『隣の部屋の彼が、私の苦手な人でした』

のらいちご

文字の大きさ
1 / 2

#1 最悪の居候、始まりました。

しおりを挟む
 引っ越し当日。

 知らない土地。

 知らない家。

 知らない人。



 あーもう、終わった。


 うちの高校ライフ、ここで終了ーーー!!!


「美月、今日から新しいお家だよ~♪」


 母さんのテンションだけは、意味わかんないくらい高い。

 その笑顔が、逆に怖いんですけど!?

「私の親友の家だから安心だよ!息子くんもいい子らしいし!」


 ——って、誰情報? てか、"らしい"って何よ。

 私の不安をよそに、玄関のドアは開かれる。

「いらっしゃい~!」

 元気に迎えてくれたのは、母さんの親友・麻里さん。

 すごく明るくて優しそうな人で、ちょっと安心。

「美月ちゃん、大きくなったわねぇ~!可愛い~!」


 ぎゅっと抱きしめられて、ちょい照れ。
 ……こういうの、嫌いじゃないかも。

「じゃ、うちの息子呼ぶね~。蒼ー!降りてきてー!」


 あ、息子。

 例の、「いい子らしい」っていうやつか。


(爽やか笑顔系?それとも陰キャ系?)

 内心そんなこと考えてたら——


 トン……トン……


 階段から、ゆっくり足音。


 現れたのは、黒髪、イヤホン、無表情。


 背、高っ。

 目、冷たっ。


 無理、絶対ムリ。



「……よろしく」


 ボソッと一言だけ。


 え、なに? 今の、自己紹介のつもり??



「蒼、ちゃんと挨拶しなさい!」

 麻里さんの怒りもどこ吹く風。

 蒼さん(?)は、面倒くさそうに口を開いた。


「高校3年、神崎蒼。……以上」


 うわ、出た。超絶感じ悪いやつ。


 なのに、なんか声、低くて良すぎるのムカつく。


「同じ高校だから、明日から一緒に行けるわね~!」


 って麻里さんの一言で、さらに絶望が倍増。



 えっっ!?



 この人、同じ学校の先輩!?!?



 ーーーそして、さらなる地獄が待ってた。



 案内された部屋の、すぐ隣。

 ドアのプレートには「神崎蒼」って名前。


「大丈夫よね?隣同士でも♪」


 って、笑顔で言われたけど、

 いや大丈夫じゃない!!



 よりによって隣って何!?壁一枚!?プライバシー死んだ!?!?


「は、はい……」


 そう言うしかない私はチキン。



 ---



 夜。


 段ボールに囲まれて、ぐったりベッドに沈む。

 あーーーもう、疲れた。
 気ぃ張ってたから、余計しんどい。



 その時だった。



 ――ジャラァン……

 ふいに、壁越しからギターの音がした。



 ……え?



 耳を澄ませる。
 静かで、少し切ない音。どこか懐かしいような、柔らかい旋律。


「……っ、やべ」


 ぼそっと聞こえた低い声。


 うそ。壁、薄すぎでしょ!?
 声、漏れてるんだけど!!?


 ヤバ。これ、もしうちの声も聞こえてたら——

 あああああ無理無理無理!!!!



 こんな生活、耐えられる気がしない!!

 お願い、誰か代わってーーーー!!!!



(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど

くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。 貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

処理中です...