手錠から始まった

神崎

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総攻撃

彼の正体

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 ジョナスが何者でもかまわない。ソフィアは生きるために、そいつを殺さないといけないのだ。そう、いつでもそうしてきたはずだ。無意識だったかもしれないが、研究所で「仲間」だと口にしていたものも、「邪魔」だからと無慈悲に殺した。
 今は「邪魔」だからではない。
 今は「目的」のために生きなければいけないのだ。
 手に持っている銃を構え、ジョナスに向けて発砲した。

 パン!

 1発。2発。球切れするまで打ち込んだ。しかしジョナスは立っていた。いつもの笑顔を浮かべ、こちらを振り向いた。
「ひっ!」
 銃を投げ捨てて、後ろに下がる。そしてたどり着いたのはひんやり冷たい石造りの壁だった。
 もう逃げられない。
 近づいてくるジョナスにただ震えることしか出来ない。生まれてきてからあまり感じたことがなかった。「死ぬ」かもしれないという恐怖と初めてソフィアは対峙したのだ。
「銃がないと何も出来ない?」

 ぱらぱら…。

 何の音かと思った。それはソフィアが打ち込んだ銃の弾だった。すべて当たってはいたが、彼には通用しない。
「そこまでだ。」
 そう言ってノアが彼の後ろに立つ。そしてその松明を彼につきつけていた。
「お前が「木の精霊」であれば、弱点は炎。そして…。」
 足下にその炎のついた松明を持ってくる。
「木の幹や、枝を撃ってもお前はすぐ再生する。だとしたら弱点は、根だ。」
 その言葉に、ジョナスは笑いながら、ノアの方を振り返った。
「僕は君と戦ってみたかった。2番目にね。君は博識だ。僕の特長を良くとらえようとしている。しかし…。」
 ジョナスはそう言ってその松明を払いのけた。
「僕は「木の精霊」なんかじゃないんだよ。残念だけどね。」
 その瞬間、彼はノアの腹にパンチを繰り出した。しかし一瞬その判断が良く、ノアはそれを避ける。
「「木の精霊」ではない?だったら…何だというんだ。」
 するとその部屋の橋で座り込んでいたユーリがゆっくりと立ち上がった。そしてジョナスにゆっくりと近づく。その彼女の目は白目の部分もすべてが黒かった。
「…ジョナス。貴様を…殺せと…指示が出た…。」
 彼女についている傷、それすらも黒く変色していた。
「…まさか。君は…神からも悪魔からもそっぽ向かれたはず…。」
 そのとき初めてジョナスの表情が変わった。「死」を意識したのかもしれない。
「下等な精霊使い。それが貴様の正体だ。そして…。」
 指を向ける。その指から黒い、巨大な鎌が出現した。
「その「任」を解けと指示された。よって貴様を神の元へ送らなければならぬ。」
「僕が?」
 薄ら笑いをやめて、彼は落ちている剣を拾った。それはハンの剣だった。
「僕が君を殺すよ。そして僕が「神威族」の跡を継ぐ。」
 先に切りかかったのは、ジョナスの方だった。彼女に剣を突き刺そうとしたのだ。しかし彼女はそれを許さない。
 鎌でその剣を受けて、そのままその鎌を彼の体に突き刺した。しかしやはり彼からは血の一滴も出ない。
「…石よ。鉱石よ。大地よ。この者を、天へ。すべてを切り裂く死に神の鎌にて、死に絶えよ。」
 強大な力だった。
 その彼女の鎌は彼を切り裂く。頭の先から足の先まで一直線に切り裂かれる。そしてそこに残ったのは、1本の木材だった。
「…。」
 鎌がなくなり、ユーリの体の傷はすべてまた赤く変わる。ふらりとよろけて、彼女はまた床に座り込んでしまった。
「ユーリ!」
 近づいてきたのはハンだった。腹にダメージを受けたが、深刻なダメージではなかったようだった。
「…ハン?」
 目を開ける。その色は普段通りの目の色になっていた。
「力を…使いすぎたわ。予想外に…彼の力があったのね…。」
 木材に近づき、ノアは一つのロケットペンダントが落ちているのに気がついた。それを手に取り、開けてみる。
「…これは…。」
 そこには見覚えのある人が写っていた。
「ジェイク。こいつは…ジェイクの何なんだ。」
「おそらく…兄よ。」
「…ジェイクの?まさか、あいつが…。」
「似ていたわ。そして私をずっと…恨んでいたようだった。」
 彼女は再び立ち上がり、端でまだ燃え続けている松明を手に取った。
「…燃やさないと…きっとまた復活する。」
「神の元へ送るんじゃないのか。」
「ある程度、また精霊に思いを伝えれば復活する可能性があるの。そうならないために灰にするくらい燃やさないと…。」
 その薪にユーリが火をつけようとしたときだった。

 パン!

 銃の音がした。
 誰が撃ったの?イヤ、誰が撃たれたの?ユーリ?ハン?
 ユーリはそっちをみる。すると、胸を赤く染めているノアが立ち尽くしていた。
「…ユー…。」
 名前を呼ぼうとしていたのだろう。しかしノアは力なく倒れ込んでしまった。
「ノア?ノア!どうして…。」
 ハンは撃った人を見る。そして「どうして」など考える間もなく、彼は彼女の首を切った。
 切られた人はソフィアだった。
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