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側妃3
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国王夫妻、コレドールとララス王太子夫妻の前に立っても同じであった。エルゲリータ王国も理解していたために、なるべくブルーベルが話さなくてもよいように、宰相を同行させていた。
「しっかり務めさせます、よろしくお願いいたします」
「大丈夫なのか?」
ブルーベルは側妃であっても、嫁いで来たような顔をしておらず、床を見つめたまま動かなかった。
「はい、弁えてはおりますので、そちらの都合の良い様に、ご指示いただければと思います」
さすがにコレドールは国王夫妻にもブルーベルの状態を話していたが、側妃になり手がないことも問題となっていたために、ブルーベルは有難い存在であった。
見た目も整っており、家柄も問題ない。
これまで王子殿下の婚約者を務め、不器用だと聞いているが、相応しくはないわけではなかった。スルトとは相性が良くなかったために、婚約者が代わった。
婚約者と結婚すると思っており、ショックを受けたことも理解はできる。
心を閉ざしてしまったのかもしれないが、大人しく弁えているという点では、悪いことではない。
身体は健康だというのだから、子どもを産むことを優先すれば、あまり表に出す必要もない。それよりも既に27歳になっていたコレドールには、早く子どもが必要であった。
ララスも側妃のことは理解しており、ブルーベルの話を聞いたが、コレドールを奪われないだろう相手にホッとしていた。
自分は子どもを産めないから、そのことだけを埋める存在だと思えば、コレドールは不満そうだったが、良い相手かもしれないとまで思っていた。
ゆえにブルーベルの状態を知っても、側妃として受け入れられたのである。
謁見の場ではほとんど宰相が話し、ブルーベルは宰相に促されて、一言だけ話したのである。
「よろしくお願いいたします」
その後、ブルーベルは部屋に案内されて、そこへコレドールとララスが挨拶にやって来た。目の前に座られても、視線は合わない。
「ララスでございます」
「…」
エルゲリータ王国から、侍女が付き添っており、ブルーベルの耳元で囁くと、ハッとしたような顔をして、頭を下げた。
ララスはコレドールを見たが、眉間に皺を寄せており、おそらく不満なのはコレドールだけだろうと思いながらも、このような女性に心を移すことはないとララスは改めて安堵していた。
「お疲れでしょうから、今日は休んでいただきましょう」
「そうだな」
ララスはコレドールの様子を見たかっただけで、ブルーベルと親しくする気はなく、気遣っているように見せるだけでいい。
ショックでおかしくなっているのなら、ブルーベルが何か言うことはないだろう。もし何か訴えたとしても、この様子から信用する者もいないだろう。
そう思うと、自分で自分の立場を悪くしているのにと思いながらも、そんなことも分かっていないのか。考えることもできなくなっているのかもしれない。
それでも、ブルーベルに子どもを産んでもらわなくてはならない。
子どもは王家のためにも、コレドールのためにも、ララスのためにも必要である。
コレドールはブルーベルと子作りをすることになったが、どうしてこんな女にという思いであった。話をしなくてはいけないと、向き合うことになった。
「子ども産むことを優先してくれ」
「…」
「おい、聞いているのか」
「…」
「ふざけているのか!殿下が話しているだろう!」
護衛が声を荒げても、ブルーベルは驚く様子もない。
「はあ……」
侍女がブルーベルの肩を叩くと、ピクっと動いた。
「はい」
「何も期待しない、何か要望はあるか」
「私を人ではなくしていただけますか?」
「……は?」
コレドールは初めてしっかりとブルーベルと視線が合い、初めて見る意志を持った目であった。
「しっかり務めさせます、よろしくお願いいたします」
「大丈夫なのか?」
ブルーベルは側妃であっても、嫁いで来たような顔をしておらず、床を見つめたまま動かなかった。
「はい、弁えてはおりますので、そちらの都合の良い様に、ご指示いただければと思います」
さすがにコレドールは国王夫妻にもブルーベルの状態を話していたが、側妃になり手がないことも問題となっていたために、ブルーベルは有難い存在であった。
見た目も整っており、家柄も問題ない。
これまで王子殿下の婚約者を務め、不器用だと聞いているが、相応しくはないわけではなかった。スルトとは相性が良くなかったために、婚約者が代わった。
婚約者と結婚すると思っており、ショックを受けたことも理解はできる。
心を閉ざしてしまったのかもしれないが、大人しく弁えているという点では、悪いことではない。
身体は健康だというのだから、子どもを産むことを優先すれば、あまり表に出す必要もない。それよりも既に27歳になっていたコレドールには、早く子どもが必要であった。
ララスも側妃のことは理解しており、ブルーベルの話を聞いたが、コレドールを奪われないだろう相手にホッとしていた。
自分は子どもを産めないから、そのことだけを埋める存在だと思えば、コレドールは不満そうだったが、良い相手かもしれないとまで思っていた。
ゆえにブルーベルの状態を知っても、側妃として受け入れられたのである。
謁見の場ではほとんど宰相が話し、ブルーベルは宰相に促されて、一言だけ話したのである。
「よろしくお願いいたします」
その後、ブルーベルは部屋に案内されて、そこへコレドールとララスが挨拶にやって来た。目の前に座られても、視線は合わない。
「ララスでございます」
「…」
エルゲリータ王国から、侍女が付き添っており、ブルーベルの耳元で囁くと、ハッとしたような顔をして、頭を下げた。
ララスはコレドールを見たが、眉間に皺を寄せており、おそらく不満なのはコレドールだけだろうと思いながらも、このような女性に心を移すことはないとララスは改めて安堵していた。
「お疲れでしょうから、今日は休んでいただきましょう」
「そうだな」
ララスはコレドールの様子を見たかっただけで、ブルーベルと親しくする気はなく、気遣っているように見せるだけでいい。
ショックでおかしくなっているのなら、ブルーベルが何か言うことはないだろう。もし何か訴えたとしても、この様子から信用する者もいないだろう。
そう思うと、自分で自分の立場を悪くしているのにと思いながらも、そんなことも分かっていないのか。考えることもできなくなっているのかもしれない。
それでも、ブルーベルに子どもを産んでもらわなくてはならない。
子どもは王家のためにも、コレドールのためにも、ララスのためにも必要である。
コレドールはブルーベルと子作りをすることになったが、どうしてこんな女にという思いであった。話をしなくてはいけないと、向き合うことになった。
「子ども産むことを優先してくれ」
「…」
「おい、聞いているのか」
「…」
「ふざけているのか!殿下が話しているだろう!」
護衛が声を荒げても、ブルーベルは驚く様子もない。
「はあ……」
侍女がブルーベルの肩を叩くと、ピクっと動いた。
「はい」
「何も期待しない、何か要望はあるか」
「私を人ではなくしていただけますか?」
「……は?」
コレドールは初めてしっかりとブルーベルと視線が合い、初めて見る意志を持った目であった。
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