さよならの代わりは

野村にれ

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重なる1

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 フェイリアも、航路を使うために、どんな条件でものむだろうとは思っていたために、驚くことはなかった。

 それでも、ブルーベルに、コレドールに、オペリーク王国にどうにかさせようと思っていたことに、不愉快で仕方なかった。

「税を上げるか、費用を上げる気だっただろうな」
「王家が負担するべきでしょう」
「ああ、馬鹿ではないのだろうが、下衆の考えが浮かぶのだろうな。ずるい、楽な考えがな。それでも、他国とはいえ、民が困るのは本望ではない」
「はい……」

 リュメリー王国は住んでみれば分かるが、活気あふれる優しい国である。

 だが、表向きは海の管理人というべき、存在である。大公家が航路の管理、貴族も様々な研究開発をしており、王家は纏める存在である。

 軍事力も持ってはいるが、どちらかと言うと、他国では海を管理できないために、一目置かれた存在である。

「断絶することになれば、個人的に契約をするという形にとも考えたのだがな」
「それを利用すればいいと思うのではありませんか」
「ああ、だからこそ口にはしなかった」

 航路について、他国の個人と契約ができないわけではない。だが、王家は脅してでも自分たちも利用するだろうと思ったために、黙っていた。

「息子には手紙を書くように伝えた、向こうは手紙ならと思っただろう」
「手紙を?」
「反省の証拠を取って、反省をしたのではないのかと、次はないようにしておかないとな」
「そうですね。条件をのんだことで、これで終わりだと思い、不満げな謝罪だけで謝ったとされるのも不愉快ですからね」
「ああ、その通りだ」

 許すためではない、言わされただけの謝罪ではなく、ジーラスが反省をしていた証拠を今後のためにも取っておくべきだろう。

 どのくらいの間、今回の上げられた料金になるかは分からないが、お金がないわけではないだろう。

 愚かな息子と、育てた親の高い授業料を払い続けると思えばいい。

 いずれ元に戻して欲しいと、交渉を持ち掛けて来るかもしれないが、当分先の話になることは間違いない。

「ブルーベル妃のことも言っていたぞ、フェイリアと関わりがあるのだからと」
「まあ……どの口が言うのでしょうね」

 当然だが、コレドールからブルーベルにエルゲリータ王国の者が、訪ねて来たのは初めてだったと聞いている。

「もしかしたら、今回のことでエルゲリータ王国にブルーベル妃を里帰りさせるように言い、また何かさせる気かもしれない。手を打っておくといい。母国に戻っても、良いことなどないだろう」
「承知いたしました、そのようなことはさせません」

 すぐにコレドールにエルゲリータ王国から、そのようなことがあっても戻さないようにと手紙を書いておこうと頭を下げた。

「ブルーベル妃がこのままなら、こちらで療養するのもいいのではないだろうか」
「ありがとうございます、私もそのように考えることもあります」

 リュメリー王国はオペリーク王国よりも温かく、療養にも適した国とされている。

 両親は親身に考えていないが、コレドールにはフェイリアが気に掛けるように話している。

 ブルーベルは認識していないだろうが、フェイリアもブルーベルには何度か会っている。だが、当然だが、会話は成り立たず、自己紹介をしても、頭を下げられるだけであった。

 医師にも見せ、出産後は長めに休ませたりもしたそうだが、公務ができるようになったくらいで、他の兆しは見られないという。

 エルゲリータ王国で療養は、ブルーベルをあのようにしたきっかけがあるだろうために、戻すことはできない。ならば、こちらにと考えていたことであった。

「どうしても他人事とは思えなくてな……」

 シュエルダも心を壊したブルーベルの状態をかねてから聞いており、自身の亡き母親と重なっていた。
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