さよならの代わりは

野村にれ

文字の大きさ
10 / 110

婚約者候補2

しおりを挟む
 他にもコレドールの婚約者候補者はいたが、ララスに憧れており、確かに優秀ではあったが、優しくしている、考えてくれているように見えて、自分の利益しか考えていないようにしかウィンラーには見えなかった。

 コレドールもララスを選ぶのだろうと思い、シュリリーからの縁談もあったことから、候補者は降りて、今の夫と婚約をした。

 後、これは関係ないというべきだが、二人ともいやらしさの滲み出ているララスの顔が嫌いであった。

「王子殿下は整った顔をされておりました」
「それは良かったわ」
「ブルーベル様がとても美しい方なのではないかと思うのです」
「私も顔は存じ上げないわ」

 王家ならともかく、侯爵令嬢の顔は知らなかった。

「王子殿下の婚約者だったのですから、ご存知かと思っておりました」
「残念ながら」
「そうですか、王太子殿下にも似ておりませんでしたし、隔世遺伝でも知る限りないと思います。当然ですが、王太子妃殿下とは似ても似つかない顔でした」
「可愛かったのね」
「はい、とても可愛かったです」

 ララスの子どもだったら、可愛くても可愛いとは思えなかったかもしれない。

「それを自分って素晴らしいでしょうって顔をしているのでしょうね」
「そうなのです。お茶なんて言われましたけど、お忙しいでしょうからって、先延ばしにしました」
「懸命ね」
「ええ、自分の子どものようにされたら、さらに嫌になります」
「子どもを産めなかったことは、可哀想だと思うけど……」

 ウィンラーもシュリリーも子どもがおり、養子を取ることもできるが、可能な限り貴族の嫡男に嫁いだ義務であることも理解していた。

「問題はなかったとされているのがね……」
「証拠はありませんからね」

 ウィンラーは婚約者候補を受け入れた時点で、子どもが産めるか調べられることになった。

 ウィンラーは王宮で受けたが、ララスは診断書という形で提出していた。

 それは不正ができるのではないかと伝えたが、丁度、他にも具合が悪くて受けられずに診断書を出した令嬢もいたことで、受け入れられることになった。

 そのことがずっと気になっていたが、ララスが妊娠しないことで、その疑惑は燻っていた。

 さらにブルーベルがすぐに妊娠したことで、コレドールには問題がなかったことが明らかになり、さらに疑惑は深まっていた。

 その話はシュリリーにも話していた。

 穿った見方なのは分かっているが、ララスは婚約者候補の段階で、子どもが産めないことを分かっていたのではないか。そういった場合は、残酷ではあるが、候補を降りることが慣例である。

 余程、思い合っていた関係ならば、それでもということもあるが、それならコレドールも王太子も降りるべきだろう。

「ある意味、子どもを産めないことで、離縁されることのない場所を死守したかったのかもしれないわね」
「えっ?」
「王家なら側妃を娶れる、貴族の嫡男だったら第二夫人なんて娶れないでしょう?それこそ、養子を取らなければ、離縁されて終わりでしょう?」
「ええ……だから王家だったのですか」
「優秀な私がって、たかが子どもでって思っていたのではない?まあ、産みたくないのではなく、産めないのだったら、そこは辛いとは思うけど」

 ウィンラーはそこまでは考えておらず、そこまでしたたかだったとしたらと、ゾッとした。

「でも離縁もあり得ますよね」
「優秀さを振りかざしているのでしょう?失敗していないから、側妃を娶ろうってことになったのでしょう?」
「でも、疑惑が事実だったら、側妃をいずれ娶られることは分かっていたはずですよね?」
「頂点に立ちたかったのではない?」
「ああ……そうでしたね」

 ララスは王太子妃になりたいと、コレドールに媚びを売るようなことはしなかったが、シュリリーが訪問した時のようなことをして、有能さを示していた。

 媚びなど売っていませんという顔が、ウィンラーを苛立たせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

愛なんか消えてしまえと願う私は悪くないと思う

ましろ
恋愛
「赤ちゃんができたの」 母の言葉に目眩がした。 我が家の両親は恋愛結婚。身分差から駆け落ち同然で一緒になった二人は未だにその愛は消えず、燃え上がり続けているのだからある意味凄いわ。 でもね? どうしてそんなにも子どもを作ってしまうの⁉ 私を入れて子どもは七人。お父さんの給料ではお手伝いさんなんか雇えるわけもなく、おっとりしたお嬢様気質の抜けないお母さんだけで家事育児などできるはずもなく。 そうなると働き手は長女の私だ。 ずっと小さな頃から弟妹のお世話と家事に明け暮れ、それなのにまだ産むと言うの? 「……ねえ、お母さんにとって子どもって何?」 「うふふ。それはね、愛の結晶よ」 愛。愛って何? 私はあなたの愛のために働き詰めなのですけど? 自分達の手に余るなら、そんなモノなど捨ててしまえっ! ❦R-15は保険です。 連載中のものが止まったままのくせに!とは言わないで(泣) 現在、作業中のものがなかなか終わらなくて息抜きのための不定期連載です。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

【完結】白い結婚はあなたへの導き

白雨 音
恋愛
妹ルイーズに縁談が来たが、それは妹の望みでは無かった。 彼女は姉アリスの婚約者、フィリップと想い合っていると告白する。 何も知らずにいたアリスは酷くショックを受ける。 先方が承諾した事で、アリスの気持ちは置き去りに、婚約者を入れ換えられる事になってしまった。 悲しみに沈むアリスに、夫となる伯爵は告げた、「これは白い結婚だ」と。 運命は回り始めた、アリスが辿り着く先とは… ◇異世界:短編16話《完結しました》

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?

四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

愛される日は来ないので

豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。 ──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。

処理中です...