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聖夜
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一つ目の駅について、降りていく人、また乗ってくる人も沢山いる。二人は体を避けてまた電車が進んでいくのを見ていた。
「一度、妻の所に倫子さんを連れていったことがあるよ。」
「……何で?」
どうして倫子を連れて行ったのだろう。寝たきりとは言っても、妻の所に愛人を連れていくようなものだ。お互いに良い気分はしないと思う。
「一つは妻は新婚旅行から帰ってきたら、倫子さんの担当になるつもりだったから。あんな文章を書ける人に会いたいと言っていたし。」
もちろん、それだけではない。だが、泉に理由を告げるほどまだ分かり合えない。
「……奥様のため?」
「そうだね。それから……妻に倫子さんを紹介したかった。初めて好きな人が出来たとね。」
「奥様とは好きで結婚したんじゃないの?」
「……好きだったと思う。だけど、お互いの目的のために結婚したというのが大きかった。」
良い歳になっていた春樹は、妻が居なければ世間の体裁も良くないと思っていたし、妻は子供が欲しいだけだった。それにお互いの目的も一致した事が大きい。
「目的?」
「……今は言えない。だけど……本気で手に入れたいと思ったのは、倫子さんだけだった。だから奥さんに紹介した。」
棒に捕まる手を握りなおした。汗をかいているからだ。こんな事を言うつもりはなかったのに。
「セックスの時に言うことは大抵が嘘だと思う。けれど……本性も見えてくると思う。裸になるのは体だけではなく、心も裸になるのだから。」
その言葉に泉は少しうつむいた。
「伊織の本音が見えない。」
「だから二人にさせるよ。」
「……倫子と二人になりたいだけじゃなくて?」
「それも少しあるけどね。」
がたんと音を立てる。電車が少し揺れて、思わず春樹の体に体を寄せてしまった。夏になれば半裸でうろうろしていて、体は鍛えているんだと思うくらいだったが、こんなに触れたことはない。がっちりした体が伝わってきた。
「っと……大丈夫?」
「うん。」
前に伊織と同じ事になったことがある。だがそこに春樹を「男」として意識する要素はなかった。やはり泉が好きなのは、伊織だけなのだろう。
家に帰ってきて、玄関を見ると見覚えのあるブーツが置いてあった。やはり政近は帰っていなかったのだ。春樹は少しため息を付くと、家の中に上がる。泉はその前に自分の部屋へ行って荷物やジャンパーを置いてきた。
「お帰り。」
居間には倫子と政近がいる。漫画の後編の打ち合わせをしていたらしく、テーブルにはメモ紙や消しゴムのかすが散らばっていた。
「伊織君は?」
その場に伊織は居ない。部屋にでも居るのだろう。
「二人が帰るまで仕事をするって言ってたわ。」
「だったら呼びに行こう。ん?何か作ってる?」
「チャウダーとサラダ。」
「そんなモノも作れるんだね。」
春樹も意外そうに、倫子を見ていた。和食や魚が好きなのだと思っていたので、もしかしたら他に用意をすると言っても煮魚なんかが出てくるのかと思ったのだ。
「和食洋食にこだわらないわ。」
倫子はそういってメモを片づけ始めた。その隣には政近が居る。このまま食事もして帰ろうと思っているのだろうか。
「田島先生は、帰られますか?」
「こんな時間まで居るんですよ。飯くらい食わせてくださいよ。」
やはりそうきたかと、春樹は少しため息を付いた。
そして自分のコートや荷物を部屋に置くついでに、伊織の部屋をのぞく。
「伊織君。」
声をかけると、伊織はすぐに顔をのぞかせた。
「帰ってきた?泉も一緒?」
「あぁ。チキンを買ってきてくれてたんだね。」
「うん……。温めなおした方がいいね。」
いつもより元気がない。泉もまた元気がないようだったが、こちらもまた何か抱え込んでいるのだろう。
「田島先生が居たから、ピザが足りるかな。」
「そう思って、この間の魚をフライにしたよ。」
「あぁ。そうか。」
そして伊織は部屋に戻ろうとした。こちらはこちらでなにを考えているのかわからない。
「お前らカロリー考えてねぇだろ。」
食卓に並んだのは、ピザやチキン、魚のフライ、そしてケーキ。すべてが高カロリーだ。
「今日くらい良いわよ。明日は雑炊ね。」
文句を言っている政近に、春樹は少し笑いながら言う。
「食にこだわりがあるんですか。田島先生は。」
「別に。うち、炊飯器もねぇし。」
「それでよく生きていられるな。」
「ほっとけ。今時はパックの飯も悪くねぇんだよ。」
そう言われて、倫子は少し手を止めた。そうだ。あの日、政近の部屋で食事をしたのは、パックのご飯だった。その上に卵を載せて、卵かけご飯を食べる。何の変哲もないご飯だったのにありがたいと思えたきっかけになったのだ。
だがそのあとは良くない。思わず流れでセックスをしてしまったが、それは春樹を裏切る行為にしかないのだから。
「ピザも美味しいわ。でもこのサイズを持って帰るの大変だったんじゃない?」
倫子はそう聞くと、泉は少し笑って言う。
「春樹さんに会ったから良かったのよ。それに持ち帰りにしたら割引があるし。」
「そうだったの。」
その間も伊織は黙ったままだった。何かあったのだろうか。そう思って春樹は伊織に声をかける。
「食欲無い?」
すると伊織は我に返ったように、首を振った。
「美味しいよ。チキン、予約したのに行列が出来ててさ。」
「そうね。高柳さんの所もそんな感じだったわ。」
「……これ、フライドチキンと言うよりもタンドリーチキンに近いね。」
「そうなの?」
「揚げているんじゃなくて、焼いているからね。」
そのとき倫子がワインに口を付けたあと、ふと思い出したことがあると首を傾げた。
「そう言えば、今日、パトカーとか白バイとか多かったわね。」
「あぁ。空港に向かってたみたいだよ。」
春樹はそう言って携帯電話を取り出して、倫子に見せる。
「大使館の職員?」
「そう。向こうの国で逮捕された。だけど大使館内は、治外法権だからこっちの国で裁かれる。」
「そう……だから警察が動いていたのね。」
すると伊織はぽつっと倫子に言う。
「倫子。たぶんだけど……。」
「うん?」
「……青柳グループのトップが逮捕される。明日にでも。」
その言葉に倫子は驚いたようにグラスを置いた。
「どうして……。」
「その大使館の職員は、この国の子供をあっちの国に送っていたんだ。」
「戸籍のない子って事?」
「そう。というか……人は行方不明になればある程度の時が経てば戸籍は抹消されるらしい。」
姉からの話だった。それを青柳は利用していたのだろう。
「それがどうして青柳と繋がるんだ。」
春樹はそう聞くと、伊織は青柳グループのホームページを開いた。そこには関連会社がずらっと書かれて、リンク先も載っている。その中の一つに児童養護施設があった。
「ここから横流しをしていたらしい。」
「……立派に犯罪だな。あぁ、あれか。お前の大学の時の同期が、その国にいたってやつ。となるとヤ○ザとも繋がりがあったのか。そいつ。」
その言葉に倫子の顔色も悪くなった。その様子に政近が声をかける。
「お前もその一人になりかけたんだっけな。」
「ちょっと……何を言っているの。」
泉が止める。だが政近は首を降って泉に言う。
「このまま何も知らないで、のほほんと過ごすよりましだろう?正直に言えよ。倫子。」
すると倫子は震える手でワイングラスをまた手に持った。
「一度、妻の所に倫子さんを連れていったことがあるよ。」
「……何で?」
どうして倫子を連れて行ったのだろう。寝たきりとは言っても、妻の所に愛人を連れていくようなものだ。お互いに良い気分はしないと思う。
「一つは妻は新婚旅行から帰ってきたら、倫子さんの担当になるつもりだったから。あんな文章を書ける人に会いたいと言っていたし。」
もちろん、それだけではない。だが、泉に理由を告げるほどまだ分かり合えない。
「……奥様のため?」
「そうだね。それから……妻に倫子さんを紹介したかった。初めて好きな人が出来たとね。」
「奥様とは好きで結婚したんじゃないの?」
「……好きだったと思う。だけど、お互いの目的のために結婚したというのが大きかった。」
良い歳になっていた春樹は、妻が居なければ世間の体裁も良くないと思っていたし、妻は子供が欲しいだけだった。それにお互いの目的も一致した事が大きい。
「目的?」
「……今は言えない。だけど……本気で手に入れたいと思ったのは、倫子さんだけだった。だから奥さんに紹介した。」
棒に捕まる手を握りなおした。汗をかいているからだ。こんな事を言うつもりはなかったのに。
「セックスの時に言うことは大抵が嘘だと思う。けれど……本性も見えてくると思う。裸になるのは体だけではなく、心も裸になるのだから。」
その言葉に泉は少しうつむいた。
「伊織の本音が見えない。」
「だから二人にさせるよ。」
「……倫子と二人になりたいだけじゃなくて?」
「それも少しあるけどね。」
がたんと音を立てる。電車が少し揺れて、思わず春樹の体に体を寄せてしまった。夏になれば半裸でうろうろしていて、体は鍛えているんだと思うくらいだったが、こんなに触れたことはない。がっちりした体が伝わってきた。
「っと……大丈夫?」
「うん。」
前に伊織と同じ事になったことがある。だがそこに春樹を「男」として意識する要素はなかった。やはり泉が好きなのは、伊織だけなのだろう。
家に帰ってきて、玄関を見ると見覚えのあるブーツが置いてあった。やはり政近は帰っていなかったのだ。春樹は少しため息を付くと、家の中に上がる。泉はその前に自分の部屋へ行って荷物やジャンパーを置いてきた。
「お帰り。」
居間には倫子と政近がいる。漫画の後編の打ち合わせをしていたらしく、テーブルにはメモ紙や消しゴムのかすが散らばっていた。
「伊織君は?」
その場に伊織は居ない。部屋にでも居るのだろう。
「二人が帰るまで仕事をするって言ってたわ。」
「だったら呼びに行こう。ん?何か作ってる?」
「チャウダーとサラダ。」
「そんなモノも作れるんだね。」
春樹も意外そうに、倫子を見ていた。和食や魚が好きなのだと思っていたので、もしかしたら他に用意をすると言っても煮魚なんかが出てくるのかと思ったのだ。
「和食洋食にこだわらないわ。」
倫子はそういってメモを片づけ始めた。その隣には政近が居る。このまま食事もして帰ろうと思っているのだろうか。
「田島先生は、帰られますか?」
「こんな時間まで居るんですよ。飯くらい食わせてくださいよ。」
やはりそうきたかと、春樹は少しため息を付いた。
そして自分のコートや荷物を部屋に置くついでに、伊織の部屋をのぞく。
「伊織君。」
声をかけると、伊織はすぐに顔をのぞかせた。
「帰ってきた?泉も一緒?」
「あぁ。チキンを買ってきてくれてたんだね。」
「うん……。温めなおした方がいいね。」
いつもより元気がない。泉もまた元気がないようだったが、こちらもまた何か抱え込んでいるのだろう。
「田島先生が居たから、ピザが足りるかな。」
「そう思って、この間の魚をフライにしたよ。」
「あぁ。そうか。」
そして伊織は部屋に戻ろうとした。こちらはこちらでなにを考えているのかわからない。
「お前らカロリー考えてねぇだろ。」
食卓に並んだのは、ピザやチキン、魚のフライ、そしてケーキ。すべてが高カロリーだ。
「今日くらい良いわよ。明日は雑炊ね。」
文句を言っている政近に、春樹は少し笑いながら言う。
「食にこだわりがあるんですか。田島先生は。」
「別に。うち、炊飯器もねぇし。」
「それでよく生きていられるな。」
「ほっとけ。今時はパックの飯も悪くねぇんだよ。」
そう言われて、倫子は少し手を止めた。そうだ。あの日、政近の部屋で食事をしたのは、パックのご飯だった。その上に卵を載せて、卵かけご飯を食べる。何の変哲もないご飯だったのにありがたいと思えたきっかけになったのだ。
だがそのあとは良くない。思わず流れでセックスをしてしまったが、それは春樹を裏切る行為にしかないのだから。
「ピザも美味しいわ。でもこのサイズを持って帰るの大変だったんじゃない?」
倫子はそう聞くと、泉は少し笑って言う。
「春樹さんに会ったから良かったのよ。それに持ち帰りにしたら割引があるし。」
「そうだったの。」
その間も伊織は黙ったままだった。何かあったのだろうか。そう思って春樹は伊織に声をかける。
「食欲無い?」
すると伊織は我に返ったように、首を振った。
「美味しいよ。チキン、予約したのに行列が出来ててさ。」
「そうね。高柳さんの所もそんな感じだったわ。」
「……これ、フライドチキンと言うよりもタンドリーチキンに近いね。」
「そうなの?」
「揚げているんじゃなくて、焼いているからね。」
そのとき倫子がワインに口を付けたあと、ふと思い出したことがあると首を傾げた。
「そう言えば、今日、パトカーとか白バイとか多かったわね。」
「あぁ。空港に向かってたみたいだよ。」
春樹はそう言って携帯電話を取り出して、倫子に見せる。
「大使館の職員?」
「そう。向こうの国で逮捕された。だけど大使館内は、治外法権だからこっちの国で裁かれる。」
「そう……だから警察が動いていたのね。」
すると伊織はぽつっと倫子に言う。
「倫子。たぶんだけど……。」
「うん?」
「……青柳グループのトップが逮捕される。明日にでも。」
その言葉に倫子は驚いたようにグラスを置いた。
「どうして……。」
「その大使館の職員は、この国の子供をあっちの国に送っていたんだ。」
「戸籍のない子って事?」
「そう。というか……人は行方不明になればある程度の時が経てば戸籍は抹消されるらしい。」
姉からの話だった。それを青柳は利用していたのだろう。
「それがどうして青柳と繋がるんだ。」
春樹はそう聞くと、伊織は青柳グループのホームページを開いた。そこには関連会社がずらっと書かれて、リンク先も載っている。その中の一つに児童養護施設があった。
「ここから横流しをしていたらしい。」
「……立派に犯罪だな。あぁ、あれか。お前の大学の時の同期が、その国にいたってやつ。となるとヤ○ザとも繋がりがあったのか。そいつ。」
その言葉に倫子の顔色も悪くなった。その様子に政近が声をかける。
「お前もその一人になりかけたんだっけな。」
「ちょっと……何を言っているの。」
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