乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、公式カプ(ヒロイン×王子)を全力で推しますわ!

朝月夜

文字の大きさ
4 / 8

4.「フェラン・クレルモン」

しおりを挟む
 間違えました。
 初日からプランAを失敗してしまいました。
 プランA。
 それは正史ゲーム通り、エリナ様×レオナール様一直線による最短ルートの作戦です。ですが、先ほどの醜態の通り、私は悪役令嬢になりきれず、嫌われ役を演じるつもりが、むしろ、ちょっとエリナ様と仲良くなれてしまいました。
 いや、仲良くなれたこと自体は超嬉しい……じゃなくて、このままでは正史ゲームとは違う展開にずれてしまいます。それは不確定要素が発生し、エリナ様×レオナール様ルートが遠のく可能性があるということ。

(ですが……まだ絶望する段階ではありません……伊達に七年、七年も計画を練ったわけではありません)
(こういった失敗したときに備えて、もうひとつの計画――プランBを実行するまでよ!!)

 プランB。
 一言で表すなら、 “他攻略対象の男子ルートを潰しまくる作戦”です。
 元々実行しようとしたプランAがエリナ様×レオナール様ルートを積極的に向かおうとする作戦とするなら、こちらのプランBは消去法によってエリナ様×レオナール様ルートに向かわせる作戦。
 具体的には、エリナ様が他攻略対象の男子たちと出会う場面で、私セレスティンが出会う場面へとすり替える。他攻略対象の男子たちとエリナ様との一切のフラグを立つイベントは代わりに私が頂く。
 そうすれば、他攻略対象の男子たちはエリナ様に興味が向かず、エリナ様も他攻略対象の男子たちに興味が向くことはないでしょう。
 そうすればおのずとルートは絞られて、エリナ様×レオナール様ルートに行く可能性が高まるということ。

(フフ……他人の恋路を喜んで邪魔するなんて……ようやく悪女、いや悪役令嬢が板についたということかしら)

 私はあざとく悪く、ザ・魔性の女を気取るように不敵な笑みを浮かべます。

(そうと決まれば、プランBさっそく実行よ!)
(まずは……攻略対象の一人――フェランとのルートを潰すわよ!!)

 ***

 入学式から三日目、二限目の魔力制御演習の授業に参加するため、私とエリナ様は学園の魔法演習場に足を運びました。

「ではこれより魔力制御演習の授業に入ります。ルールは――」

 片眼鏡をかけた白髪の初老男性、ポルナレフ先生が演習の説明を始めます。
 この授業は正史ゲームの序盤で体験するイベントで、フェランルートに進むなら避けて通れない重要なイベントです。
 授業では、基本魔法のひとつである火の魔法を扱います。演習は的当てゲームのような形式で、目標となる魔法陣に向かって火球を放ち、その威力、速さ、コントロール、魔力量の四つの評価から総合点が算出される仕組みです。
 ちなみに合格ラインは60点以上。満たさなければ、ポルナレフ先生によるスパルタ補習が待っています。
 説明を終えたポルナレフ先生は、にこやかに、しかし鋭い目で生徒たちを見渡しました。

「では、まず一人目、エリナ・クチュール君。どうぞ」
「はい!」

 元気よく返事をするエリナ様は、そのまま持ち場へと向かいます。いきなり一人目に選ばれたことで、少し緊張した表情を浮かべていました。

「頑張って! エリナ様!!」

 ちなみに正史ゲームでは、ここはちょっとしたミニゲームになっておりまして、ゲージの高得点ラインに合わせてボタンを押すことで得点が変わる仕組みでした。
 つまり本来は、プレイヤーの腕前で点数が変わる形式だったのですが……。プレイヤーがいないこの世界では、エリナ様はいったい何点を叩き出すのでしょう?
 エリナ様は深呼吸をひとつ置くと、左手を構え、魔法名を唱えました。

火天ファイアボール!!」
 ――ボゥ!

 左手から放たれた火球は、大きく、速く、美しい軌道を描きながら魔法陣へと飛んでいきます。的である魔法陣に触れた瞬間、まるで掃除機のように火球が吸い込まれていきました。
 同時に、魔法陣近くのボードからテレテレテレ……と測定音が流れます。

(たしか……魔法陣とボードは連動していて、あのボードに点数が表示されるんでしたよね……)

 テレテレという音の中、私はゲームでのこの場面を思い出していました。
 ――テレテレテレテレ……テン!
 ボードに表示された点数は、80点。
 エリナ様は初めての演習で、見事80点という高得点を叩き出したのです。

「おお! 80点とは素晴らしい! 我が校においても、ここまでの成績を叩き出す者は稀ですぞ、エリナ君!」

 正史ゲーム通り、80点以上はポルナレフ先生から最上級の褒め言葉が贈られます。

「流石ですわ! エリナ様!!」

 私は嬉しくなって駆け寄りました。
 周囲の生徒たちも、思わずほうっと息を漏らし、関心の声を上げています。

「えへへ……ちょっと緊張しましたわ」

 照れながら頬を軽くかくエリナ様。マジで可愛いですけど。

「いえいえ、流石ですよ、エリナ様。私、知っていますもの。授業を終えたあとも、家に帰ってからも……ずっと魔法の勉強を続けていらっしゃることを!」
「えっ……セレスティン様? なぜ、それを――」

 うっ……言った瞬間、食いつかれた。
 しまった。ゲームで見ていたなんて言えない。どう躱せばいいのかしら。
 そう思った瞬間――。

「次! セレスティン・オート君。どうぞ」

 私の名前が呼ばれた。

「あっ、はい! 呼ばれちゃいましたので――!」

 エリナ様の追及から逃げるように、私はそそくさと持ち場へ向かいました。

(さて……魔法の演習ですか……)

 いざ自分の番になると、やっぱり緊張する。
 もちろん私も七年間魔法の勉強はしてきた。
 でも正史ゲーム設定の影響か、セレスティンは魔法が苦手で……いえ、設定を言い訳にするのは良くありませんね。

「セレスティン様、頑張ってください!」
(エリナ様のように、私も頑張れば――)

 私は魔法陣に向かって左手を構えます。

火天ファイアボール!!」
 ――ボゥ!

 火球の形はやや不安定。軌道も……ええ、しっかりと外れていきます。

「ああ、しまった!」
「セレスティン様!」

 このままではどこかにぶつかってしまう……そう思った瞬間。
 ――キュイイン!
 魔法陣の吸い込みが突如として強まり、まるで下手くそな野球選手の暴投みたいに逸れた火球は、その力に引き寄せられるようにして無事に吸い込まれていった。
 ――テレテレテレテレ……
 そして、無事にカウントが始まった。
 ――テレテレテレテレ……テン!
 ボードに表示された点数は、55点だった。

「ああ、惜しい! もう少しで合格ラインなのに!!」
「いえいえ、この次ならきっと60点超えますよ!」

 エリナ様の優しい励ましに、私はほっと息をつきました。
 そして私の番が終わり――。

「次! フェラン・クレルモン君。どうぞ」
(げっ! ついに出たわね!!)

 二人目の攻略対象、レオナール様の弟――フェラン・クレルモン第三王子。

「……ういっす」

 明らかにやる気なさそうな返事。銀髪碧眼の整った顔立ち。
 さすがはレオナール様の弟、と言いたくなる容姿なのに、口元に浮かぶのは軽い笑み。
 真面目で凛々しいレオナール様とは対照的に、フェラン様からはどこか掴みどころのない遊び人の気配が漂っていた。
 やれやれ、と言いたげな態度のまま、フェランは持ち場へ向かう。

「ハァ……面倒くせぇなー。チャチャっと済ませますか。――はい、火天ファイアボール
 ――ボゥ!

 ――テレテレテレテレ……テン!
 ボードに表示された点数は、65点だった。

「……まぁ、こんなもんか」

 フェランは気怠げに頭をかきながら、さっさと持ち場から離れていった。

(……あんな明らかに手を抜いていたというのに、私より10点も高いなんて悔しい。じゃなくて……正念場はここからよ!)
「……どうして?」

 ボソリと呟く、エリナ様。
 その視線は、去っていくフェランの背中を何かを思うように見つめていた。

(――来やがった! フェランルートのフラグが!!)

 思わず心の中で頭を抱えた。
 そう、この後が正史ゲームにおける分岐イベントなのです。
 正史ゲームでは、授業終了後にエリナ様の選択肢が出る。

【フェランに話しかける】
 or
【そっとしておく】

 この二択で、選んだ瞬間にルートが変わっていく重要イベント。
 もちろん、【フェランに話しかける】を選べばエリナ様×フェランルートへと大きく舵が切られる。
 そして話しかけた理由も――、

「どうして本気を出さなかったの? 才能あるのに」

 という、まさにエリナ様らしい真っ直ぐな問いかけ。
 女の子に話しかけられたフェランは先ほどまでのやる気なさそうな態度とは打って変わって、即テンションを上げてナンパする。
 だがエリナ様は動じない。ナンパをいなし、彼を一人の人間として真正面から見つめる。
 そんな彼女を見て、フェランは――

「……おもしれー女」

 と、呟いてその場を去るのです。
 その日を境に彼は、事あるごとにエリナ様の前に現れ、フラついた態度で誘惑してくるようになる。
 飽き性の遊び人ゆえの気まぐれなのか――それとも、彼の中でエリナ様が本当に特別なのか。
 その掴みどころのなさが、いかにもフェランらしいルートだった。

(だが、そうはさせない! そのためのプランB発動よ!!)

 そしてチャイム音が鳴り、授業終了の合図が訪れる。
 生徒の人混みに紛れて、フェランが立ち去る。

「……あっ」

 思わず追いかけようと一歩踏み出すエリナ様。
 その瞬間、私は扇をスッと広げ、彼女の前に差し出すようにして行く手を止めた。

「……セレスティン様?」
「……あなたのお気持ちはよく分かりましてよ。けれど、ここは彼の義姉ねぇ――この私に任せてちょうだい」

 そうウィンクをひとつ添えて伝える。
 エリナ様は了承するかのようにコクンと頷いてくれました。
 そうして、エリナ様の代わりに私が、フェランの後を追う。

「お待ちなさい! フェラン!!」
「……その声は、義姉ねぇさんか……珍しいじゃん。この俺に話しかけるなんて……」

 振り向いたフェランは、私の顔を見て露骨にだるそうにする。
 女の子と接するときは、どんな相手でもテンション上がるフェランでも、流石に、兄の婚約者である私セレスティンにはナンパスイッチは入らないようなのだ。

「……どうしたの? なんか兄さんの件で伝えたいことでもあんの?」
「どうしたのじゃないわよ! 先ほどの魔法は何? あなたの実力はあんなもんじゃないでしょう! 
 どうしてもっと本気出さないのよ!!」

 私がビシッと強い口調で尋ねると、「ハァ……」と露骨に溜息をついたあと、答える。

「必要がないからだよ」

 私の目をそらしながら、フェランは自嘲するかのように軽く笑う。

「この演習では、合格点さえ出せば、そこからいくら高得点を出そうと成績の評価はまったく同じ……なら、必要最低限の力で合格点を出し、他の授業に体力や魔力を温存しておく。この方が効率的だろ?」
「……うっ」

 思わぬ言い分に、私は一瞬黙る。
 たしかに言っていることはもっとものように聞こえる。けれど、なぜだがわからないけど、フェランの言葉の裏には別の感情が隠されているように見えた。
 婚約者として、八歳の頃からレオナール様と過ごした。
 その中で、フェランと会う機会は何度もあった。
 フェランは本当に器用で才能に恵まれ、何でもそつなくこなす男子だ。
 だから、レオナール様と違い、本気出すのを馬鹿馬鹿しいと思っているところもあるかもしれない。

「そうやって……本気を出さずに何でも器用にこなす俺、カッケーって思っているんでしょうけど……」

 だけど……それでも、フェランにはこれだけは言いたい。

「たとえ不器用でも、どんなことにもひたむきに頑張る人の方が、ずっとかっこいいわよ!」

 つい叫んでしまった。
 その大声で周りの生徒たちが私を見つめる。
 フェランは、目が点となり、しばらく私を見つめて黙っていた。

「……あっ」

 私は皆に注目されて恥ずかしくなってきた。

「……ふむふむ。ひたむきに頑張ること、それは素晴らしいことですな!」

 すると、生徒の人混みの中からポルナレフ先生がひょいっと現れた。

「ポルナレフ先生?」
「だが、人に説教する前に、自分がしっかりとしないとな……セレスティンよ、60点下回ったら補習を受けることを忘れていないだろうな?」
「あっ……あっ」

 私は補習を受けることを忘れていた。

「待って私のプランBが……フェラン待って!」

 フェランと話し続けたかったのに、ポルナレフ先生に強引に連れられ、スパルタな補習を受けることになったのです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

破棄ですか?私は構いませんよ?

satomi
恋愛
なんだかよくわからない理由で王太子に婚約破棄をされたミシェル=オーグ公爵令嬢。王太子のヴレイヴ=クロム様はこの婚約破棄を国王・王妃には言ってないらしく、サプライズで敢行するらしい。サプライズ過ぎです。 その後のミシェルは…というかオーグ家は…

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。 ――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。 「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」 破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。 重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!? 騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。 これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、 推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。

追放された悪役令嬢は辺境にて隠し子を養育する

3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)
恋愛
 婚約者である王太子からの突然の断罪!  それは自分の婚約者を奪おうとする義妹に嫉妬してイジメをしていたエステルを糾弾するものだった。  しかしこれは義妹に仕組まれた罠であったのだ。  味方のいないエステルは理不尽にも王城の敷地の端にある粗末な離れへと幽閉される。 「あぁ……。私は一生涯ここから出ることは叶わず、この場所で独り朽ち果ててしまうのね」  エステルは絶望の中で高い塀からのぞく狭い空を見上げた。  そこでの生活も数ヵ月が経って落ち着いてきた頃に突然の来訪者が。 「お姉様。ここから出してさし上げましょうか? そのかわり……」  義妹はエステルに悪魔の様な契約を押し付けようとしてくるのであった。

指さし婚約者はいつの間にか、皇子に溺愛されていました。

湯川仁美
恋愛
目立たず、目立たなすぎず。 容姿端麗、国事も完璧にこなす皇子様に女性が群がるのならば志麻子も前に習えっというように従う。 郷に入っては郷に従え。 出る杭は打たれる。 そんな彼女は周囲の女の子と同化して皇子にきゃーきゃー言っていた時。 「てめぇでいい」 取り巻きがめんどくさい皇子は志麻子を見ずに指さし婚約者に指名。 まぁ、使えるものは皇子でも使うかと志麻子は領地繁栄に婚約者という立場を利用することを決めるといつのまにか皇子が溺愛していた。 けれども、婚約者は数週間から数か月で解任さた数は数十人。 鈍感な彼女が溺愛されていることに気が付くまでの物語。

裏の顔ありな推しとの婚約って!?

花車莉咲
恋愛
鉱業が盛んなペレス王国、ここはその国で貴族令嬢令息が通う学園であるジュエルート学園。 その学園に通うシエンナ・カーネリアラ伯爵令嬢は前世の記憶を持っている。 この世界は乙女ゲーム【恋の宝石箱~キラキラブラブ学園生活~】の世界であり自分はその世界のモブになっていると気付くが特に何もする気はなかった。 自分はゲームで名前も出てこないモブだし推しはいるが積極的に関わりたいとは思わない。 私の前世の推し、ルイス・パライバトラ侯爵令息は王国騎士団団長を父に持つ騎士候補生かつ第二王子の側近である。 彼は、脳筋だった。 頭で考える前に体が動くタイプで正義感が強くどんな物事にも真っ直ぐな性格。 というのは表向きの話。 実は彼は‥‥。 「グレース・エメラディア!!貴女との婚約を今ここで破棄させてもらう!」 この国の第二王子、ローガン・ペレス・ダイヤモルト様がそう叫んだ。 乙女ゲームの最終局面、断罪の時間。 しかし‥‥。 「これ以上は見過ごせません、ローガン殿下」 何故かゲームと違う展開に。 そして。 「シエンナ嬢、俺と婚約しませんか?」 乙女ゲームのストーリーに何も関与してないはずなのにどんどんストーリーから離れていく現実、特に何も目立った事はしてないはずなのに推しに婚約を申し込まれる。 (そこは断罪されなかった悪役令嬢とくっつく所では?何故、私?) ※前作【悪役令息(冤罪)が婿に来た】にて名前が出てきたペレス王国で何が起きていたのかを書いたスピンオフ作品です。 ※不定期更新です。

処理中です...