王道くんと、俺。

葉津緒

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第六章

あと、さっき教室の奥のほうから一瞬変な声(小さな悲鳴?)が聞こえたような。
目をやると、りっちゃん先輩とノアが並んで立っています。
んーと。先輩は口元を片手で覆って窓側向いてるし、その姿を見つめるノアは……なんか変な顔してない?

俺の視線に気づいて「なんでもないよ」と手を振ってくれるノア。
うん? えっと、じゃあ俺これ以上そちらを気にせず着替えの続きに戻りますねー。急げ急げ。
本当はすっごく気になるけど。
また妄想しちゃうと優ちゃんに怒られるからね。我慢だ俺ぇ。


(……郁人の着替え……風紀委員長のむっつり助平)
(ごふっ、い、いや違う! こ、これはその)


もう一度チラッと見たら、二人は小声で何か話してました。真っ赤な顔で慌てるりっちゃん先輩とそれを弄って遊ぶようなノアの姿に…………ねえ優ちゃん、やっぱり俺、腐妄想しちゃダメ?



 ***



俺の着替えが終わってから、皆で晴巳せんせぇの待つ第二保健室へと移動。
しかぁし!
「晴巳せんせぇとまた会えて嬉しいなぁ」なんて悠長に言ってる場合じゃありませんでした。

顔を合わせるなり

「郁人くん大丈夫!? どうして一人で勝手にうろついたの。優馬くんに迷惑かけちゃダメでしょ、何のための親衛隊だと思ってるの」

と心配されてめちゃくちゃ怒られました。
晴巳お母さん、ごめんなさいぃ。

そして。
俺以外の皆が保健室の外へと追い出されたあと、さっき着たばかりの服を再び脱いだ俺は、晴巳せんせぇによって念入りに全身チェックされております。
お昼休みと放課後の二度も襲われ、もしかすると気づいてない怪我がまだあるかもしれないからって。
だけどまさか下着まで脱がされ、よりにもよってあんな場所を――


「ま、待って。そんなの俺……や、晴巳せんせぇ……っ」

「ごめんね郁人くん。あとちょっとだけ我慢して」

「あっ、ちょっ、ダメ。は、晴巳せんせぇ……ひゃあっ」


いや、わかるよ。
男に襲われて性的な場所を怪我してる可能性を考えたら、ちゃんと確認しないとダメなことくらい。
でもこんな普通に汚いトコを見られて、さらには手袋ごしとはいえ、その綺麗な指で触られるだなんて。

ぐぬうぅ。
美濃岡巧チャラ男先輩と名前も知らない生徒め、俺はお前らをマジで一生許さないからねえぇッ。


「うーん、ほんの少し赤くなってる箇所はあるけど傷はないみたいだね。これなら病院へ行く必要もないかな」

「……ううっ、俺もうお婿に行けニャイ」

「大丈夫だとは思うけど一応ここに薬塗ってあげようか。それとも自分で塗る? あとで優馬くんに塗ってもら」

「じ、自分で!」


最後までは絶対に言わせニャイよッ。
ていうか、優ちゃんに何させようとしてるの晴巳せんせぇ!?
は必要なら自分で塗るので大丈夫ですっ。

.
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