王道くんと、俺。

葉津緒

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第二章

14

ゆゆ優ちゃん、ぶりっ子は?
親衛隊バージョンの猫被り設定はどこいっちゃったの。
素が出まくりで隊員さん達が驚いてるよっ。


「それで、太賀くんはどこにいるんでしょうか?」

(さっさと出てこいよ太賀。このクソ野郎が、今すぐぶっ殺してやるよ)


ニコニコと笑みを振りまきながらトラちゃんの姿を探す優ちゃん。
……でもなぜか心の声まで聞こえているんですけど。こ、怖いよおぉぉ!



「トラなら『急用を思い出した』とかで、さっき教室から逃げていったよ」


え、チーちゃん?


「フフ、そうなんだ。逃げたんだぁ。じゃあ帰ってきたらよろしく言っといてくれるかな、千裕くん」

「うん、わかった。馬鹿トラには僕からちゃんと伝えておくよ。じゃあまたあとでね優馬くん」


あれ?
なんだろう。
チーちゃんと優ちゃんが可愛らしく笑って会話してるだけなのに、まるでその場に魔王様がお二人いらっしゃるような。

(…………死んだな、太賀)

それは魔王様のやり取りを目撃したクラスの皆が、再び心を一つにした瞬間でした。




「あ、そ、そうだ! 郁人、大丈夫だったか?」


優ちゃんの勢いにポカンとしていた歩くんが、突然立ち上がりました。
そのまま誰にも邪魔されず(皆、虚を衝かれたみたいです)そばまでやってくると、そっと俺の頬に触れる。


「こんなに綺麗な郁人を……トラって奴、よく平気であんなひどいことができるよな」


はい?


「うーん、少し赤くなってる気がするかも。この場合、濡れタオルとかで冷やしたほうが良いのかなぁ」

なんてブツブツ言いながら頬を撫で回してくる歩くん。
周囲は誰も動きません。というか呆気にとられて動くのを忘れてるっぽい?
あ、優ちゃんがプルプルしだした。


「てめえ……何、勝手に(俺の郁人に)触ってんだこのクソボケがあぁアアッ!」


ヒイイイィーッ!?

(ゆ、優馬隊長おぉぉッ!?)



 フワリ



「えっ」


つかみ(殴り?)かかろうとする優ちゃんを見て、素早く歩くんを抱き上げた俺。いわゆる『お姫様抱っこ』ってヤツだよねー。
だって優ちゃんの殺気が普通じゃないし。
逃げなきゃ本気で危なかったでしょ、これ。

いやぁ間に合って良かった。
着席した体勢からとっさに起立しての『お姫様抱っこ』……なんて、俺よくできたなぁ。

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感想 15

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