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郁人と、俺(優馬)。
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しおりを挟む俺と郁人が初めて会ったのは小学一年の秋。
あいつが転校生としてクラス担任から紹介された時だ。
ほとんど金に近い淡い色の髪。白い肌。テレビの中でしか見たことがない綺麗な色彩の瞳。
今では俺より背が高いけど、当時の郁人はずっとずっと小さくて。
まるで外国の可愛い女の子のお人形さんが、そこに立っているかのように思えた。
「今日から新しいお友達の“郁人”くんです。皆、仲良くしてあげてね」
だからこそ先生の言葉にクラス中がどよめいた。
『えーっ男の子? うわぁ可愛い。私、絶対に仲良くする』
『あ、ズルい私もっ』
『何だよお前、男かよ本当にチンチンあるのかー? て言うかガイジン?』
『分かった。お前オカマだろぉ、女男~』
『男子うるさい! 変なこと言ったら郁人くんがかわいそうでしょ!』
『うっせ、ブ~ス』
『先生! 男子ひどいー』
もはや男子と女子の言い合いに発展しつつある状況で、教壇の脇に立つ転校生(郁人)。
大きな瞳をくりくりっとさせて、ちょっと驚いた表情までもが愛らしい。
(あの子さっきから一言も喋らないなぁ。今どんなこと考えているんだろ)
「はいはい、皆静かに」
パンパンと手を叩いて騒ぎをおさめる先生。
「ごめんね郁人くん、簡単に自己紹介してくれるかな」
「かんたん、じこ?」
「ん? どうしたの……あ、そっか。ごめんねー先生忘れてた」
困ったような、不思議そうな顔付きで先生を見上げる転校生。クラスの皆も何だろうと注目する。
「あのね皆、郁人くんは帰国子女なの。えーと、つまり今まで外国で暮らしていたのね? だから日本語がちょっとまだよく分からない時があるんだって。郁人くんが早く言葉を覚えられるように皆も協力してあげてね」
その説明に再びクラスがどよめいた。
『帰国子女? ……って、やっぱ女じゃねーの? でもってガイジン!』
『ガイジンって言っちゃ駄目なんだよ。外国人って言わなきゃ』
『うっせ、ガイジンのオカマが来たぞー』
「がいじん? おかま?」
聞き慣れない言葉に興味を抱いたのか、首を傾げながら愛らしい顔でそう繰り返す転校生。
『あははっ自分で自分のことガイジン、オカマって言ったぞ。こいつ馬鹿だー』
『や、止めなさいよ男子!』
結局、男子と女子の言い合いが再開してしまい郁人との出会い(というか俺が一方的に見ていただけ)は、うやむやのまま終わった。
席も全然遠くて、休み時間は常に人が群がり近付けない。もちろん郁人と俺の間には、接点なんてこれっぽっちも無い状態。
それが変化するきっかけは思ったよりも早く訪れたのだが……。
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