さよならの代わりは

野村にれ

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厳正

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「謝罪と反省、二度と近付かないことになったと聞いておりました。それなのに、一度も手紙のやり取りをしたことのない私に手紙が来たことで、驚いたのです。私を姪のために利用するつもりだったのですか、という問いは否定されておりましたが、そのつもりで呼んだとしか思えない口振りでした」
「間違いなく、そのつもりだったのでしょう……何の反省もしていなかったのね」
「そのようだな」

 諦めていなかったことは分かったが、まさかウィンラーを頼るとは思わなかった。

「お父様、お母様、決断した方がいいと私も思います」
「そうだな」
「そうね」
「ウィンラー様もこのまま母国に帰られて、黙っていられることでもないでしょう。それは同じ嫁いだ身としては、当然だと考えます」

 フェイリアはララスがきちんと反省している可能性も考えてはいたが、そうではなかった場合はウィンラーが困らないようにするために、同席していた。

 立場的にも同じために、説得力もあり、ウィンラーも心の中に感謝した。

「そうだな、夫人にも夫人の立場がある。任せて欲しいと言いたいところだが、二度目になるのだから、こちらの考えだけを押し付けるのも失礼だろう。こちらから、再度、処遇について報告させていただこう」
「それがいいわね」
「承知いたしました。私が間に入るまではできませんが、そのようにお話をさせていただきます」
「ああ、すまないがよろしく頼む」
「迷惑を掛けます」
「いいえ」

 報告は書記官もいるために避けられないが、あちらから報告があると言えば、シュリリーを介して待ってもらうことは可能だろう。

「こののような機会は二度とないと思うので、一つ、気になっていることがあるのですが、訊ねてもよろしいですか」

 ウィンラーは思い切って聞いてみようと、緊張したが問い掛けた。

「ララスのことか?」
「はい」
「構わない」
「確証もなく、デリケートな話で、今となってどうにもならないことなのですが、よろしいですか」
「ああ、構わない」
「婚約者候補の時点で、子どもが産めるか調べられましたよね?私は王宮で受けましたが、ララス王太子妃殿下は診断書という形で提出してらっしゃいました」

 その言葉にフェイリアは察したように、ウィンラーを見つめた。

「そうだったか?」
「ええ、そうだったと思いますわ。子どもができない際に、何か注意事項などはなかったかと、再度確認をしましたから」

 ララスに子どもができないことは当然だが、王家でも問題になっていた。その際に王宮医師が念のため診断書を確認していた。

「恐れながら、私は父に不正ができるのではないかと問い、父もそのことを話してみると言っておりましたが、駄目だったと伺いました」
「ああ、そうだった。聞かれた、確かにと思い、数人だったために、再度王宮で調べさせるようにするつもりだったんだ。だが、パシム侯爵を筆頭に、他の診断書の父親に言われて、中止になったんだ」

 エディードはウィンラーの言葉で、あの時のことを鮮明に思い出していた。最もだと思ったが、辛い検査なのに二度もさせたくないと言われて、中止となった。

「不正だったと言いたいの?」
「可能だったのではないかと考えておりました」
「理由があるのよね?」

 セラリアも不正などと言われて、はいそうですかとは言えない。

「確実な証拠は当時も、今もありません」
「だったら、そんなこと言うものではないわ!」

 王家が不正を見過ごしたと思われることが、セラリアに耐えられなかった。

「申し訳ございません」
「お母様、だからこそ、ウィンラー夫人は最初に確証がないと言っているじゃない」
「それは、そうね」

 確証があったのなら、ウィンラーは候補者であったのだから、証拠を持って訴えているだろう。
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