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第6章 暗き闇との邂逅
第54話 再びの古代洞窟
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戦士と腕輪 第54話 再びの古代洞窟
鍛冶屋で折れた黒鉄剣を修復および強化するのに必要な金剛石の入手場所を
教えてもらった少年とシスターは、翌日の日が昇る前に商業都市を出発していた。入手場所が古代洞窟であったため、移動に商業都市から2日程度かかるので、少年たちは早くに宿屋を出るのであった。
「はあ。まさか、金剛石があの古代洞窟にあるなんて、びっくりしたな。」
「昨日も鍛冶屋の親父さんからその洞窟の名前を聞いて驚かれていましたが、以前に探索されたことがあったのですか。」
少年とシスターは街道を歩いている途中に、古代洞窟のことをしゃべり始めた。シスターは少年が過去に古代洞窟に訪れていたことに興味をもち始めると、そのことを尋ねた。
「ええ。俺が昔のメンバーでパーティーを組んでいたときに1度訪れたことがあります。クエストで調査依頼を引き受けて、古代洞窟の中へ入りました。中には強いモンスターがたくさんいましたよ。最奥には洞窟の主がいて、話すと面白い奴でしたよ。」
「す、すごいですね。お話ができるモンスターがいるだなんて、早く行って、その洞窟の主と会って、お話ししてみたいです。」
少年は以前にクエストの調査依頼を引き受けて古代洞窟へ訪れたことを話すと洞窟の主のことも語り始めた。シスターは洞窟の主が喋ると聞いて驚くと古代洞窟への興味をどんどんと持ち始めた。
「あ、そうだ。あなたを聖女からシスターに変えた職変の腕輪もその洞窟で見つけたんですよ。運がよかったな。」
「えっ。そうだったんですか。では、私にも、とてもゆかりのある洞窟なんですね。早く行ってみたいです。」
職変の腕輪のことを聞かされたシスターは自分との関係も深いと感じ始めてますます興味を持つのであった。しかし、少年はそのときのことを冗舌に語っているとあることを思い出して、少し表情を曇らせるのであった。
「あ、そういえば、あのとき、洞窟を出た直後に、魔王軍と遭遇したんだよな。戦闘になって、魔王軍は撤退したけど。」
「えっ。それって、私も参加していたのでは。」
少年の言葉を聞いたシスターも表情を濁らせていくのであった。少年は気まずいと感じて、シスターに当時のことをさらに説明した。
「あのとき、魔王軍は古代洞窟のモンスターと洞窟の主を仲間に引き入れようとしましたが、俺たちと戦って、撤退したので、古代洞窟には被害がなかったし、あなたも魔王だった頃の記憶もないので誰も責めませんよ。」
「そうですね。ただ、古代洞窟のモンスターたちが魔王軍のことを恨んでいて、私が元魔王だとバレたら、とんでもないことになりそうで、とても心配です。」
少年のフォローの言葉を聞くシスターであるが、古代洞窟に行って、自分のせいで大事にならないか、とても懸念を持ち始めるのであった。今回の目的は金剛石の入手であるため、追い返されれば、折れた黒鉄剣を修復も強化もできず、少年の今後の戦いに悪影響を及ぼすのは必然であった。
「大丈夫ですよ。あなたが元魔王だなんてバレやしないですし、もしそうなったときは、俺が洞窟の主に事情を説明して、納得してもらいますよ。洞窟の主とは良好な関係なので、大丈夫です。」
「わかりました。私が元魔王だとバレたら、私も全身全霊で謝りますが、あなたからも洞窟の主を説得してください。」
シスターはそう言うと濁らせていた表情を元に戻して、歩いていくのであった。少年もシスターの懸念をある程度は拭えたと思い、一安心してシスターと共に歩いていくのであった。古代洞窟までの道のりはけっこう長く、2人は黙々とひたすら街道を歩き続けるのであるが、太陽が地平に落ち始めた頃に街道近くの野原で野宿を始めた。
「近くに落ちている枯れ枝を拾ってきてください。俺はとりあえず見つけた枯れ枝で火を起こし始めます。」
「わかりました。食べられそうな植物があれば、枯れ枝といっしょに採ってきます。」
少年が火を起こし始めると、指示を受けたシスターが燃料となる枯れ枝を探しに行った。火を起こした後、少年は簡易テントを張るのであった。テントを張り終えた頃にシスターが枯れ枝を拾って戻ってくるのであった。
「枯れ枝を拾ってきました。あと、野いちごとキノコも採ってきました。」
「助かります。パンしか持ってこなかったので、他の食べ物があるとうれしいです。」
シスターが枯れ枝に加えて、他の食べ物も採ってきてくれたと聞くと、少年は笑顔になって、枯れ枝をシスターから受け取って、火に焚べていくのであった。2人は枯れ枝を焚べた火の前で夕食をとり始めた。
「早朝にパン屋が開いていてよかったですよ。焼きたてのパンを手に入れられたので、なかなかうまいです。」
「でも、だいぶ時間が経過したので、少し冷たくて、パサついてますね。うふ。」
シスターがパンのことで買ってからだいぶ時間が経過しているので不満を漏らすと少年は火の近くに自分のパンを近づけていった。
「こうやって、火でパンを炙ってあげれば、温かくなって、少ししっとりして美味しくなりますよ。はむ。おいしいなあ。」
「わかりました。火で炙ってみますね。はむ。はい。確かに美味しいです。こんな食べ方もあるんですね。勉強になりました。」
シスターは少年から教えてもらった方法でパンを火で温めて食べると、美味しいと言って、意外に驚くのであった。少年とシスターは採取した野いちごやキノコをさらに食べると食事を終えるのであった。しばらくすると、2人は簡易テントで横になって早めの就寝に就こうとしていた。
「明日は古代洞窟に到着して、中に入っていくので、体力を回復しておきましょう。」
「はい。私も、明日、古代洞窟に入れると思うと少しワクワクします。」
シスターは古代洞窟への期待を抱きながら、眠りにつくのであった。シスターの古代洞窟への懸念がかなり和らいだと少年は感じ取った。翌日の早朝、朝食を食べ終えて、火を消した少年たちは簡易テントをたたむと、再び街道へ戻って歩き始めるのであった。太陽がかなり高くなり、お昼を過ぎ始めた頃になると、少年たちは目的地である古代洞窟にかなり近づいていた。
「そろそろ古代洞窟の入り口が見え始めていいんだけどな。」
「あ、あそこの大きな横穴が入り口ではないでしょうか。」
少年とシスターは古代洞窟の入り口を見つけるとその前で休憩がてら、装備の確認を行い始めた。
「持ってきたものはこれでよしっと。あとはたいまつをつけて、灯りを確保するだけだな。」
「昼食もとっておきましょう。昨日のパンです。パサパサになってますが、食べましょう。もし洞窟の中で迷って、空腹で動けなくなると困りますから。」
装備の点検を終えた少年はシスターから昨日買ったパンを受け取ると食べてお腹を満たすのであった。2人は古代洞窟へ入る準備を終えると、その入り口へと進んで行った。
「たいまつがあるとはいえ、やはり暗いですね。私は洞窟には初めて入るので緊張します。」
「気をつけてください。足元に石ころが転がっています。あと、落石も注意してください。」
緊張しているシスターに、少年は注意を促しながら、2人は古代洞窟の中を進んでいった。古代洞窟の中は暗く静まりかえっており、何もいないかのようであった。少年はその様子に少し以前とは違っていると感じ始めた。
「うーん。洞窟の入り口からけっこう歩いたけど、モンスターとまだ遭遇しないな。前はそろそろ遭遇し始めていたけどな。」
「そうですか。あまり、人が立ち入らないから、モンスターも奥で寝ているかもしれませんね。」
シスターは少年ほどあまり警戒をしていなかったので、モンスターと遭遇しないことに疑問を感じていなかった。少年は警戒を怠らず、そのまま歩き続けるとたいまつの灯りの先に何かを見つけるのであった。
「何かいるぞ。あれはスパイダーじゃないか。やっとモンスターと遭遇したな。」
少年は古代洞窟の中でスパイダーと遭遇すると、早速、折れた黒鉄剣を構えるのであった。スパイダーもたいまつの灯りに気がつくと攻撃してくるのかと思われた。
「ピギャー。ピギャー。ダ、ダ、ダ。」
「あれ。すぐに逃げ出したぞ。おかしいな。何もしてこないなんて。」
「きっと。私たちの強さを感じ取って、すぐに逃げたのでしょう。」
スパイダーが逃げ出したことを不思議に感じながらも、少年もシスターの言うとおりだと思って、先へ進むのであった。
「ここから先はモンスターが出て来ると思いますので、警戒して進みましょう。」
「はい。私も投石紐をいつでも使えるようにしておきます。」
2人はモンスターの出現するのを警戒しながら、古代洞窟の中をさらに進んでいった。しばらくすると、少年はたいまつの灯りの先にまたもや何かいると警戒し始めた。
「はっ。何かいるぞ。また、スパイダーだ。今度は2匹もいるな。」
「ピギャー。ピギャー。サッ。サッ。」
今度は、少年とシスターの前にスパイダーが2匹も現れたが、様子がおかしかった。2匹のスパイダーは少年たちに気がつくと洞窟の壁際に張り付くように寄って、そこから微動だにもしなくなった。
「あれ、何もしてこないぞ。どうなっているんだ。」
「確かにおかしいですね。壁に寄って、私たちに道を開けてくれているようですね。」
少年とシスターはスパイダーの行動が理解できず、攻撃も中止するのであった。スパイダーに攻撃の意思がなさそうであると感じた2人は何もせずにそのまま進んでいくのであった。このような不思議な現象が何度も行く途中で起こり、少年とシスターは半信半疑で古代洞窟の中を進んでいった。
「洞窟の最奥に着く頃だな。けっこう早く着きましたね。」
「そうですね。モンスターとの戦闘が一切なかったですから、楽でしたね。」
2人は古代洞窟の中を戦闘なしで歩いてきたので、警戒をほぼ完全に解いていた。しかし、古代洞窟の最奥手前まで来ると、あのモンスターが待ち構えていた。
「シャー。シャー。」
「えっ。へ、ヘビ。いや。怖いです。」
少年とシスターの前にあの大蛇が大きなとぐろを巻いて待ち構えていた。シスターは蛇が苦手なようで、少年の後ろに隠れて、かなり怖がっていた。
「大丈夫ですよ。この大蛇も攻撃はしてこないですよ。」
「わ、わかりました。取り乱してしまって、失礼しました。」
「シャー。ひ、さしぶり、だな。よく、き、た。」
少年が怖がるシスターをなだめていると、なんと大蛇が片言ではあるがしゃべりかけてくるのであった。
「す、すごい。おまえもしゃべれるようになったのか。」
「主様に教えて、もらった。前来たときは、ま、魔王の、軍を、退けて、くれて、感謝する。今日、は、な、ん、のようだ。」
大蛇は驚いている少年をよそに魔王軍を退けてくれたことに謝意を述べて、用件を聞くのであった。少年は、早速、古代洞窟に来た目的を大蛇に説明し始めた。
「実は、俺の剣がこの通り折れてしまって、修復と強化のためにこの洞窟にある金剛石を入手しに来たんだ。洞窟の主に会って、金剛石のことを聞きたいんだ。」
「シャー。よかろう。ついてこい。サー。」
少年の用件を聞いた大蛇はすぐに古代洞窟の最奥に案内すべく、巻いていたとぐろを解いて、奥へとはっていくのであった。少年とシスターは大蛇のあとをついて行くのであった。
「そういえば、ここに来るまでに何匹ものモンスターと遭遇したが、1匹も襲ってこなかったが、お前たちから何か言っておいてくれたのか。」
「シャー。そ、そうだ。仲間たちに、は、お前が、来たときは、戦わず、道を譲れと、言ってある。サー。」
少年の問いに大蛇がたどたどしい言葉で答えるのであった。大蛇は前回のことで少年の強さは十分わかっているので仲間のモンスターたちに手を一切出させないように指示を出していた。その会話が終わった直後、大蛇は古代洞窟の最奥にある岩の前まで来ると平伏した。
「シャー。主さま。あの、ときの、少年が参りました。」
「キシャー。ひさしぶりだな。あのとき以来だな。何かようかニョロ。」
岩の上には小さな白い蛇が鎮座しており、大蛇の言葉を聞くと少年に語りかけてくるのであった。この小さな白い蛇こそがこの古代洞窟の最奥にいる洞窟の主であった。
鍛冶屋で折れた黒鉄剣を修復および強化するのに必要な金剛石の入手場所を
教えてもらった少年とシスターは、翌日の日が昇る前に商業都市を出発していた。入手場所が古代洞窟であったため、移動に商業都市から2日程度かかるので、少年たちは早くに宿屋を出るのであった。
「はあ。まさか、金剛石があの古代洞窟にあるなんて、びっくりしたな。」
「昨日も鍛冶屋の親父さんからその洞窟の名前を聞いて驚かれていましたが、以前に探索されたことがあったのですか。」
少年とシスターは街道を歩いている途中に、古代洞窟のことをしゃべり始めた。シスターは少年が過去に古代洞窟に訪れていたことに興味をもち始めると、そのことを尋ねた。
「ええ。俺が昔のメンバーでパーティーを組んでいたときに1度訪れたことがあります。クエストで調査依頼を引き受けて、古代洞窟の中へ入りました。中には強いモンスターがたくさんいましたよ。最奥には洞窟の主がいて、話すと面白い奴でしたよ。」
「す、すごいですね。お話ができるモンスターがいるだなんて、早く行って、その洞窟の主と会って、お話ししてみたいです。」
少年は以前にクエストの調査依頼を引き受けて古代洞窟へ訪れたことを話すと洞窟の主のことも語り始めた。シスターは洞窟の主が喋ると聞いて驚くと古代洞窟への興味をどんどんと持ち始めた。
「あ、そうだ。あなたを聖女からシスターに変えた職変の腕輪もその洞窟で見つけたんですよ。運がよかったな。」
「えっ。そうだったんですか。では、私にも、とてもゆかりのある洞窟なんですね。早く行ってみたいです。」
職変の腕輪のことを聞かされたシスターは自分との関係も深いと感じ始めてますます興味を持つのであった。しかし、少年はそのときのことを冗舌に語っているとあることを思い出して、少し表情を曇らせるのであった。
「あ、そういえば、あのとき、洞窟を出た直後に、魔王軍と遭遇したんだよな。戦闘になって、魔王軍は撤退したけど。」
「えっ。それって、私も参加していたのでは。」
少年の言葉を聞いたシスターも表情を濁らせていくのであった。少年は気まずいと感じて、シスターに当時のことをさらに説明した。
「あのとき、魔王軍は古代洞窟のモンスターと洞窟の主を仲間に引き入れようとしましたが、俺たちと戦って、撤退したので、古代洞窟には被害がなかったし、あなたも魔王だった頃の記憶もないので誰も責めませんよ。」
「そうですね。ただ、古代洞窟のモンスターたちが魔王軍のことを恨んでいて、私が元魔王だとバレたら、とんでもないことになりそうで、とても心配です。」
少年のフォローの言葉を聞くシスターであるが、古代洞窟に行って、自分のせいで大事にならないか、とても懸念を持ち始めるのであった。今回の目的は金剛石の入手であるため、追い返されれば、折れた黒鉄剣を修復も強化もできず、少年の今後の戦いに悪影響を及ぼすのは必然であった。
「大丈夫ですよ。あなたが元魔王だなんてバレやしないですし、もしそうなったときは、俺が洞窟の主に事情を説明して、納得してもらいますよ。洞窟の主とは良好な関係なので、大丈夫です。」
「わかりました。私が元魔王だとバレたら、私も全身全霊で謝りますが、あなたからも洞窟の主を説得してください。」
シスターはそう言うと濁らせていた表情を元に戻して、歩いていくのであった。少年もシスターの懸念をある程度は拭えたと思い、一安心してシスターと共に歩いていくのであった。古代洞窟までの道のりはけっこう長く、2人は黙々とひたすら街道を歩き続けるのであるが、太陽が地平に落ち始めた頃に街道近くの野原で野宿を始めた。
「近くに落ちている枯れ枝を拾ってきてください。俺はとりあえず見つけた枯れ枝で火を起こし始めます。」
「わかりました。食べられそうな植物があれば、枯れ枝といっしょに採ってきます。」
少年が火を起こし始めると、指示を受けたシスターが燃料となる枯れ枝を探しに行った。火を起こした後、少年は簡易テントを張るのであった。テントを張り終えた頃にシスターが枯れ枝を拾って戻ってくるのであった。
「枯れ枝を拾ってきました。あと、野いちごとキノコも採ってきました。」
「助かります。パンしか持ってこなかったので、他の食べ物があるとうれしいです。」
シスターが枯れ枝に加えて、他の食べ物も採ってきてくれたと聞くと、少年は笑顔になって、枯れ枝をシスターから受け取って、火に焚べていくのであった。2人は枯れ枝を焚べた火の前で夕食をとり始めた。
「早朝にパン屋が開いていてよかったですよ。焼きたてのパンを手に入れられたので、なかなかうまいです。」
「でも、だいぶ時間が経過したので、少し冷たくて、パサついてますね。うふ。」
シスターがパンのことで買ってからだいぶ時間が経過しているので不満を漏らすと少年は火の近くに自分のパンを近づけていった。
「こうやって、火でパンを炙ってあげれば、温かくなって、少ししっとりして美味しくなりますよ。はむ。おいしいなあ。」
「わかりました。火で炙ってみますね。はむ。はい。確かに美味しいです。こんな食べ方もあるんですね。勉強になりました。」
シスターは少年から教えてもらった方法でパンを火で温めて食べると、美味しいと言って、意外に驚くのであった。少年とシスターは採取した野いちごやキノコをさらに食べると食事を終えるのであった。しばらくすると、2人は簡易テントで横になって早めの就寝に就こうとしていた。
「明日は古代洞窟に到着して、中に入っていくので、体力を回復しておきましょう。」
「はい。私も、明日、古代洞窟に入れると思うと少しワクワクします。」
シスターは古代洞窟への期待を抱きながら、眠りにつくのであった。シスターの古代洞窟への懸念がかなり和らいだと少年は感じ取った。翌日の早朝、朝食を食べ終えて、火を消した少年たちは簡易テントをたたむと、再び街道へ戻って歩き始めるのであった。太陽がかなり高くなり、お昼を過ぎ始めた頃になると、少年たちは目的地である古代洞窟にかなり近づいていた。
「そろそろ古代洞窟の入り口が見え始めていいんだけどな。」
「あ、あそこの大きな横穴が入り口ではないでしょうか。」
少年とシスターは古代洞窟の入り口を見つけるとその前で休憩がてら、装備の確認を行い始めた。
「持ってきたものはこれでよしっと。あとはたいまつをつけて、灯りを確保するだけだな。」
「昼食もとっておきましょう。昨日のパンです。パサパサになってますが、食べましょう。もし洞窟の中で迷って、空腹で動けなくなると困りますから。」
装備の点検を終えた少年はシスターから昨日買ったパンを受け取ると食べてお腹を満たすのであった。2人は古代洞窟へ入る準備を終えると、その入り口へと進んで行った。
「たいまつがあるとはいえ、やはり暗いですね。私は洞窟には初めて入るので緊張します。」
「気をつけてください。足元に石ころが転がっています。あと、落石も注意してください。」
緊張しているシスターに、少年は注意を促しながら、2人は古代洞窟の中を進んでいった。古代洞窟の中は暗く静まりかえっており、何もいないかのようであった。少年はその様子に少し以前とは違っていると感じ始めた。
「うーん。洞窟の入り口からけっこう歩いたけど、モンスターとまだ遭遇しないな。前はそろそろ遭遇し始めていたけどな。」
「そうですか。あまり、人が立ち入らないから、モンスターも奥で寝ているかもしれませんね。」
シスターは少年ほどあまり警戒をしていなかったので、モンスターと遭遇しないことに疑問を感じていなかった。少年は警戒を怠らず、そのまま歩き続けるとたいまつの灯りの先に何かを見つけるのであった。
「何かいるぞ。あれはスパイダーじゃないか。やっとモンスターと遭遇したな。」
少年は古代洞窟の中でスパイダーと遭遇すると、早速、折れた黒鉄剣を構えるのであった。スパイダーもたいまつの灯りに気がつくと攻撃してくるのかと思われた。
「ピギャー。ピギャー。ダ、ダ、ダ。」
「あれ。すぐに逃げ出したぞ。おかしいな。何もしてこないなんて。」
「きっと。私たちの強さを感じ取って、すぐに逃げたのでしょう。」
スパイダーが逃げ出したことを不思議に感じながらも、少年もシスターの言うとおりだと思って、先へ進むのであった。
「ここから先はモンスターが出て来ると思いますので、警戒して進みましょう。」
「はい。私も投石紐をいつでも使えるようにしておきます。」
2人はモンスターの出現するのを警戒しながら、古代洞窟の中をさらに進んでいった。しばらくすると、少年はたいまつの灯りの先にまたもや何かいると警戒し始めた。
「はっ。何かいるぞ。また、スパイダーだ。今度は2匹もいるな。」
「ピギャー。ピギャー。サッ。サッ。」
今度は、少年とシスターの前にスパイダーが2匹も現れたが、様子がおかしかった。2匹のスパイダーは少年たちに気がつくと洞窟の壁際に張り付くように寄って、そこから微動だにもしなくなった。
「あれ、何もしてこないぞ。どうなっているんだ。」
「確かにおかしいですね。壁に寄って、私たちに道を開けてくれているようですね。」
少年とシスターはスパイダーの行動が理解できず、攻撃も中止するのであった。スパイダーに攻撃の意思がなさそうであると感じた2人は何もせずにそのまま進んでいくのであった。このような不思議な現象が何度も行く途中で起こり、少年とシスターは半信半疑で古代洞窟の中を進んでいった。
「洞窟の最奥に着く頃だな。けっこう早く着きましたね。」
「そうですね。モンスターとの戦闘が一切なかったですから、楽でしたね。」
2人は古代洞窟の中を戦闘なしで歩いてきたので、警戒をほぼ完全に解いていた。しかし、古代洞窟の最奥手前まで来ると、あのモンスターが待ち構えていた。
「シャー。シャー。」
「えっ。へ、ヘビ。いや。怖いです。」
少年とシスターの前にあの大蛇が大きなとぐろを巻いて待ち構えていた。シスターは蛇が苦手なようで、少年の後ろに隠れて、かなり怖がっていた。
「大丈夫ですよ。この大蛇も攻撃はしてこないですよ。」
「わ、わかりました。取り乱してしまって、失礼しました。」
「シャー。ひ、さしぶり、だな。よく、き、た。」
少年が怖がるシスターをなだめていると、なんと大蛇が片言ではあるがしゃべりかけてくるのであった。
「す、すごい。おまえもしゃべれるようになったのか。」
「主様に教えて、もらった。前来たときは、ま、魔王の、軍を、退けて、くれて、感謝する。今日、は、な、ん、のようだ。」
大蛇は驚いている少年をよそに魔王軍を退けてくれたことに謝意を述べて、用件を聞くのであった。少年は、早速、古代洞窟に来た目的を大蛇に説明し始めた。
「実は、俺の剣がこの通り折れてしまって、修復と強化のためにこの洞窟にある金剛石を入手しに来たんだ。洞窟の主に会って、金剛石のことを聞きたいんだ。」
「シャー。よかろう。ついてこい。サー。」
少年の用件を聞いた大蛇はすぐに古代洞窟の最奥に案内すべく、巻いていたとぐろを解いて、奥へとはっていくのであった。少年とシスターは大蛇のあとをついて行くのであった。
「そういえば、ここに来るまでに何匹ものモンスターと遭遇したが、1匹も襲ってこなかったが、お前たちから何か言っておいてくれたのか。」
「シャー。そ、そうだ。仲間たちに、は、お前が、来たときは、戦わず、道を譲れと、言ってある。サー。」
少年の問いに大蛇がたどたどしい言葉で答えるのであった。大蛇は前回のことで少年の強さは十分わかっているので仲間のモンスターたちに手を一切出させないように指示を出していた。その会話が終わった直後、大蛇は古代洞窟の最奥にある岩の前まで来ると平伏した。
「シャー。主さま。あの、ときの、少年が参りました。」
「キシャー。ひさしぶりだな。あのとき以来だな。何かようかニョロ。」
岩の上には小さな白い蛇が鎮座しており、大蛇の言葉を聞くと少年に語りかけてくるのであった。この小さな白い蛇こそがこの古代洞窟の最奥にいる洞窟の主であった。
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