戦士と腕輪

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第4章 魔王軍との戦い

第33話 魔王との邂逅

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戦士と腕輪 第33話 魔王との邂逅

 古代洞窟の調査を終えた少年たちは洞窟の入り口へと戻っている途中であった。
洞窟の主から古代の遺物を持ち帰ってよいと言われ、少年は古代洞窟の中で見つけた遺物を
布のカバンにたくさん詰めて歩いていた。

「今回のクエストは俺たちの装備品の副作用の情報が入ってよかったです。しかも、
 貴重な古代の遺物も手に入ったから依頼者の学者さんに渡せば、喜んでくれる
 でしょう。」

「僕は洞窟の主からいただいた成長限界を高める秘薬を飲んだから、これから修行をして
 いけば、きっと幸運の腕輪に頼らずに魔法の能力を高められるはずだよ。」

「あの秘薬は本当に大丈夫なんだろうな。俺は怪しいから飲まなかったが、心配だぞ。」

少年や魔法使いが古代洞窟でのクエストで得たものに喜んでいたが、弓使いは洞窟の主から
提供された秘薬のことを心配しているようであった。3人は帰り道で今回のクエストの
成果を語り合いながら歩いていた。洞窟の主が少年たちを認めたこともあって、帰り道の
途中でモンスターに遭遇することはなかった。

「そろそろ、古代洞窟の入り口まで戻って来ましたよ。やっと、このクエストも無事に
 終えることができたな。」

「うっ。ちょっと待て、入り口の外の様子が騒がしいぞ。気をつけろ。」

少年たちが古代洞窟の入り口に迫ったところで、弓使いが何かの気配を感じたようで
止まるように静止させるのであった。弓使いが低い姿勢でゆっくりと音を立てずに洞窟の
壁づたいに歩いていくと古代洞窟の入り口の外の様子を伺うのであった。

「あ、あれは。なんて数のモンスターなんだ。なぜこんなところに。」

「本当ですね。それに部隊のように整列しているから、もしかして、魔王軍のモンスター
 ぽいですね。」

「僕にも見せてよ。確かに魔王軍のモンスターぽいね。なんでこんなところに来て
 いるのかな。」

3人は古代洞窟の入り口の外の様子を見ると、魔王軍のモンスターが大挙して来ており、
とても驚くのであった。3人は魔王軍との交戦を避けるべく、逃げられそうな経路は
ないかとあちこちを見ていくのであった。

「洞窟の入り口を出て、あの脇のルートはどうですかね。」

「だめだ。魔王軍にすぐに見つかってしまう。戦いになれば、逃げられないだろう。」

「じゃあ。夜まで待って、夜中に魔王軍の横を横切るのはどうだろう。」

「魔王軍は目的を持ってここに来ているはずだ。夜まで待ってくれないだろう。」

弓使いは少年と魔法使いの提案を否定すると何かいい案がないかと深く考え込むので
あった。古代洞窟の入り口付近は魔王軍のモンスターによって固められており、逃げ道は
ないのであった。

「仕方ない。唯一の利点は、魔王軍が俺たちの存在に気がついていないことだ。
 奇襲攻撃を仕掛けて、魔王軍の陣形を乱して、その隙に逃げるしかなさそうだな。」

「わかったよ。じゃあ。僕の大規模魔法が有効だろうね。今日はあまり魔法は使って
 いないから、ばんばん使えるよ。」

弓使いが魔王軍への奇襲攻撃を提案すると、魔法使いが自分の大規模魔法が有効であると
名乗り出るのであった。魔法使いはさっそく奇襲攻撃のため、魔法攻撃の準備に入るので
あった。

「じゃあ。いくよ。燃え盛る爆炎よ。我の前の敵を燃やし尽くせ。ヴォ、ヴォ、
 ヴォカーン。」

魔法使いは広範囲に炎の魔法による爆炎攻撃を古代洞窟の外にいた魔王軍に放った。突然の
大規模な魔法攻撃に魔王軍のモンスターは慌てふためき、次々とやられてしまうので
あった。

「ウケ。ウケケ。グフ。」

「やった。うまく、いったね。もう1発くらい放っておこう。燃え盛る爆炎よ。我の前の
 敵を燃やし尽くせ。ヴォ、ヴォ、ヴォカーン。」

「ウケ。ウケケ。グフ。」

魔法使いはダメ押しとばかりに2度目の大規模魔法を魔王軍へ放つと、魔王軍の
モンスターは完全に統率を失ったようで、混乱の極みに至っていた。少年たちはその様子を
見て、今が脱出するチャンスであると判断した。

「よし、今なら、魔王軍の中を突っ切っても逃げられるだろう。いくぞ。走れ。」

「はい。全力で戦いながら逃げます。」

「2人とも前は頼んだよ。もう、大規模魔法は発動できそうにないから。」

弓使いが急いで古代洞窟から走って脱出するように促すと、少年と魔法使いは一目散に
走って逃げ出した。少年と弓使いが前に出て残っていた魔王軍のモンスターを蹴散らし
ながら走っていくのであった。

「邪魔だ。どけ。とりゃー。」

「ウケ。ウケケ。グフ。」

「シュパーン。シュパーン。あまり、モンスターにかまうな。逃げることを優先しろ。」

「ウケ。ウケケ。グフ。」

「はあ。はあ。2人とも走るのが早いね。攻撃しながらなのに。」

少年と弓使いは走りながら、進行方向のモンスターたちへ攻撃を仕掛けて退路を確保して
いくのであった。魔法使いも2人に引き離されまいと全力で走るのであった。魔法使いの
大規模魔法と少年と弓使いの攻撃で魔王軍のモンスターは半数近くが倒されており、脱出は
確実であると思われた。しかし、魔王軍の後方からある声が聞こえてくるのであった。

「静まれ。何をやっておるのだ。愚か者どもが。」

「ウケー。ウケケー。ブン。」

魔王軍からの後方から発せられた声でリーダーゴブリンの統率が復活し、魔王軍の
モンスターは徐々に落ち着きを取り戻し始めるのであった。この様子を目撃した少年たちは
少し焦り始めた。

「ま、まずいな。奇襲攻撃でかき乱していたのに、このままだと捕捉されてしまうぞ。」

「いや。もう俺たちは魔王軍の後方まで来ている。最後尾は目前だ。このまま突っ切れば
 脱出可能だ。走るんだ。」

少年が魔王軍に捕捉される懸念を持つが、弓使いは魔王軍の最後尾のところまで来て
いたので脱出は可能と判断すると2人に走れと鼓舞するのであった。しかし、魔王軍も
3人を放ってはおかなかった。落ち着きを取り戻した魔王軍のモンスターは少年たちに
攻撃を加えていった。

「ウケ。ウケケ。ブーン。」

「くそ。こいつめ。とりゃー。」

「ウケ。ウケケ。グフ。」

少年は足止めとばかりに攻撃してきたゴブリンを叩き斬ると走って逃げようとするが、
魔王軍の後方からある人物が高速で移動して少年たちの前に立ち塞がるのであった。

「貴様らだな。我が配下どもに攻撃して来たのは、このまま逃げられると思うなよ。
 ズシャー。」

「うわー。いきなり攻撃してきた。何者だ。」

「やるな。新手のモンスターか何かか?」

「モンスターというより、人っぽいけどね。」

少年たちの前に立ち塞がった人物は剣を大きくなぎ払うように振るうと少年たちを
吹き飛ばすのであった。リーダーゴブリンの1匹がその人物に近づくと話かけるので
あった。

「ウケー。ウケケー。ウケー。」

「何。こやつらが大都市の近くの砦を攻略するときに妨害した連中だと。なるほど、
 このまま生きて返す訳にはいかんな。元々、この古代洞窟にいる洞窟の主を倒して
 従えてやろうと思ったが、まずは貴様から血祭りにしてやろう。この魔王自らの
 手でな。」

「えっ。今。魔王って言ったのか。もしかして、あいつが魔王軍のリーダーの魔王か。」

なんと立ち塞がった人物は自らを魔王と名乗るのであった。魔王は人の姿ではあったが、
色黒な男性で屈強な体つきをしており、とても邪悪な雰囲気を醸し出していた。魔王は
少年たちを見据えると左手をかざして、何かを唱えるのであった。

「漆黒の炎よ。我の前の敵を燃やし尽くせ。暗黒爆炎。ズヴォ、ヴォー。ヴォカーン。」

「うわー。なんて魔法攻撃だ。あんな魔法は見たことないぞ。」

「大丈夫か。さすが、魔王と名乗るだけはあるな。」

魔王は魔法で黒い炎を少年たちへ放つと、少年たちもすぐに避けた。しかし、黒い炎が
少年たちの近くの地面に到達したときに爆発するのであった。少年たちはあまりの魔王の
魔法攻撃の威力に驚くのであった。このままでは魔王軍に包囲されかねないと感じた少年
たちは魔王へ一斉に攻撃を仕掛けるのであった。

「くっ。こうなったら、全員で魔王に一斉攻撃しましょう。ため切り。どりゃー。」

「ふん。なかなかいい踏み込みだが、受け止めてくれるわ。カキン。」

少年は魔王への一斉攻撃の先駆けとしてため切りをくらわそうとしたが、魔王に受け
止められてしまった。

「そいつから離れろ。クイックシュート。シュパ。シュパ。シュパ。シュパ。シュパ。
 シュパ。シュパーン。」

今度は、弓使いが少年のため切りを剣で受け止めて動けない魔王にクイックシュートで
矢を高速かつ大量に放つのであった。少年は横っ飛びで魔王から離れたので、大量の矢が
魔王に突き刺さるかと思われたが、魔王も剣を構えるとブンブンと回転させ始めるので
あった。

「ブンブン。カキン。カキン。カキン。ふん。こんなちんけな矢で我は葬れぬぞ。」

「何、全部の矢をたたき落としただと、なんてやつだ。強すぎる。」

「次は僕の番だよ。風よ。とおー。ブシュー。炎よ。とおー。ヴォー。」

魔王は弓使いの放った矢をことごとくたたき落としてしまうのであった。すかさず、
魔法使いが残りの魔力で出せる風魔法と炎の魔法を連続で放つのであった。

「ふん。はっ。効かぬわ。連続で魔法を放つとはいいものを見せてもらったわ。
 お返しだ。漆黒の炎よ。我の前の敵を燃やし尽くせ。暗黒爆炎。ズヴォ、ヴォー。
 ヴォカーン。」

「うわー。強いよー。この魔王。やばいかも。」

魔王は剣で魔法攻撃を振り払って防御するとお返しとばかりに強力な魔法攻撃を放って
くるのであった。少年たちは魔王のすさまじさに圧倒され、追い詰められており、まさに
絶体絶命の危機であった。しかし、少年たちは各々武器を構えて、決してあきらめないで
いた。

「くっ。2人とも大丈夫ですか?」

「ああ。なんとかな。しかし、俺たちの攻撃がほとんど魔王に通用しないぞ。」

「魔法ももう打てないし、あれを使うかい?」

少年たちは打つ手が残っていないと感じると剣士の腕輪、静穏の弓、幸運の腕輪の副作用を
発動させるしかないと考えるのであった。

「う。なんだ。今の魔法攻撃で魔力を使ったのか。しかも、我が軍の半数がダメに
 なっているのでは古代洞窟の攻略も面倒になるな。今回は引きあげるか。撤退だ。」

魔王は魔法攻撃を放って魔力を消耗したことと魔王軍の半数が倒されて使い物にならない
ことを考慮して、撤退すると宣言すると立ち去っていくのであった。これに呼応して、
魔王軍のモンスターたちも古代洞窟から撤退していくのであった。

「もしかして、魔王軍は撤退したのか。よ、よかった。やられると思った。
 でも、魔王があんなに強いなんて。」

少年は撤退していく魔王軍を見て、安堵するのであったが、魔王に全く歯が立たなかった
ことに衝撃を受けるのであった。
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