愛犬とスローライフを楽しもうとしたら女神様に聖女を育てる様に言われました。

竹本りょう

文字の大きさ
21 / 28
聖女候補の育成編

21.エルフのフラン

しおりを挟む
 食堂で待っていたのは意外な人物で、フローリ様かと思ったがどことなく違った。

「あなたがアームね、ドワーフと犬を連れていてすぐわかったわ」

「私の名前はフランで、17歳のエルフで賢者見習いのレベル8よ。ヒールも使えるわ」

「フローリおばあ様から、あなたの仲間になるように言われて来たわ」

「俺はアームで、17歳の人間でレベル5の剣士だがテイマーでもある。犬のリョウの主人だ」

「わしはドムでアームの奴隷で、49歳のドワーフでレベル6の戦士だが。罠解除もできる」

 まあ立ち話もなんだから、食事でもしながら話そうと言って座らせて、ウエイトレスさんに犬も一緒でいいですかと尋ねると、いいよーと返事をされた。

 特製ステーキが美味いんだよと勧めたら、ドムもフランもそれがいいと言うので特製ステーキ定食3つとリョウ用にスペアリブを頼んだ。

 フランは冒険者登録は済んでいてGランクで、魔法の訓練教官フローラお母さんから魔法の指導を受けているそうだ。

 フローリ様と違ってフローラさんは回復術はヒールまでしか使えないが、魔法の実力はギルド1と言っても過言ではないとのことだった。

「このお肉柔らかいのに、かむとジューシーで美味しいわ」

「わしもステーキなど、久しぶりに食べたが筋もなく食べやすい」

 2人が美味しそうに食べてるのを見ると、こちらまで嬉しくなってしまった。

 その時ポールが声をかけてきて、フローリ様が面白い人材を見つけたから鍛えるのでレベル上げを待ってほしくて、3日後に教会児童養護施設に来てほしいそうだ。

 俺はポールの分の特製ステーキ定食を追加注文すると、食べて行けとポールに言った後、フランとドムに話しかけた。

「フローリ様は間違ったことは言わない方だから、3日間は薬草採取とギルドの座学講習で行こうと思う」

「私も、おばあ様とアームの考えに従います」

「わしも、皆の考えと同じだ」

 ギルド掲示板から、薬草採取の依頼を6枚はがして食堂の席に戻った。

 皆でお茶を飲みポールがステーキを食べ終わるのを待って、ギルドを出て南の草原に向かう。

 途中で門番に、ギルドカードを見せると珍しくパーティーで行くのかい、頑張ってなと励まされてしまった。

「リョウに、魔物の警戒を行いながら2人に薬草の場所を教えられるかと聞くと」

「ワン」とほえてうなずいた。

「大丈夫なようだな、リョウは言葉を理解できるので。覚えておいてくれ」

「私は、植物を愛し、植物に愛される。エルフよ、薬草採取などお手のもの。手助けはいらないわ」

 結果は2時間半で、依頼分と余剰分で約570本の薬草が取れ、その中で約70本がくず薬草であり、それらをアイテムボックス(小)に収納した。

 フランはドムに僅差で負けたが、リョウの手助けなしでここまでやるとは、流石エルフである。

 帰りは顔パスでいいよと門番に言われたが、パーティーでは初日なので一応皆がギルドカードを見せて通った。

 ギルドによって3番窓口に行くと、綺麗な兎耳受付嬢はボッチだった。アームに友達がたくさん出来て、おねーさんは嬉しいとのたまう。

 依頼を報告して、余剰分の薬草も売ると依頼報酬を含め、約銀貨500枚、つまり金貨50枚近くの売上になった。

「パーティー報酬の分配はどうするの」

「均等で、お願いします」

 割り切れないから1人金貨16枚が渡され、余った金貨2枚はパーティーの貯金として、俺が預かった。

 フランは1番多く採取したアームがもっと報酬を取るべきだと言い、ドムは奴隷への報酬が多すぎると言った。

 だが俺は、これからの討伐依頼では皆が協力して倒していくのであり、報酬の分配はいまから均等にしたいと思うと念を押した。

 その代わりに俺がリーダーをやるのと、児童養護施設での屑薬草の売り上げは、パーティー貯金にしたいと言った。

「私はアームが、リーダーで異存はないわ」

「わしも、リーダーはアームと決めているがパーティー貯金が。なんなのかはわかっていない」

「パーティー貯金とは、野営用の調理器具や食器の購入やパーティー共同で必要なものを買うための貯金だよ」

「それとフランは、仲間の連携をとるために俺達の住む馬の尻尾亭に明日にでも宿取ってほしい」

「わかったわ、お母様と相談してみるわ」

 お茶を飲んで時間になったので、座学講習の部屋に入りギルドカードを教官に見せ席に着いた。

 長めの講習が終わる頃には、皆疲れ果てていたがなぜかフランとドムは、魔物解体についてしつこく質問していた。

 フランと別れて宿屋に帰ると、エルザさんにフローリ様から使いが来て色々聞いたよと言われ、晩飯食べてきなとせかされた。

(ご主人様、児童養護施設の子供連絡網って侮れませんね)

 エルザさんに連れていかれるリョウを横目に見ながら食堂に入ると、

 可愛い猫耳ウエイトレスさんが、運んできた晩飯は堅いパンとクラムチャウダーと、肉の煮込みと豪勢だった。

「アーム、わしは酒が飲みたいのだが頼んでもよいか」

「自分で稼いだ、金なのだからこれからは俺にことわらずに。注文していいよ」

 そういうとエールより、度数の高い酒を注文して飲み始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...