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やらかし
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「顔がいいのも問題よね」
「羨ましいことですけど、殿下の場合はあるかもしれませんね」
モルゾフ王国でもスチュワートに憧れる令嬢は多く、見初められたいと願っている。だが、スチュワートは一線を引いているために、皆に平等であり、特別な相手はまだいないと言われている。
それでも、お近づきになろうと、争いが起きているという。
「それで、どなたがやらかしたのですか?」
「ララスよ」
「えっ、申し訳ございません」
まさかの相手に、ウィンラーは目を大きくして、驚いた。
「あなたが謝ることではないわ。まあ、他にも娘を連れて媚び売りは多かったけど」
シュリリーは晩餐会には参加していなかったが、裏方として王宮に滞在していた。何か起きた時に、元王女であれば力もあるために、動きやすい。
「ララス妃ということは、レイピア王女ですか?」
「そう思うでしょう?」
「他におりますか?」
「それが姪を連れて来ていたのよ」
「っえ」
ウィンラーは、思わず顔を顰めるほどの衝撃であった。
「嘘でしょって思うでしょう?」
「はい、姪を連れて来ていたのですか?」
「自分の侍女として連れて来ていたそうなの」
「うわ……」
「私も同じように思ったわよ」
晩餐会の様子は見ていたが、そのような令嬢は把握していなかった。それもそのはず、晩餐会に参加する資格もない令嬢であった。
「晩餐会の後で、スチュワートの部屋を訪ねて来たの」
「え、そんな真似をしたのですか」
「そうなの。正直、スチュワートを狙う者もいるかもしれないと、私も王宮にいたのだけど、正解だったわよ。警備も相手が王族だと、お伺いを立てなくちゃなりませんからね」
「そうですよね……」
警備をするのは、王族よりも下の身分になるために、下手に手出しができない難点がある。
「そんなことがなければいいのだけど、スチュワートは国内でも起きていますからね。前にも他国の王女が結婚してとやって来たりもありましたし」
「まあ……」
スチュワートであれば、納得ではあるが、王族として恥ずかしいとは思わないのかと言うのが、一番の疑問である。
「それで、私が晩餐会の話を聞くのに、スチュワートの部屋で一緒にいたの。私なら叔母ですから、お兄様たちは忙しいですしね」
「そうですね、ではそこへ?」
「そうなの。だからスチュワートはいないことにして、私が対応しようと思ったの。そうでないと、昨夜はなんて言い出し兼ねないでしょう?」
「そうですわね、ララスなら言いそうです」
失礼に当たらないギリギリの意味深な発言をして、縁を結ぼうと企んだのだろう。
「妃がなくなっているわよ」
「いえ、もうさすがに、気味が悪いですよ……」
「それは私も同意よ」
「何と言って来たのです?」
「メイドがいたから、訪ねて来た理由を聞かせたの。私だと言わない可能性があるでしょう?そうしたら、優秀な姪と、お見知りおきになってもらいたいと思ってと」
「うわ……」
シュリリーとは気の置けない間柄とはいえ、さすがの二度目のうわ……が出てしまった。
「優秀かどうかは見ても分からないけど、ララスの姪って感じでね」
「ああ……地味ってことですね」
「一応は化粧をしていたけど、無理している感じで……暗い感じもしたわ」
「いくつくらいですか?」
「19歳だそうよ」
「婚約者もいないということでしょうね、ちょっと調べてもらいます」
ララスの生家はパシム侯爵家で、そこのご令嬢だろう。
「好きにしたらいいわ、既に叱られているとは思うけどね」
「苦情が入っているのですね」
「当然よ、婚約関係でもない王太子殿下の部屋に夜に訪ねるなんて、いくら王太子妃がいても、王族のすることではないわ」
王族の住まいに訪ねて来ることなど、あり得ない行動である。
身元がハッキリしていなかったら、斬り捨てられても文句は言えない。
「羨ましいことですけど、殿下の場合はあるかもしれませんね」
モルゾフ王国でもスチュワートに憧れる令嬢は多く、見初められたいと願っている。だが、スチュワートは一線を引いているために、皆に平等であり、特別な相手はまだいないと言われている。
それでも、お近づきになろうと、争いが起きているという。
「それで、どなたがやらかしたのですか?」
「ララスよ」
「えっ、申し訳ございません」
まさかの相手に、ウィンラーは目を大きくして、驚いた。
「あなたが謝ることではないわ。まあ、他にも娘を連れて媚び売りは多かったけど」
シュリリーは晩餐会には参加していなかったが、裏方として王宮に滞在していた。何か起きた時に、元王女であれば力もあるために、動きやすい。
「ララス妃ということは、レイピア王女ですか?」
「そう思うでしょう?」
「他におりますか?」
「それが姪を連れて来ていたのよ」
「っえ」
ウィンラーは、思わず顔を顰めるほどの衝撃であった。
「嘘でしょって思うでしょう?」
「はい、姪を連れて来ていたのですか?」
「自分の侍女として連れて来ていたそうなの」
「うわ……」
「私も同じように思ったわよ」
晩餐会の様子は見ていたが、そのような令嬢は把握していなかった。それもそのはず、晩餐会に参加する資格もない令嬢であった。
「晩餐会の後で、スチュワートの部屋を訪ねて来たの」
「え、そんな真似をしたのですか」
「そうなの。正直、スチュワートを狙う者もいるかもしれないと、私も王宮にいたのだけど、正解だったわよ。警備も相手が王族だと、お伺いを立てなくちゃなりませんからね」
「そうですよね……」
警備をするのは、王族よりも下の身分になるために、下手に手出しができない難点がある。
「そんなことがなければいいのだけど、スチュワートは国内でも起きていますからね。前にも他国の王女が結婚してとやって来たりもありましたし」
「まあ……」
スチュワートであれば、納得ではあるが、王族として恥ずかしいとは思わないのかと言うのが、一番の疑問である。
「それで、私が晩餐会の話を聞くのに、スチュワートの部屋で一緒にいたの。私なら叔母ですから、お兄様たちは忙しいですしね」
「そうですね、ではそこへ?」
「そうなの。だからスチュワートはいないことにして、私が対応しようと思ったの。そうでないと、昨夜はなんて言い出し兼ねないでしょう?」
「そうですわね、ララスなら言いそうです」
失礼に当たらないギリギリの意味深な発言をして、縁を結ぼうと企んだのだろう。
「妃がなくなっているわよ」
「いえ、もうさすがに、気味が悪いですよ……」
「それは私も同意よ」
「何と言って来たのです?」
「メイドがいたから、訪ねて来た理由を聞かせたの。私だと言わない可能性があるでしょう?そうしたら、優秀な姪と、お見知りおきになってもらいたいと思ってと」
「うわ……」
シュリリーとは気の置けない間柄とはいえ、さすがの二度目のうわ……が出てしまった。
「優秀かどうかは見ても分からないけど、ララスの姪って感じでね」
「ああ……地味ってことですね」
「一応は化粧をしていたけど、無理している感じで……暗い感じもしたわ」
「いくつくらいですか?」
「19歳だそうよ」
「婚約者もいないということでしょうね、ちょっと調べてもらいます」
ララスの生家はパシム侯爵家で、そこのご令嬢だろう。
「好きにしたらいいわ、既に叱られているとは思うけどね」
「苦情が入っているのですね」
「当然よ、婚約関係でもない王太子殿下の部屋に夜に訪ねるなんて、いくら王太子妃がいても、王族のすることではないわ」
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身元がハッキリしていなかったら、斬り捨てられても文句は言えない。
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