも、棗を体を合わせたことも、すべて蓮が打ち消してくれればいい。
唇を離すと、蓮の手が菊子のシャツを脱がせる。下着一枚の菊子の首筋に唇をはわせた。
「蓮……あっ……。」
尻に手を当てられて、腰を上げられる。すると蓮の目の前に下着が現れた。その下着をずらすと、ピンク色の乳首が見える。それに指を少し這わせただけで、堅く尖ってきた。
「あっ……。」
何も考えられなくなりそうだ。下着をとられて、蓮の舌が胸を舐めあげていくと、体の内側から何か染み出そうになる。
「蓮……。」
見上げる菊子はもう顔がとろけそうだ。もっと感じさせたい。もっと自分だけを見て欲しい。蓮はそう思いながら、菊子の腰に手を回す。そして抱き上げると、ベッドへ菊子を運んだ。
「菊子……好き。」
「私も……。」
蓮もシャツを脱ぐと、菊子に乗り上げた。
「蓮……お願い。ぎゅっと抱きしめてくれる?」
すると蓮はその体を抱き上げてを自分の胸に抱き寄せる。温かい菊子の体。誰にも渡したくなかった。
堅くそそり立ったものから口を離すと、蓮は吐息を漏らす。思った以上に気持ちよかったからだ。
「蓮。気持ちよくない?」
不安そうに菊子が聞いてくる。だが蓮は菊子の頭を撫でて、首を横に振る。
「気持ちいい。出そうだった。」
「……。」
「でもここで出すと、お前に入れ込めない。お前を感じさせたいから。」
「私のため?」
「あぁ。」
そう言って蓮は菊子を膝の上に載せる。菊子のそこはもう蓮のものをいつでも入れ込めるのではないかというくらい、どろどろになっていた。
それを確かめるように蓮はそこに指を這わせ、その中に指をいれる。温かくてぎゅっと締め付けてくる。
「ん……。蓮……。だめ……もう……。」
指を抜くと、蓮は自分の塗れているものを少し菊子にあてがった。
「熱い……熱いね。」
「あぁ。」
「そのまま……入れるの?」
「そうはいかないだろう。大将も女将さんも曾孫が欲しいってわけではないのだから。」
本当はそれでも良かった。菊子を檻に閉じこめるわけにはいかないが、もし子供でも出来たらイヤでも自分のものになるのに。
「菊子……。」
しかし菊子がそれを望んでいないのだろう。
蓮は少し菊子をよけると、枕の下からコンドームを取り出した。それを自分につけようと袋を破る。するとその様子を菊子はじっと見ていた。
「……どうした。」
「普段あまり目にしないわ。だから見ておきたいと思ったの。」
「棗はつけないのか。」
「……その名前言わないで。」
少し頬を膨らませて、菊子は抗議する。すると蓮はそれを付け終わると、菊子をまた側に寄せた。
「俺だけのものだ。菊子。俺の菊子。好き。」
「私も好きよ。」
すると菊子は自分から蓮の唇にキスをする。そして少し腰を浮かせると、その中に入れ込んでいった。
「あっ……。」
きつそうな顔をしている。なのにそれが止まらない。菊子の中は相変わらず気持ちがいい。温かくて少し締めてくる。おそらく入れただけで少し絶頂に達してしまったのかもしれない。
「蓮……。あっ……。奥……に……。」
「奥まで入ったな。ほら。ここ、当たってるな。」
菊子は少し腰を浮かせる。そしてまた沈み込む。
「あっ……あっ……。」
そのたびに声が漏れた。不器用に腰を動かす菊子が愛しい。そしてそのゆるゆると締めてくるそれが気持ちいい。
「菊子。」
いったん菊子から抜き、蓮は菊子を寝かせる。そして足を高くあげた。
「や……蓮。この体勢、全部……。」
「見せろ。」
さっきまで自分が入っていたそれに顔を近づけて、舌を伸ばす。するとますますそこから愛液が染み出てきた。
「蓮……んっ……。あっ!あっ……。」
そしてそのまま自分を入れ込んだ。そしてぐっと突き上げる。
「ああああ!蓮。蓮!激しい!だめ。そんなに激しくしたら!イく!すぐイっちゃう!」
「奥まで届いてるな。すごい。菊子の中、気持ちいい……。」
「蓮……蓮!イく!ああああ!」
びくびくと痙攣するように、菊子は体を弓なりにした。その様子に蓮は菊子の顔に近づく。そして激しくキスをしてまた打ち込んでいく。
「あっ!あっ!」
「奥が好きか?激しいのが好きなのか?」
「わかんない。どっちも……気が狂いそう……。」
「俺だけ感じろ。誰にも渡さないから。菊子……んっ……。」
菊子の腰を持ち上げて、その中に打ち込んでいく。すると菊子は再び絶頂に達しそうになっていた。
「ああああ!蓮!蓮!」
「俺も……イきそう。」
そのまま奥に、入れ込んだまま射精する。菊子をおろし、そのまま彼女の体の上にもたれ掛かった。
「……やばい……菊子……。」
こんなに感じてくれただろうか。いつもそうだっただろうか。やはり誰かに体を許しているのだろうか。疑問が残る。
当然のように今日の売り上げの一番は、水樹だった。水樹はカラオケなんかでは歌わない。だいたいキーボードを用意してもらって弾き語りで歌うのだ。その歌声に本来なら自分の担当のホストがナンバーワンにならなかった場合、すぐに帰ってしまう他のホストについていた客もその場にとどまるのだ。
今日の水樹は何かが違う。少し距離を置いていた経営者である代表と名前の付いている男が、その様子をじっと見ていた。
水樹の表情が切ない。隣にいる女ではなく、その違う誰かを見ているような気がしていた。薄い歌詞のメロディだが、水樹の手に掛かれば名曲になるような気がする。
そして水樹は歌い終わると、女たちが羨望のまなざしで見ていた。拍手の渦の中、ステージを降りてテーブルにある水を飲む。水を飲んでいるだけなのに絵になる男だ。
なのに水樹の頭の中には、一つのことしかなかった。
風の音がしたのでおそらく外にいた。日が変わった時間だった。そんな時間に外にいるのは、きっと恋人である蓮が近くにいたから。そしてそのままどこかへ消えたのだ。どこかというのはきっと一つしかない。水樹もいったことのある蓮の部屋なのだろう。
恋人同士の男女が二人でいる。何もしないわけはないのだ。きっとセックスをしているに違いない。そう思うと腹立たしい。
奪いたい。蓮からも、棗からも。抱き寄せてキスをしてそのまま抱きたい。そう思えるのは初めてだったかもしれない。
シャワーからあがると、菊子はCDの棚を見ていた。いつものことだ。乾いたスポンジに水を吸うように、菊子は音楽を吸収しようとしている。
そして一枚のレコードを手にした。
「それがいいのか?」
外国のロックバンドのレコードだった。昔のレコードで、紙のパッケージは端がぼろぼろになっている。
「うん。聴いてみてもいい?」
「菊子。」
このパターンだと、朝までレコードを聴いている。それもかまわないが、せっかくの二人の時間なのだ。もっと触れていたい。そう思ってレコードを手に取っている菊子の体を後ろから抱き寄せた。
「蓮……。」
不満そうに口をとがらせるが、あまり時間はないのだ。こんな時くらいゆっくり抱きたい。
「レコードを置いて。」
言われたとおりレコードを置くと、菊子は蓮の方を向いた。
「はぐらかしたの。」
「菊子。」
「何度しても緊張するから。それに……恥ずかしいのは慣れない。」
その言葉に蓮は少し笑い、菊子の頬に手を置いた。
「俺も慣れない。でも……お前のことが好きだ。」
急に手が熱くなる。菊子の頬が赤くなったのだ。そして菊子は何もいわずに蓮の胸に倒れ込む。
「私も好き。」
そう言うと蓮は菊子の体を抱きしめた。そして耳元で言う。
「俺の方を見て言え。」
「意地悪。」
少し笑い、菊子を少し離す。すると菊子は蓮の方を見上げた。
「好き。」
真っ赤になっている頬。恥ずかしいのか、目が合っていたがすぐに逸らせた。その頬に唇を重ね、そして唇にキスをする。
「蓮……。」
潤んだ目で菊子は蓮を見上げる。その表情がたまらない。菊子を抱き上げると自分の膝の上に載せて唇をまた重ねる。今度は唇を割ると、舌を絡ませた。
「ん……。」
全部忘れさせてくれないだろうか。皐月にされたキスも、棗を体を合わせたことも、すべて蓮が打ち消してくれればいい。
唇を離すと、蓮の手が菊子のシャツを脱がせる。下着一枚の菊子の首筋に唇をはわせた。
「蓮……あっ……。」
尻に手を当てられて、腰を上げられる。すると蓮の目の前に下着が現れた。その下着をずらすと、ピンク色の乳首が見える。それに指を少し這わせただけで、堅く尖ってきた。
「あっ……。」
何も考えられなくなりそうだ。下着をとられて、蓮の舌が胸を舐めあげていくと、体の内側から何か染み出そうになる。
「蓮……。」
見上げる菊子はもう顔がとろけそうだ。もっと感じさせたい。もっと自分だけを見て欲しい。蓮はそう思いながら、菊子の腰に手を回す。そして抱き上げると、ベッドへ菊子を運んだ。
「菊子……好き。」
「私も……。」
蓮もシャツを脱ぐと、菊子に乗り上げた。
「蓮……お願い。ぎゅっと抱きしめてくれる?」
すると蓮はその体を抱き上げてを自分の胸に抱き寄せる。温かい菊子の体。誰にも渡したくなかった。
堅くそそり立ったものから口を離すと、蓮は吐息を漏らす。思った以上に気持ちよかったからだ。
「蓮。気持ちよくない?」
不安そうに菊子が聞いてくる。だが蓮は菊子の頭を撫でて、首を横に振る。
「気持ちいい。出そうだった。」
「……。」
「でもここで出すと、お前に入れ込めない。お前を感じさせたいから。」
「私のため?」
「あぁ。」
そう言って蓮は菊子を膝の上に載せる。菊子のそこはもう蓮のものをいつでも入れ込めるのではないかというくらい、どろどろになっていた。
それを確かめるように蓮はそこに指を這わせ、その中に指をいれる。温かくてぎゅっと締め付けてくる。
「ん……。蓮……。だめ……もう……。」
指を抜くと、蓮は自分の塗れているものを少し菊子にあてがった。
「熱い……熱いね。」
「あぁ。」
「そのまま……入れるの?」
「そうはいかないだろう。大将も女将さんも曾孫が欲しいってわけではないのだから。」
本当はそれでも良かった。菊子を檻に閉じこめるわけにはいかないが、もし子供でも出来たらイヤでも自分のものになるのに。
「菊子……。」
しかし菊子がそれを望んでいないのだろう。
蓮は少し菊子をよけると、枕の下からコンドームを取り出した。それを自分につけようと袋を破る。するとその様子を菊子はじっと見ていた。
「……どうした。」
「普段あまり目にしないわ。だから見ておきたいと思ったの。」
「棗はつけないのか。」
「……その名前言わないで。」
少し頬を膨らませて、菊子は抗議する。すると蓮はそれを付け終わると、菊子をまた側に寄せた。
「俺だけのものだ。菊子。俺の菊子。好き。」
「私も好きよ。」
すると菊子は自分から蓮の唇にキスをする。そして少し腰を浮かせると、その中に入れ込んでいった。
「あっ……。」
きつそうな顔をしている。なのにそれが止まらない。菊子の中は相変わらず気持ちがいい。温かくて少し締めてくる。おそらく入れただけで少し絶頂に達してしまったのかもしれない。
「蓮……。あっ……。奥……に……。」
「奥まで入ったな。ほら。ここ、当たってるな。」
菊子は少し腰を浮かせる。そしてまた沈み込む。
「あっ……あっ……。」
そのたびに声が漏れた。不器用に腰を動かす菊子が愛しい。そしてそのゆるゆると締めてくるそれが気持ちいい。
「菊子。」
いったん菊子から抜き、蓮は菊子を寝かせる。そして足を高くあげた。
「や……蓮。この体勢、全部……。」
「見せろ。」
さっきまで自分が入っていたそれに顔を近づけて、舌を伸ばす。するとますますそこから愛液が染み出てきた。
「蓮……んっ……。あっ!あっ……。」
そしてそのまま自分を入れ込んだ。そしてぐっと突き上げる。
「ああああ!蓮。蓮!激しい!だめ。そんなに激しくしたら!イく!すぐイっちゃう!」
「奥まで届いてるな。すごい。菊子の中、気持ちいい……。」
「蓮……蓮!イく!ああああ!」
びくびくと痙攣するように、菊子は体を弓なりにした。その様子に蓮は菊子の顔に近づく。そして激しくキスをしてまた打ち込んでいく。
「あっ!あっ!」
「奥が好きか?激しいのが好きなのか?」
「わかんない。どっちも……気が狂いそう……。」
「俺だけ感じろ。誰にも渡さないから。菊子……んっ……。」
菊子の腰を持ち上げて、その中に打ち込んでいく。すると菊子は再び絶頂に達しそうになっていた。
「ああああ!蓮!蓮!」
「俺も……イきそう。」
そのまま奥に、入れ込んだまま射精する。菊子をおろし、そのまま彼女の体の上にもたれ掛かった。
「……やばい……菊子……。」
こんなに感じてくれただろうか。いつもそうだっただろうか。やはり誰かに体を許しているのだろうか。疑問が残る。
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