わたくし、聖女様ではございませんっ!〜最低悪役令嬢ですので、勘違いはやめてください〜

Rimia

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本人無自覚の出会い編〈7歳~12歳〉

溺愛系義兄は夢をみる

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 夢を、見た。







まだ彼女がいた、幸せ頃の夢。






両親が流行り病で死んだあと、俺は5歳のときに本家であるカーライン侯爵家に養子として引き取られた
なんでも後継ぎの男子がいない為らしい
きれいな服に大きな部屋も与えてくれて、両親が生きていた時よりもいい生活を送れた
両親が死んだことには大して悲しみを感じなかった
三男だったため、いらない子として扱われて関わりが少なかったし、まだ俺が幼かったからかもしれない

与えられた部屋には、何故か花が飾ってあった
先程までは確かに無かったはず
使用人の誰かが飾ったにしても、茎の切り口が不揃いでまるで幼い子供がやったみたいだ
花はそれから毎日、俺がいないうちに新しいものが飾られていた

ある日俺は後継ぎの仕事を習うため、書斎でいつものように書類をさばいていた
すると外٠٠٠庭から無邪気にはしゃぐ声が聞こえてきた
一旦手を止めて窓から外の様子を伺ってみると、一人の女の子がメイドと遊んでいる



なんて可愛いんだろう٠٠٠



彼女の大きな緑の目は宝石のようで、鮮やかな美しい世界を写している
そして日に照らされた銀の髪が輝いていた



眩しかった



ただ単に日が眩しかったのか、彼女自身が眩しかったのか
どちらなのかは俺にも分からない
その時はただただ、どうしても彼女から目を離せなかった

メイドも庭師もそして気難しい料理長も
彼女の周りでは全ての人が笑顔になっていた
そして彼女はいつもその中心で、楽しそうに笑っていた

ふと彼女の手元を見ると、茎の長さが不揃いに切られた花があった
そうか、彼女が٠٠٠
自身の優しさが周りを笑顔にしていることに、心を救っていることに彼女は気がついているのだろうか

今日も彼女はいつも通り、屋敷の庭で遊んでいる
迷路になっているバラ園で遊ぶのが彼女のお気に入り
これらは今まで見ていて初めて知ったことだ
名前は?好きなものは?家族は?この屋敷のメイドの子?
聞きたいことは山ほどある
だが俺は今日も窓からそれを眺めるだけで、話したことなどない
毎日眺めているのに名前さえ、どこの誰かさえ知らないのだ

だが最近、彼女の笑顔を見るたび思う



その笑顔を自分だけに向けて欲しいと



この気持ちは一体何なんだろう
日が過ぎるたび、胸を締め付けるものが強くなる
苦しくて苦しくて仕方がない
彼女の笑顔を見るとその締め付けが軽くなる一方で、更にキツくなっているような気がする





ある時、彼女は誰なのか父上に聞いてみた
使用人の子なのかと思っていた予想は見事に裏切られた
彼女こそが俺の妹となった、カーライン侯爵令嬢だったのだ
だが、彼女とその両親が共にいるのを見たことがない
それを指摘すると、彼は苦々しい顔でことの詳細を語った٠٠٠

衝撃だった
彼女も俺と同じように親に疎まれているのかと思った自分が恥ずかしい
醜い貴族の事情
これらのせいで彼らは自らの娘と顔を会わせることすらできず、冷たく接することを余儀なくされたのだ

全て、彼女を守るために

なお、この事情は彼女に知らされていない
きっと酷い親だと思われているだろうね、と父上は悲しそうに笑っていた
彼女は愛されている
それはそれは多くの人に


俺も彼女を守りたい―――――

そう強く思った

だが今の俺は貴族のマナーも後継ぎの役目も、そして精神的にも未熟
だから俺は決めた
こんな中途半端な自分じゃなく、完璧になった上で彼女に会おうと
彼女をあらゆる悪意から守れるように



だがある日に事件が起きた


彼女が―――――――――――――――








誘拐されたのだ




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