さよならの代わりは

野村にれ

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巡る

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「大人げないことではありませんか。モルゾフ王国も損失ですよ?シュリリー様は関係ないでしょう?」

 アスリーナを評価してくれることはジュージとしても嬉しいことだが、王家の総意と言うのであれば違ったが、国王陛下はそのようなことは言ってはくれなかった。

 となると、特に王家としてもアスリーナを擁護する声もないということであった。

「だが、お前がアスリーナの叔母であるように、国王陛下はシュリリー様の兄上だ。妹が嫌な気持ちを持ったララスの姪だと知ったら、関わりたくないと思うだろう。私でも穿った見方をするさ」
「そんな、私のせいだって言うの?」
「お前がそう言ったんじゃないか、シュリリー様とは親しくもないのだろう?」
「それは……」

 王女なのに選ばれたのはララスだったと言われたことはないが、皆がそう思っていると感じており、シュリリーとの関係性など考えたこともなかった。

「せめていい関係を築けていたのなら、それこそアスリーナも可能性があったかもしれないが、お前から聞いたこともないからな」
「でも、会う機会もなくて」
「ウィンラー様もだろう?あの方もモルゾフ王国にいらっしゃるのだから、親しくしていたら、口添えをしてくれたかもしれない」
「っ、でも彼女とは争った仲ですから、いい関係というのは……でも仲が悪いわけではありません」

 ウィンラーとは同じ候補者だったことから、親しいわけではないが、会えば話をする関係はある。

「だったら、彼女に探りを入れるべきだったな」

 ライバル関係であったとしても、だからこその絆ができる場合もある。だが、ララスにはできなかった。ジュージもそのような関係も影響してか、ウィンラーの実家とも交流はない。

「どちらにしろもう可能性はないのだから、アスリーナにも希望を持たすことを言うな。分かったな?」
「でも」
「だったら、ずっとアスリーナに夢を見させるつもりか?スチュワート王太子殿下だって、いずれご結婚なさるだろう。それまで待てというのか?どんどん縁談はなくなっていくんだ」
「はい……」

 19歳が行き遅れとまではいわないが、婚約をしていた者たちは18歳で結婚している方も多いために、早ければ早い方がいい。

 ララスは王太子妃に選ばれたことで、これからは皆が自分を立ててくれると、関係性など考えずに生きていた。

 元より爵位の下の者は変わりなかったが、王太子妃になったことで、見下すような行動を取っており、それがきっかけを潰していたと今、初めて思い至っていた。

 だからこそ、ウィンラーやシュリリーに見透かされて、嫌われていたのである。

 だが、ウィンラーには嫌われていないと思い、シュリリーとウィンラーの関係を知らないララスは、手紙を書くことにした。

 手紙を受け取ることになったウィンラーは、困惑したままシュリリーを訪ねることになった。

「ララスから気味の悪い手紙が届きました……」
「ウィンラーに?」
「はい、おそらくまだ諦めていないのだと思います」
「嘘でしょ……そんなに馬鹿だったの?」
「まず、読んでみてください」
「そうね」

 シュリリーが手紙を受け取り読み始めると、可愛らしい顔がどんどん歪み始めた。

 ララスはまず久し振りだということや、母国は変わらないことなどが書かれていた。

 その後、モルゾフ王国はどのような国なのか。どのような暮らしをしているのか。

 そして、スチュワート王太子殿下はとても人気があると聞いているが、婚約者はどのような方を考えているのか知っているか。姪が優秀だから紹介したいと思っているのだが、とてもお互いに光栄なことだとは思わないか。良かったら話をしてもらえたりできないだろうか。

 ウィンラーは、何も知らないだろうと思っての内容であった。
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