さよならの代わりは

野村にれ

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出発

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「私も関わりがなかったからな」
「そうだったのですか」
「ああ、挨拶はするが、人見知りなのではないかと思っていた」

 コレドールにとってアスリーナは姪にはなるが、挨拶をするくらいで、私的な話をすることはなかった。

「二人はララスのことは考えなくていい、部屋で謹慎となっているから当面会うこともないだろう。決まったことは伝えるから」
「分かりました」
「分かりました」

 ララスには自分のしたこと、口にしたことをきちんと考えるように、セラリアから言われて、本格的に謹慎となった。

 勝手に出歩くこともできなくなったために、ララスには会うこともないまま、リファスとレイピア、そしてブルーベルはリュメリー王国に向かう準備を進め、出発する日になっていた。

「では、お父様、行って参ります」
「行って参ります」
「ああ、色んな物を見せていただきなさい。何かあったらすぐにフェイリアに伝えるといい」
「「はい」」
「良い時間にさせて、戻るようにいたします」
「あの……お母様はいかがですか?」

 コーレイドはリファスから初めて、お母様という言葉を聞き、一瞬言葉に詰まったが、その顔は心配しているように見えた。

「出掛けることになったと伝えたのだが、了承したのか分からないが……既に馬車に乗っている」

 ブルーベルはモモリに促されて、馬車に向かったが、抵抗することも、なぜなのか聞くこともなく、大人しく乗り込んだ。

「大丈夫でしょうか?」
「難しい場合は戻れるように、配置しているから心配しなくていい」

 万が一、ブルーベルが不安定になった場合は、すぐにモモリと護衛と一緒にオペリーク王国へ戻って来れるように考えてあった。

「それなら良かったです」
「安心ですね」

 リファスとレイピア、ブルーベルはフェイリアと共に、エディードとセラリアとコレドールに見送られて、リュメリー王国に出発した。

 見送った三人は、現実に向き合う時間になった。

「話し合いをしようか」
「そうですね」
「はい、侍女たちは休ませるようにしたのですよね」
「ええ、何をさせるか分かりませんからね」

 侍女はララスに寄り添うのも仕事だが、注意をすることもなく、気持ち良くすることが仕事だったのではないかと判断し、理由は伝えていないが、しばらく休むようにした。

「パシム侯爵を呼んである」
「そうですか」
「コレドールも覚悟をしておくように」
「覚悟はしております」

 コレドール、エディードとセラリア、そしてジュージ・パシム侯爵が揃った。

「ララスのことで話をしたいと思って、来てもらった」
「何か、あったのでしょうか」
「ああ、ララスがモルゾフ王国の次期公爵夫人に、またもアスリーナとスチュワート王太子殿下に会わせて欲しいと申し出た。王家の方の耳にも入るだろう」
「っな」

 ジュージはモルゾフ王国王家に謝罪を行って、ララスのことだとしても、別の話をだと思っていた。

「私は何も関わっておりません」
「アスリーナはどうだ?」
「それは……」

 アスリーナの相手はまだ見付かっていない状況ではあったが、それでもスチュワートを不愉快にさせて、婚約することは絶対にないと話した。

 嫌だ、私はスチュワートと結婚するのだと、子どものように喚いてはいたが、アスリーナが何を言ってもどうにもなる話ではないと考えていた。

「ですが、スチュワート王太子殿下とは結婚は出来ないと話してあります」
「それでも、まだスチュワート王太子殿下と結婚したいなどと思っているのではないか?」
「そうだったとしても、叶うことはありません」
「だがな、ララスはまだ諦めていなかった。これで反省もしていないことが分かった。謝罪も意味をなさない」
「公爵家の方なら……黙っていただいておくことは……できないのでしょうか」

 まだ王家に伝わっていないのなら、なかったことにならないのかと考えていた。
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