さよならの代わりは

野村にれ

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驕り

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「婚約関係でも、16歳では問題ですよ」
「そうね」
「ですが、侯爵家も止めなかったのかしら?」
「知っていたのか、知らなかったのかよね……」

 ララスが伝えた上で連れて行ったのか、黙って連れて行ったのか。事実を知らされるかは分からないが、19歳なのだから、自分の意志だと考えられるだろう。

「コレドール殿下は慌てて謝罪をしていたわ。王子と王女も申し訳ございませんって、頭を下げていたそうよ」
「最悪ですね」
「ララスの身勝手な考えだったのでしょうね」

 兄が昨夜のことをコレドールに問い掛けると、本当に驚いていたようで、謝罪を行い、姪の侯爵家にも苦情を入れさせてもらうと言ったそうである。

 コレドールは受け入れ、他の国も挨拶を待っているために、改めて謝罪をさせていただきますと帰ったそうである。

「話を聞く限り、勝算があるとは思えないのですけど」
「王太子妃の言葉を邪険にはしないと思ったのではないかしら」
「大層な驕りですね……」

 元より王太子妃になった時から偉そうになっていたが、さらに年を重ねたことで、驕っていったのだろう。

 ララスと話をしていなくとも、予想通りである。

「他に被害はなかったのですね」
「ええ、皆、軽く売り込んではいたけどね。特にエルゲリータ王国の王女、王弟の娘だそうだけど、ギラギラしていたそうよ」
「ブルーベル様の国ですね」
「ああ、そうね。レイピア王女殿下は美しかったわ。兄妹がよく似てらしてね」

 ウィンラーも実際に見たことはないが、新聞で見たり、家族からも美しいとは聞いており、兄と妹が似ているのならば、想像できる。

「しかも、スチュワートがよく似てらっしゃる、美しい兄姉ですねと言ったら、母に似たおかげですと言ったそうなの」
「そうおっしゃったのですか」
「そうらしいの。表向きだったのかもしれないけど、悪くは思っていないのかもしれないって感じたの」
「そうですか、うーん、何とも言えませんね」

 ブルーベルは子どもと関わることもないと聞いていたために、リファスとレイピアがどう思っているのかと思っていた。

 さすがに母子に関しては何も知らないが、良好とは言えないのではないだろうかと、勝手に考えていた。

「お二人も関わり方が難しいわよね。でもそう言われて、ララスは口元がヒクヒクしていたそうよ」
「それはそうでしょう、ララスの血など一滴も入っていないのですから。ある意味、ブルーベル様はお顔という点では乗っ取りに成功していますね」
「上手いこと言うわね」
「ありがとうございます、ふふっ」

 生き写しということはないが、同じ目をしたリファスとレイピアは、どうしてもブルーベルの印象が強い。ブルーベルもいれば、さらに強まるが、そこにブルーベルがいることはない。

「お具合はどうなのかしらね」
「相変わらず一切、表に出ないそうです。それでも、王宮内では歩いている姿を見掛けるそうで、お元気とは言えないでしょうけど」
「そうなのね……」

 今でも情報を得ているが、いつまで経っても良くなっているとは聞かないブルーベルの様子を、反ララス派の二人は一方的に気に掛けていた。

「でも、ララスだけ浮いている感じだったわ。見ない間に、随分濃い化粧をしていたわよ」
「え?笑ってしまいそうです……優秀さこそが美だと言っていましたのに、どうしたのかしら」
「本当よね」

 ララスは外見の美しさよりも、中身の美しさこそが美だとよく言っていた。ゆえに化粧も薄化粧で、派手な化粧の令嬢を馬鹿にしていた。

「流石に怒られていることでしょうね」
「自業自得です」

 そのオペリーク王国では、当然ながら帰り道では、戻って話そうと言われていたために、戻ってすぐにコレドールはララスを叱り付けていた。

「そなたは何をしておるのだ!」
「申し訳ございません」
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