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序章―プロローグ―
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裏庭というか、むしろ庭園?
校舎から少し離れた場所に存在するそこは、手入れの行き届いた色とりどりの花や木々、ベンチ、噴水、温室などがあり、癒しの空間が造られている。
代々生徒会、特に会長お気に入りの場所(もちろん俺も気に入っている)とされ、一般生徒の立入禁止が暗黙のルールとなっている。
……そのはずなのだが。
「あ? なんだアイツら」
噴水池近くに一般生徒と思われる数人がいた。
あまり大きくはない体格の奴らが、同じく小柄な一人の生徒を囲み脅している。時々肩を押したり髪を掴んだりと……虐めか?
多人数側の中に、微かに見覚えのある顔があった。以前一度だけ抱いてやった俺の親衛隊員だろう。
つまりこれは親衛隊による制裁の場面、てことかよ。
チッ、こんな場所で風紀にでも見つかったら面倒臭ぇだろうが。親衛隊がこの俺様に迷惑かけてんじゃねーよ。
仕置きに、全裸で校舎内に放置してやろうか。顔だけはそこそこ見れた奴ばかりだからな、欲求不満で飢えた野郎どもが死ぬほど遊んでくれるだろ。
狂気にも似た笑いを浮かべゆっくり彼らへと近づく。だが、そんな俺に全く気がつかない親衛隊。
『どうせあの編入生に取り入って、生徒会の皆様とお近づきになろうとか思ったんでしょ!』
『そ、そんな……違います』
『うるさい、平凡のくせに口答えする気!?』
『痛っ……お願い、やめて……』
そんな会話が聞こえるくらい近くに寄っても気づかねーのか、こいつら。集中力凄まじいな。
「おい、ここで何してる」
「え、あっ玲王様!?」
「あの、これはその」
「!」
――ドンッ
あ、とこの場にいた誰もが思った。
背後から突然声をかけられて驚いた奴らの隙間から、多分逃げようとしたんだろう……一人の生徒が駆け出すのが見えた。
ただ、俺には見えていたが向こうはこっちを見ていなくて。だから奴は真っ直ぐ俺に向かって突進してきたのか?
さらに偶然、足場が悪かったという不運も重なり俺の体はバランスを失った。
(なんだ? 今日は空がやけに青いな)
そんなくだらないことを思いながら、次の瞬間には噴水池の冷たさを全身で感じて――。
バッシャーーン
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
『 』
――水の外にいた“誰か”が俺を見ている。それは分かる、だが何を言われているのかが分からない。
あ?
なんって言ってんだ?
くそ、全然聞こえねーよ。てか助けろ。
しかし意外に深いなこの人工池、足がまったく底につかねー。
変だな……せいぜい膝下くらいまでの水しか入ってなかった気がするんだが。
ふと足元を見ればまるで底無し沼のように真っ暗な闇が迫ってくる。
思わずゾッとして、急ぎ頭上の“誰か”に向かって泳ぎだした。
「――プハッ、げほっ、くそ冷てえっ!」
チッ、少し飲んじまった。大丈夫かこれ。
それよりも、ようやく自力で水から出た俺に声をかける奴がいない。
ふざけるな、あいつらどこ行った。まさか親衛隊のくせにこの俺様を見殺しにして逃げやがったか?
そこへ、一人だけ近づいてきた奴の足が目に入る。
『 』
「ああ!? だから、何言ってんのかちゃんと聞こえねーよ」
耳に水でも入ったか?
クソッ、なんなんだ今日は、厄日かよ。
編入生は苛つくし噴水池には落とされる。
風邪引いたら誰が責任とってくれんだ!?
怒りで俯いたまま、髪の先からは水がダラダラと流れ落ちてく。
あー……最近たまりまくってた鬱憤が今すぐ爆発しそうだ。こうなったらもう自分でも抑えられねぇし抑える気もない。
『 』
「だから聞こえねーって言ってんだろ!」
そして俺は、近づいてきた相手の腕を乱暴に掴み上げたのだった――。
【プロローグ/END】
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裏庭というか、むしろ庭園?
校舎から少し離れた場所に存在するそこは、手入れの行き届いた色とりどりの花や木々、ベンチ、噴水、温室などがあり、癒しの空間が造られている。
代々生徒会、特に会長お気に入りの場所(もちろん俺も気に入っている)とされ、一般生徒の立入禁止が暗黙のルールとなっている。
……そのはずなのだが。
「あ? なんだアイツら」
噴水池近くに一般生徒と思われる数人がいた。
あまり大きくはない体格の奴らが、同じく小柄な一人の生徒を囲み脅している。時々肩を押したり髪を掴んだりと……虐めか?
多人数側の中に、微かに見覚えのある顔があった。以前一度だけ抱いてやった俺の親衛隊員だろう。
つまりこれは親衛隊による制裁の場面、てことかよ。
チッ、こんな場所で風紀にでも見つかったら面倒臭ぇだろうが。親衛隊がこの俺様に迷惑かけてんじゃねーよ。
仕置きに、全裸で校舎内に放置してやろうか。顔だけはそこそこ見れた奴ばかりだからな、欲求不満で飢えた野郎どもが死ぬほど遊んでくれるだろ。
狂気にも似た笑いを浮かべゆっくり彼らへと近づく。だが、そんな俺に全く気がつかない親衛隊。
『どうせあの編入生に取り入って、生徒会の皆様とお近づきになろうとか思ったんでしょ!』
『そ、そんな……違います』
『うるさい、平凡のくせに口答えする気!?』
『痛っ……お願い、やめて……』
そんな会話が聞こえるくらい近くに寄っても気づかねーのか、こいつら。集中力凄まじいな。
「おい、ここで何してる」
「え、あっ玲王様!?」
「あの、これはその」
「!」
――ドンッ
あ、とこの場にいた誰もが思った。
背後から突然声をかけられて驚いた奴らの隙間から、多分逃げようとしたんだろう……一人の生徒が駆け出すのが見えた。
ただ、俺には見えていたが向こうはこっちを見ていなくて。だから奴は真っ直ぐ俺に向かって突進してきたのか?
さらに偶然、足場が悪かったという不運も重なり俺の体はバランスを失った。
(なんだ? 今日は空がやけに青いな)
そんなくだらないことを思いながら、次の瞬間には噴水池の冷たさを全身で感じて――。
バッシャーーン
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
『 』
――水の外にいた“誰か”が俺を見ている。それは分かる、だが何を言われているのかが分からない。
あ?
なんって言ってんだ?
くそ、全然聞こえねーよ。てか助けろ。
しかし意外に深いなこの人工池、足がまったく底につかねー。
変だな……せいぜい膝下くらいまでの水しか入ってなかった気がするんだが。
ふと足元を見ればまるで底無し沼のように真っ暗な闇が迫ってくる。
思わずゾッとして、急ぎ頭上の“誰か”に向かって泳ぎだした。
「――プハッ、げほっ、くそ冷てえっ!」
チッ、少し飲んじまった。大丈夫かこれ。
それよりも、ようやく自力で水から出た俺に声をかける奴がいない。
ふざけるな、あいつらどこ行った。まさか親衛隊のくせにこの俺様を見殺しにして逃げやがったか?
そこへ、一人だけ近づいてきた奴の足が目に入る。
『 』
「ああ!? だから、何言ってんのかちゃんと聞こえねーよ」
耳に水でも入ったか?
クソッ、なんなんだ今日は、厄日かよ。
編入生は苛つくし噴水池には落とされる。
風邪引いたら誰が責任とってくれんだ!?
怒りで俯いたまま、髪の先からは水がダラダラと流れ落ちてく。
あー……最近たまりまくってた鬱憤が今すぐ爆発しそうだ。こうなったらもう自分でも抑えられねぇし抑える気もない。
『 』
「だから聞こえねーって言ってんだろ!」
そして俺は、近づいてきた相手の腕を乱暴に掴み上げたのだった――。
【プロローグ/END】
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