戦士と腕輪

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第2章 新たなる仲間

第9話 強敵との遭遇

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戦士と腕輪 第9話 強敵との遭遇

 少年は経験を積むため、街から少し離れたところにある森に来ていた。森の中で遭遇した
ゴブリンといきなり戦闘になり、なんとか倒して、勝利を収めるのであった。

「ふぅー。いきなり襲ってきたから、びっくりしたな。それにしても、ここのゴブリンは
 なかなか強かったな。新しい技を繰り出せたから、よかったけど。注意しないとな。
 でも、歯応えのあるモンスターと戦えるから、経験をつむにはもってこいの場所だな。」

少年は初戦の勝利をかみしめつつ、気を引きしめて行くのであった。ゴブリンを倒した
少年は、次のモンスターを倒すべく、森の中を警戒しながら、進んでいくのであった。

「よし、次のモンスターをさっさと見つけようっと。おや、向こうの方に気配がするな。」

少年はモンスターの気配を感じると、気配のする方向へ歩いていくのであった。その先には
ゴブリン3匹がたむろしており、少年の気配には気がついていないようであった。少年は
茂みの中から、様子を探りながら、攻撃の機会を伺っていた。数分後、ゴブリン3匹の
うちの2匹が少年と反対の方向を向いたので、少年は絶好のチャンスと思うのであった。

「よし、今がチャンスだ。とりゃー。」

「ウケ。ウケケ。グフ。」

少年はゴブリンの後頭部に一撃をお見舞いすると、攻撃を受けたゴブリンはその場に
倒れ込むがとどめをさしていなかったので、気絶したようであった。その証拠に
剣士の腕輪はなんの反応も示さなかった。残り2匹のゴブリンは棍棒を構えて、
攻撃体制に移るのであった。

「よし。ゴブリン1匹を行動不能にしたぞ。倒してないから、腕輪は反応していない
 ようだな。次だ。」

「ウケ。ウケ。ブン。」

「ウケ。ウケケ。ブン。」

ゴブリン2匹は棍棒でほぼ同時に少年に攻撃を仕掛けてくるのであった。少年は1匹目の
攻撃をかわしながら、2匹目の攻撃を鉄剣で受けとめるとすぐに弾き返して、反撃を
するのであった。

「くうー。やるな。これでどうだ。うりゃー。」

「ウケケ。グフ。」

少年の反撃がゴブリンの腹に当たると、ゴブリンはその場で倒れ込むのであった。
ゴブリンは気絶したようで、その場で倒れ込んでいるままであった。

「よし。うまく気絶させられたみたいだ。残りは1匹だな。」

「ウケ。ウケケ。」

状況が悪いと悟った残りのゴブリンは撤退しようと後ろに下がるのであったが、少年は
この機を逃さず、一気にたたみかけるのであった。

「逃がさないぞ。とりゃー。」

「ウケ。ウケケ。ゴフ。」

少年の追撃になる一撃がゴブリンの背中あたりに当たるとゴブリンは倒れて、そのまま
気絶するのであった。

「ふぅー。うまくゴブリンを3匹も気絶させられた。死んでいないから、腕輪の副作用も
 出ていないぞ。これの調子で戦えば、経験がつめそうだな。」

3匹のゴブリンを見事に倒した少年は軽く深呼吸すると退治せずにうまく気絶させた
ことに満足したのであった。しかし、気絶したモンスターをこのまま放置するわけにも
いかず、少年は縄でゴブリンの手足を縛って動けなくするのであった。

「よし。これで、ゴブリンが目を覚ましても、すぐに身動きできないから、
 大丈夫だろう。よし、次だ。」

少年はこの調子で次々と森の中でモンスターと戦って、経験を積んでいくのであった。
最初の森での戦闘から2時間を超える頃には、少年は十数匹のモンスターを気絶させたり、
退治したりするのであった。

「はぁ。はぁ。ずいぶんとモンスターと戦ったな。そろそろ、お昼だし、持ってきた
 携帯用の食料でも食べるとするかな。」

少年は布のカバンから持参してきた携帯用の食料を出すと、木陰で食べ始めるのであった。
食事をしながらも、少年は周りの状況に気を配っており、モンスターが襲ってきても
いいように警戒をしていた。

「はむ。はむ。うーん。この携帯用の食料もなかなかいい味してるな。でも、街の
 レストランで食べる料理が1番だな。食事も終わったし、どうしようかな。」

少年は昼食を終えると午後の予定を考え始めるのであった。森の中のモンスターは総じて
強かったが、少年の装備が新しくなり、彼の攻撃も防御も格段に向上していたので、
何度かの戦闘ですぐに森のモンスターとの戦闘に慣れてきていた。しかし、初めて来る
場所での戦闘であり、疲れがたまっているようであった。

「疲れたし、今日はここまでで終わって、退治した数匹のモンスターを持ち帰ろうかな。
 戦闘もたくさんこなして、経験もだいぶ積めただろうしな。だいぶ強くなった気が
 するな。」

少年は疲れたことを考慮して、モンスターとの戦闘を切り上げて、街に帰ることを選択するのであった。少年は来る途中に置いてきたモンスターの死骸を回収しながら帰ろうと
歩いてきたところを引き返していた。

「さっき、倒したゴブリンは。あ、あそこだな。やっぱり、森の中は景色が似通ってる
 から間違えそうだな。」

少年は迷いそうになりながらも倒したモンスターの死骸を回収しつつ、歩いてきた経路を
戻っていた。そうして、20分程度が経過して、少年はモンスターの死骸を半分くらい
回収していた。

「ふぅ。半分のモンスターの死骸は回収できたな。森の中を道もない状態で歩くから
 思ったより時間がかかるな。まあ、あとの死骸は森の外に近いから、すぐに回収できる
 だろう。」

少年は残りのモンスターの死骸を回収しようと再び歩き始めるのであったが、その姿を
森の奥から鋭い目で見つめる存在があった。少年が歩き始めた直後、背後から猛スピードで
何かが襲ってくるのであった。

「ヒュオー。」

「うわ。なんだ。ゴロン。」

あまりの突然のことであったが、少年はその攻撃にギリギリ反応すると横に転げる形で
かわすのであった。あまりに速いスピードでの攻撃であったので、なんであったかは
よくわからなかったが、モンスターの攻撃に間違いないと少年は判断するのであった。

「くう。なんて、早いんだ。ほとんど姿がわからなかったぞ。鳥型のモンスターか
 何かかな。」

「ヒュオー。カキン。」

少年はモンスターの正体が何なのかを考えて始めたが、間髪入れずに次の速い攻撃が
襲ってくると鉄剣を構えて、その攻撃を受け流すのであった。その際に、少年は
敵モンスターの姿をはっきりと目にとらえるとその正体を知るのであった。

「うわ。やっぱり、鳥型のモンスターだ。確か。昔、本で見たことがあるような。
 名前はイーグルだったような。」

少年はモンスターの正体をイーグルと見抜いたが、あまりの高速攻撃にほんろうされ
まくるのであった。

「まずいな。あんな速い攻撃をここで受け続けていたら、すぐに持たなくなるぞ。」

少年は体制を立て直すべく、近くの木の裏へと隠れるのであった。木の裏から、少年は
モンスターであるイーグルを観察しようとしたが、攻撃時以外はあまり姿を現さず、
攻略法も見出すのが難しかった。

「く、森に入って来るときは攻撃なんてして来なかったのにどうしてだろう。」

少年はイーグルが襲ってきた理由を考えていると昔見た本のことである一文を思い出した。

「あ、そうだ。前に本に書いてあったな。確か、イーグルは巣に近づくものには容赦なく
 攻撃してくると、もしかして、巣の近くに来ちゃってたのかな。行きのときはたまたま
 イーグルが出払っていて、攻撃をして来なかったんだな。」

少年はイーグルの攻撃してきた理由を推測すると森から撤退しようと考えるのであった。
しかし、イーグルは少年を敵とみなして、攻撃する構えを見せており、少年は身動きが
取れないでいた。彼はある決断をするのであった。

「このまま持久戦なんかになったら、こちらの方が不利だな。こうなったら、相手の
 攻撃を受けて、その隙に一撃を与えて、相手をひるませて、退却するのがいいな。」

少年は撤退する決断をすると作戦を立てて、木の裏から鉄剣を構えて、ゆっくりと出て
いくのであった。

「さあ。かかってこい。攻撃を受けきったら、一撃お見舞いしてやるぞ。」

「ヒュオー。ガリ。」

「うわ。攻撃のパターンが変わった。ゴロン。」

イーグルはこれまでくちばしで突撃してくる攻撃であったが、今度はかぎ爪で鋭い打撃も
繰り出してきた。これには少年も予想外だったので、鉄剣で受け止めることはできたが、
後方に飛ばされて倒れてしまうのであった。

「うわ。まずい。これじゃあ。逃げるどころか。こっちがとどめを刺されかねないぞ。」

「ヒュオー。ヒュオー。グイン。」

少年は地面に倒れ込んでしまっており、イーグルの攻撃を受け止められる状態では
なかった。イーグルは絶好の機会と判断して、少年にとどめを刺すべく、今ままでより
さらに早く猛スピードで突撃を仕掛けてくるのであった。

「や、やられる。」

「シュパーン。」

少年がイーグルにやられると思ったそのときであった。森の奥から鋭い風切り音がしたので
あった。これにより攻撃中のイーグルは羽に攻撃をまともに食らったようで体制を完全に
崩してしまうのであった。少年は好機と見るやすぐに起き上がって、鉄剣を構えると力を
ためて、強烈な一撃を放とうとするのであった。

「今がチャンスだ。ため切り。どりゃー。」

「ヒュオー。グフ。」

少年は体制を崩してゆっくり飛んでいたイーグルにため切りをくらわせるのであった。
イーグルは突然の羽への攻撃と少年のため切りで大ダメージを負ってしまい、地面に
落ちるとそのまま倒れ込んでしまうのであった。当然、剣士の腕輪の赤い宝石がピカッと
光るのであった。

「や、やったのか。よかった。やられるところだったけど、イーグルが攻撃して
 来たときにやつの羽に何かが当たったような。そのおかげで攻撃が止まって、
 逆にこちらの攻撃を出すチャンスになったな。でも、一体、何だったんだろうな。」

少年は不思議に思い、イーグルの死骸を確認してみるとあるものを見つけるのであった。

「これは矢じゃないか。この矢がイーグルの羽に当たったんだな。誰かが俺を助けるために
 弓矢で攻撃してくれたんだ。それにしても、すごい速さで飛んでいたイーグルの羽に
 矢を一撃で当てるなんて、なんて離れ技なんだ。こんなの見たことないぞ。」

少年はそう言いながら、矢の飛んできた方向を見るのであった。彼の視界の先には
うっすらと確認できる程度であったが、1人の青年が立っており、弓を撃ち終わって、
背を向けて移動しようとしていた。

「え。あんな距離から弓矢を打ってきたのか。しかも、森の木が生い茂っている中で、
 なんて腕前なんだ。あ、それより、助けてもらったお礼を言わないと。」

青年は60m以上先におり、そんな距離から弓矢でイーグルを狙って攻撃してきたことに
少年はさらに驚愕するのであったが、お礼を言うべく、青年を追うのであった。しかし、
青年は森の中を軽快に移動しており、森の奥へと消えてしまい、少年はすぐに引き
離されてしまうのであった。

「しまった。せっかくお礼を言おうと思ったのに行っちゃったよ。」

少年は少し残念がるのであったが、イーグルを倒したことを思い出すと行動に移り始めた。

「そうだ。イーグルは強いモンスターだから高く買い取ってくれるかもしれない。
 さっさと回収しておこう。」

少年はイーグルの死骸があるところに戻るとさっそく回収して、残りのモンスターの死骸も
回収して元来た経路をたどって森の外へと歩いていくのであった。10分後、無事に森の外に
出ることができた少年は一息つくのであった。

「ふぅー。よかった。やっと、森の外に出れたな。経験もつめたし、モンスターの死骸も
 手に入ったし、街に戻ろうっと。」

少年は少し休憩するとさっそく街に戻っていくのであった。しばらくして、街にたどり
着いた少年はさっそくモンスターの死骸を買い取ってもらうために道具屋へ向かうので
あった。

「こんにちわ。モンスターの死骸を買い取って欲しいんですけど。」

「いらっしゃいませ。おや、あなたですか。もう森から戻って来られたんですか。」

道具屋の店主は少年にあいさつをするとさっそくモンスターの死骸の買い取りのため、
店の表に出るのであった。そこには少年の退治したゴブリンなどのモンスターの死骸が
置かれていた。

「ゴブリンが4体に、オオカミが2体と、最後に、う。こ、これはイーグルでは
 ありませんか。す、すごい。近くの森に生息していましたけど、このイーグルを
 退治されたんですか。す、すごいですね。」

「え、あ。イーグルはたまたまというか運良くというか。そんなにすごいんですか?」

店主はイーグルの死骸を見るやいなや興奮してしまうのであった。少年はイーグルの価値を
まだ知らず、店主にどのくらいの価値があるのかを聞いてみるのであった。

「ええ。イーグルは滅多に退治されないモンスターなのでとても貴重で高価に取引されて
 いるんですよ。私も見るのは2回目ですよ。」

「そ、そうなんですか。高価なモンスターを退治したんだな。がんばった甲斐が
 あったな。」

少年はイーグルの死骸の価値の高さを意識し始めるのであった。店主は店の中に戻って
さっそく、買い取り価格を計算し始めるのであった。

「ゴブリンとオオカミが合わせて銀貨3枚、イーグルは銀貨30枚でよろしいですか?」

「ぎ、銀貨30枚、イーグルって、そんなに高く買い取ってくれるんですか?」

「ええ、とても貴重で、収集家も集めているので高く買い取りますよ。」

店主の提示してきたイーグルの買い取り価格に少年は驚嘆して聞き直すのであった。
少年は落ち着きを取り戻して、買い取り価格の高さに満足すると了承するのであった。

「その価格で大丈夫です。ありがとうございます。」

「では、合わせて銀貨33枚になります。また、よろしくお願いします。」

少年は銀貨33枚を受け取ると満面の笑みで道具屋を出ていくのであった。さっそく大金を
得た少年は何に使うかを考え始めるのであった。

「どうしようかな。やっぱり、レストランでごちそうでも食べようかな。」

少年は昼食を軽く取ったもののレストランでごちそうでも食べようと思い、歩き始めるので
あった。大金を手にして歩いていた少年はふとあることを思い出すのであった。

「あ、そうだ。あの弓矢で助けてくれた青年にお礼をしないとな。あの人のおかげで
 イーグルを倒せたんだしな。1人ではイーグルにやられていただろうからな。でも、
 街であんなすごい弓矢の達人なんて見たことないな。あとで誰かに聞いてみようかな。」

少年は弓矢で助けてくれた青年にお礼をすることを留意しながら、レストランの前まで
たどり着くと中に入っていくのであった。

「こんにちわ。今日も何かいい料理があれば、作ってください。」

「おお。あんたかい。また、モンスター退治でもうけてきたのかい。今日も肉料理を
 ごちそうするよ。」

店主はさっそく調理に取り掛かり始めるのであった。少年は出されたコップの水を飲み
ながら、先ほど考えていたことを尋ねてみるのであった。

「あ、あの、いいですかね。」

「ああ、今、メインの肉料理の調理が終わったところだよ。どうぞ。肉の香草焼きだ。
 じっくり火が通っているから、いい味だよ。で、質問は何だったっけ。」

「実は、森でモンスターに襲われたときに、すごい腕前の弓使いの青年に助けてもらったん
 です。その方にお礼を言いたくて、ご存知でしたら、教えてください。」

店主はその質問を聞くと考え込むのであった。しばらくすると、何かを思い出したようで
少年に次のようなことを答えるのであった。

「確か。うちにいい肉を卸してくれる猟師の家にそんな青年がいたような気がするな。
 その青年は親父さんの手ほどきを受けてメキメキと弓矢の実力をつけて、今や、
 親父さんを凌駕するほどになってるって聞いたことがあるよ。」

「ご存知だったんですか。住んでいる家を知っていたら、教えてください。あとでお礼を
 言いに行きたいんです。」

少年は店主から助けてくれた弓使いの青年の情報を入手するのであった。
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