平凡な365日

葉津緒

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回想9.5

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残念ですが審査員席からその映像を見ることはできません。
いえ、本来なら見られたと思いますが。
学園祭のミスコンイベントにおけるカメラ及びスクリーン・モニター配置の計画案が生徒会に回ってきた際、うちの会長が


「あ? 会場に設置するスクリーンだと? んなもの知るか、俺の可愛いアリスだけ映しときゃ他いらねーだろ」


と発言したため、手元の小型モニターは常に愛らしいアリスの姿だけを映している状態です。 
会長の意見には私も賛成でしたからまあ良いのですが。

審査自体も、誰に投票するかはすでに決まっているわけですし。
わざわざ他の出場者を見る必要はありません。
第一あんなに愛らしい存在が他にいますか?
彼よりも優勝者に相応しい生徒など、この学園内にいるはずがありません。むしろミスコンを開催せずに優勝者発表をしたいくらいです。
そう話す私に、イベント実行委員が悲鳴を上げて

「それだけは勘弁してください!」

と泣きついたのでしたね。


「え~、会長や副会長の言う通りで別にいいんじゃない?」

「誰が優勝するのか先に分かってるから」

「僕たち全然楽しめないし飽きちゃうよ」


会計と双子書記も賛同し、ミスコンをとりやめて愛しい彼のワンマンショー(様々な女装姿などを披露するファッションショー的な場)に変更、といった案も出ました。

が、


「さすがにこれ以上、あいつの可愛さに惚れる野郎が増えんのはムカつくだろ」


との会長命令により残念ながら実現しませんでした。
結局ミスコンも実行委員に懇願され、渋々ではありましたが開催を決定。
その際、優勝者が誰になるのか明白とはいえ念のため生徒会審査員票の点数配分を増やし、また、愛しい彼の立ち位置(エントリー順)を審査員席前に固定させるよう条件付けました。

代わりに会場の大型画面は好きに使って良い、審査員席側に向ける必要もない。
どうせあの子が常時映る手元のモニターと目の前の本人しか見ないのだから。


そう言って、決めたのは紛れもない自分達です。
けれど、それは二人が付き合い始める前のこと。
諦め切れない想いを抱えたまま目の前のアリスを見続けるのは、予想以上にきつい。
顔を上げても俯いても必ず視界に入るのは愛しい彼の姿。

.
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