王道くんと、俺。(※現在、六章以降を手直し中。2026.1〜)

葉津緒

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第四章

12

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噛んだこと無いからよくわかんないけど絶対噛みたくないよね、苦虫。そういやどんな虫だろー。グロ系? うひぃ。



「せいぜい今のうちに理事長の機嫌でも取っておくんですな、千葉先生。……チッ、この色狂いが」


呟くような最後の言葉は俺に対してだと思う。もんのすごぉく睨みつけられたし。
そんな捨て台詞を吐き、去っていった安保先生。……今は隣の教室から怒鳴り声が漏れ聞こえてます。
はー、怖かった。


「もういいぞ土屋、お前にしてはよく我慢したな」

「あと一歩、邪魔が入らなかったら確実に殺れてた」

「ハハ、そりゃ惜しい。邪魔して悪りぃな」


「へ? わわっ、と」


知らないあいだに傾けられてた体勢が元に戻る。わずかに浮いた亮ちゃんの片足が下ろされたっぽいです。
もしや、あと一歩近寄ってたら蹴られてたのかなあの先生……うわ、危なかった。
亮ちゃんの蹴りは威力が強すぎて普通に壁に大穴開けちゃうから『禁止』って言ってあるのに。
よし、絶対あとで(寮部屋に帰ってから)反省会だ。


「大丈夫か郁人――おい、なんで避ける」

「さわるな、郁人が減る」

「はあ? 俺に触られて増えることはあっても減るわけないだろ土屋。あーくそ面倒臭ぇから、もうそいつこっち寄越せ」

「断る」「ああ?」


「ま、待って千葉ちゃ……亮、ちゃ……!」


俺の頭に伸ばされた千葉ちゃんの手、を避けるように動く亮ちゃん。
最初は椅子に座った状態で、だったのが俺の腹に手をまわしたまま立ち上がり、からの高速ぶん回し動作。
ぐふぅ、目が回るー。
お願いだから、俺を抱えてのじゃれ合いはやめてえぇ。右に左に遠心力が。うう、吐きそう。



 ***



「郁人くん大丈夫?」

「……はあはあ、し、死ぬかと思った。えーと、うん。俺は平気だよぉ、チーちゃんは大丈夫? でもびっくりしたねー」


その後、なんとか亮ちゃんの腕から解放され、今はチーちゃんに背中をさすられてまぁす。
親衛隊の子も寄ってきて涙目で心配してくれるし。えへへ、やっぱ癒されるー。

千葉ちゃんと亮ちゃんは睨み合い(じゃれ合い)を続行中。時々足と手が出てるけど俺は何も見てません。
意識が戻ったり、外から帰ってきたクラスの皆も、なるべく二人と視線を合わせないようにはしてるかな。巻き込まれたら嫌だもんね。

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