手錠から始まった

神崎

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総攻撃

裏切りと全滅

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 屋敷の中には人がほとんどいなかった。おそらく火事とともに仲間を殺した奴らを躍起になって捜しているのかもしれない。そんなものは町にはいない。何せここにいるのだから。
 難なく7人は地下へつながる階段へやってくることが出来た。
 石造りの階段は、ひんやりとしていて足を踏み入れる度に音が鳴りそうになる。しかしこの場にいるものは、誰もそんな音を立てない。根っからの盗人ばかりなのだ。
 そしてたどり着いたのは、鉄格子で囲われた小さな部屋が点在するところだった。何人かの人はいたが、皆こちらを見ようともしない。おそらく薬か何かをかがせているのだろう。
 その目をハンは良く知っている。母の目とそっくりだったからだ。
「ここだ。」
 ジョナスはそう言って指さしたのは、一番奥にある鉄の扉だった。その扉に手をかけたのはノアで、鈍い音を立てて扉が開く。
 薄暗い部屋の中で、壁につなげられた鎖に繋がれた女。髪で覆われた顔を見なくてもわかる。
「ユーリ。」
 ノアがそう言って近づいた。残る人たちもそれに続く。
 鎖を説き猿ぐつわをはずす。そして目隠しをとり、彼女は前を見る。
「これは…ツタね。植物性の…。」
 ソフィアが繋がれていたそのツタをのんきに見ていたが、その言葉を遮るように、ユーリは言った。
「そいつから離れろ!」
 一番後ろにいたレオが振り向いた。しかしその顔を見ることはない。そのとき彼はもうすでに胴と首が離れていたのだから。
「レオ!」
 ミケルが声を上げた。しかしそれは空しく響くだけだった。
「惜しい。惜しい。二人一気に殺せると思ったのに。」
「ジョナス!てめぇ!」
 ミケルはそう言ってジョナスに突きかかろうとした。しかし彼はその攻撃をするりとかわす。まるで柳のようだ。
「…「shadow」を裏切る気など、さらさらなかったようだな。」
 ノアはそう言ってナイフを取り出した。その場にいるものすべてが、それぞれの武器を取りだしている。
「フフ。みんなでかかってきても良いよ。負ける気はしないけどね。」
 ミケルの血管がぷちんと切れる音がしたようだった。拳を握り、彼に突きかかろうとした。
「ジョナス。何の騒ぎだ。」
 老人の声がして扉から一人の老人が現れた。それはヨナだった。
「何だ。「Crow」のものか。そうか。あの火事はお前等の仕業か。」
「…何だ?」
 ノアはふと不自然に思った。ジョナスは火事のことを知っていたはずだ。どうしてそれをヨナに伝えていなかったのだろう。
「邪魔だね。」
「全くだ。ジョナス。こいつ等を…。」
 するとジョナスはその手に持っているナイフでヨナの首を落とした。
「あんたが邪魔なんだよ。うるさいし、よけいなことを言う。」
 おそらく何もわからないままヨナは絶命した。
「このことは「shadow」の独断でしたことじゃないのか。」
「知らないね。こいつが勝手に欲にまみれただけだ。「永遠の命」を得たいと思って、ユーリを殺そうとしていたみたいだけど。」
 そう言ってジョナスはその頭に足を乗せた。
「最大の弱点は頭が悪いことだ。そんなことでは、猫1匹自分の手で殺せないだろうね。」
 彼の足がヨナの頭を潰す。まだ鮮血が流れていた頭は、その中身をまき散らし床に散らばる。
「…。」
「ジョナス。お前…。」
「僕は戦いたいだけ。」
 するとミケルはそれに答えてやろうと、拳を握りしめた。
「戦ってやるよ。」
 ジョナスは少し笑う。
「いきがいいね。そう言うのは嫌いじゃない。でも…。」
 ナイフをしまって、彼はミケルの首を絞める。
「ミケル!」
 アイネスがナイフを投げようとしたときだった。ミケルの首があり得ない方向に曲がった。
「ミケル!」
 ゆっくりとミケルが後ろに倒れていく。その姿に「もう助かることはない」とアイネスは思っていた。
「わあああぁぁぁぁ!」
 彼女はそのナイフを投げた。しかし涙で前が見えない。その後ろをいつの間にかジョナスが立っていた。
「君を殺すのはあとにとっておこうと思っていたんだよ。でも、今殺してあげる。」
 それに気がついて彼にナイフを突き立てようとした。しかしそのナイフをすぐに取り上げられ、彼女は首にナイフを突き立てられた。出血は止まることなく、彼女の服を赤く染める。
「死んだときに一番綺麗だろうと思ったんだよね。」
 うっとりとその死体を見ていると、ふとその頬に冷たいものが触れたのを感じた。
「そこまでだ。」
 彼の頬に剣を突き立てていたのは、ハンだった。しかし頬に剣を突き立てられても、ジョナスは一瞬だけ真顔になっただけであとはいつもの笑顔になっている。
「…ハンか?腕を上げたね。君も。気配を消すのは、きっとボスよりも上手いね。」
「くだらんおしゃべりはヤメだ。」
「そう?だったら君もすぐに片づけるよ。」
 剣にわざと触れて、腕を切り落とす。そして空いている片腕で、ハンの腹を殴った。それは体の小さなハンだからだろうが、後ろに弾き飛ばされてしまった。
「ハン!」
 そのときノアは信じられないものをみた。
 切り落とされたそのジョナスの腕から血は1滴も出ていなかったのだ。
「…やはりか。そいつが、木の精霊なんだな。」
 その一言でジョナスは、再び笑顔になった。
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