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俺の飼い主さまを探してる

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あの時、会長が死んじゃうと思った瞬間。俺の身体はものすごい力を発揮した。
ナイフが頬に触れるのも構わず、押さえ付ける力をはね除け、そのまま飛ぶように会長目掛けて体当たり。振り下ろされた鉄パイプは俺の肩から背中のあたりにかけて命中。

その直後、風紀委員の皆が室内に雪崩れ込みあの人達を取り押さえてくれたらしいです。
実はあんまり覚えてなくて、お見舞いに来た風紀の副委員長さんが教えてくれたんだ。会長が全部見ていたんだって。
えっへん、俺すごい!



と、ニマニマしながら振り返っていると副会長とチャラ会計がため息を吐いた。
ちなみに会長はお出かけしてて居ません。今はこの生徒会室内に俺たち三人だけです。そしてお仕事は休憩中。

応接セットの三人掛けソファーに俺と会計が並び、テーブルを挟んだ向かい側の一人用に副会長が座っている。
俺は目の前のテーブルに手を伸ばしておやつを食べた。美味しい。怪我もだいぶ治ってきたし、今日もすごく幸せ。


「ああもうっ絶対反省してないよね。いや、さっきのシュンとした顔は可愛いしドヤ顔も可愛いし嬉しそうにもきゅもきゅお菓子を食べる姿も可愛いけど。何で会長? 嘘だよね。うん、そうだよ多分何かの間違いでしょ。俺のくうちゃんがそんな筈ないって。でももし本当なら殺っちゃう? 会長消しちゃおっかー、ははっアハハ」

「空牙が命をかけて、しかもそんな嬉しそうに微笑んで……。つまり、そこまで会長のことを想っていると? だとしたら私はいっそこの手で邪魔な会長を亡き者に……。いえ、しかし、そうですね。まだ空牙の気持ちがそうと決まった訳ではないのですから。ふふ、フフフフフフ」


ど、どうしたんだろう。二人とも何かぶつぶつ言いながら笑ってて怖い。
疲れてるのかな。食べないなら二人の分のおやつも貰おうと思ったけど、止めよう。甘くて美味しいものを食べて元気になってね。




「風紀からの書類を持って来たっスよ、お邪魔しまーす。あ、ワンちゃん大丈夫? 身体の調子はどうっスか」

「副いいんちょ、さん。俺、もう元気」

「またあなたですか。書類は確かに受け取りましたのでお帰りください」

「今日はあの人、連れて来てないよね!?」


ノックの音とほぼ同時に開かれる扉。
急な来客は、書類運びの風紀副委員長さんだった。
素早く立ち上がって書類を受け取る副会長。途端に騒がしくなる生徒会室。うん、いつもと同じだ。


「うちの委員長は、まあ、さすがに反省中みたいっス。ごめんねワンちゃん、俺ら風紀のせいで本当に酷い怪我までさせちゃって。それに下手したら最悪、もっと取り返しのつかない結果になってたかも――」

「んん、違う。全部俺のせい。風紀の人、悪くない」

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