王道くんと、俺。

葉津緒

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第二章

15

歩くんを抱え、優ちゃんに背を向けたままほっとする。

それにしても身長は優ちゃんと同じくらいなのに、歩くんてばすごく軽いんだねぇ。おかげで今は助かったし、小さくて可愛いから良いんだけど。
他の『攻め』達のためにもう少しだけふっくらさせて、さらに抱き心地を良くしちゃおうかな。きっと皆喜ぶよね。ふっふっふ。よし、これから毎日お菓子袋を用意しとこう。

でも、できれば今も俺以外の人に姫抱きされてるトコが見たかったなー。
俺がやっても全然萌えないよぅ!


「な、何やって……姫……抱っこ?」


わお。優ちゃんの目がこれ以上ないくらいに見開いて口パクパクしてる。
なんか可愛いー。
とか思ってる場合じゃないや。


「もぉ、いきなり危ないでしょ優ちゃん! 歩くんは俺の

(王道くん総受け生BL観察プラン、に)

大事な大事な大ッ事な人なんだから。もし怪我でもしたらどうする気だよー? 歩くんに何かあったら俺、いくら優ちゃんでも許さないからねぇ」



…………………………
…………………………
…………………………ん?

なんだろ、この
ものすごぉく静かすぎるんだけど。
もっしもーし、おーい皆どうしたの。


「は!?」※優ちゃん&氷川くん

「えっ!?」※親衛隊員

「ふ、ふふ、郁人ッ!?」※歩くん


「えええぇえーッ!?」


かなりの間を置いてなぜかクラスの内外からも返された反応は、怒号に近い(驚愕の)悲鳴でした。
地響きしそうな大音量に思わず耳を押さえた――いけど、歩くんを抱っこしてるから無理。
ううっ鼓膜が破れたらどうしてくれるのさ!



 ***



その後、真っ赤になって黙り込んだ歩くんを氷川くんが奪い去り♪
(「歩から離れろ!」と、嫉妬全開な氷川くんにこっそり萌えをいただきました)

真っ青な顔で幽霊みたいにフラフラと自分の教室へ戻る優ちゃんを見送ったり。
(急にどうしたのかな?)


一限目の授業をしにやってきた先生は、赤や青・土気色のカラフルな顔色をした生徒達を前に

「な、なんだ今日は一体どうしたんだ。これじゃ授業にならないッ!?」

とうろたえながらの半泣き状態だったりで。
しかも、なぜかクラスの大半が授業中に号泣しはじめ、うるさくて先生の声もよく聞き取れなかったデス。
……よほど悲しいことでもあったのかなぁ。



そんなこんなで。
ずっと待ち望んでいた王道くんがついにやってきた喜びに、俺は浮かれすぎて。
その日の午前中には学園内を隅々まで駆け巡った俺と歩くんとの「噂」になんて、これっぽっちも気づきませんでした。




【第二章/END】
感想 15

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