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調査6
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ウィンラーもさすがに二人の事故までは疑っておらず、お見舞いに行ったのだろう。いや、もしかしたら疑いはしたのかもしれない。
「ララス殿下もお見舞いに来てくださったわよね」
「そうね」
「まあ、ララスも?」
セラリアは咄嗟のことで驚いた顔はしてしまったが、冷静に何か分かるかもしれないと期待した。
「親しかったの?」
「い、いえ、同じ候補者だからと来てくださったようです」
「そう。そういえば、二人は診断書を入院先の病院で受けて、提出したのよね?」
「そうです」
「それもララス殿下が助言してくださって」
「助言?」
やはりララスが関わっていたのかと思いながらも、調査員ではないが、馬車の事故も怪しいと思い始めていた。
「はい、王宮での検査があるでしょうと、お二人は難しいわよねと、丁度病院なのだからこちらで受けさせていただいたらどうかと、それでそれはいいわねとなりまして、親に相談をしたのです」
「そう」
誘導したとしか思えないララスの行動ではあるが、二人に疑いを向けさせることはまだ早いだろう。
「嫌な検査だったでしょう?」
「はい……」
「アイラー!」
さすがにセラリアに失礼ではないかと、サエリは声を上げたが、アイラーはあの検査のことを思い出して、二度と受けたくないと思った。
「だって」
「いいのよ、私も同じ検査を受けたもの」
「そうでございますよね」
アイラーは思ったことをポロっと言ってしまうところがあり、サエリは焦ったが、セラリアも同じように婚約者候補だったのだと、安堵した。
「ウィンラー様も、ララス殿下も本当に嫌だったとおっしゃっておりました」
「誰も進んで受けたくないわよ」
「はい……」
「申し訳ございません」
ララスも診断書を提出していたことを知っているか、どう思うか、馬車の近くにララシャの関係者はいなかったかと聞きたかったが、さすがに今の段階でララスのことばかり聞くわけにはいかなかった。
「事故のことで何か思い出すようなことがあったら、また教えてくださる?」
「承知いたしました」
「承知いたしました、父にももう一度、聞いてみます」
「よろしくお願いいたします」
アイラーとサエリは帰って行き、セラリアも疑惑を深めてはいたが、証拠が見付かったわけではない。
調査員にも二人の話してくれたこと、ララスが誘導したように思えること、そしてミリーシュ・フイジのことも念のために伝えられた。
診断書、馬車事故について、パシム侯爵家のこと、さらにミリーシュ・フイジのことが調べられることになった。
まず、ララスの診断書のサインについては、正式にイザル・シズートのサインではないとされた。
本人がわざと書いたのではないかとも考えられていたが、専門家は本人はあり得ない。透かしてなぞった、似せて書いたとしか考えられないと結論が出た。
これで、診断書についてはイザルが認めた物ではないとされ、一体誰がこのような不正をしたのか。だが、イザルは亡くなっており、これだけでは言い逃れされる可能性があるために、これだけで糾弾はできない。
それでも、ララスの診断書は認められないとなった。
ようやく、コレドールにも疑惑について、エディードとセラリアから伝えられることになった。
「え?どういうことですか?」
「診断書は不正だった」
「正確には診断した医師のサインが本人の物と正式には認められないとなったの」
「で、では……何か問題があることを隠したというのですか?」
「可能性は高いわね」
「そんな……」
コレドールは妊娠ができないララスに寄り添ったつもりだった。横柄なところはあったが、それでも自信がないよりはいいだろうと考え、正妃を優先してきた。
それなのに、笑っていたとまではいわないが、まるで道化ではないか。
「ララス殿下もお見舞いに来てくださったわよね」
「そうね」
「まあ、ララスも?」
セラリアは咄嗟のことで驚いた顔はしてしまったが、冷静に何か分かるかもしれないと期待した。
「親しかったの?」
「い、いえ、同じ候補者だからと来てくださったようです」
「そう。そういえば、二人は診断書を入院先の病院で受けて、提出したのよね?」
「そうです」
「それもララス殿下が助言してくださって」
「助言?」
やはりララスが関わっていたのかと思いながらも、調査員ではないが、馬車の事故も怪しいと思い始めていた。
「はい、王宮での検査があるでしょうと、お二人は難しいわよねと、丁度病院なのだからこちらで受けさせていただいたらどうかと、それでそれはいいわねとなりまして、親に相談をしたのです」
「そう」
誘導したとしか思えないララスの行動ではあるが、二人に疑いを向けさせることはまだ早いだろう。
「嫌な検査だったでしょう?」
「はい……」
「アイラー!」
さすがにセラリアに失礼ではないかと、サエリは声を上げたが、アイラーはあの検査のことを思い出して、二度と受けたくないと思った。
「だって」
「いいのよ、私も同じ検査を受けたもの」
「そうでございますよね」
アイラーは思ったことをポロっと言ってしまうところがあり、サエリは焦ったが、セラリアも同じように婚約者候補だったのだと、安堵した。
「ウィンラー様も、ララス殿下も本当に嫌だったとおっしゃっておりました」
「誰も進んで受けたくないわよ」
「はい……」
「申し訳ございません」
ララスも診断書を提出していたことを知っているか、どう思うか、馬車の近くにララシャの関係者はいなかったかと聞きたかったが、さすがに今の段階でララスのことばかり聞くわけにはいかなかった。
「事故のことで何か思い出すようなことがあったら、また教えてくださる?」
「承知いたしました」
「承知いたしました、父にももう一度、聞いてみます」
「よろしくお願いいたします」
アイラーとサエリは帰って行き、セラリアも疑惑を深めてはいたが、証拠が見付かったわけではない。
調査員にも二人の話してくれたこと、ララスが誘導したように思えること、そしてミリーシュ・フイジのことも念のために伝えられた。
診断書、馬車事故について、パシム侯爵家のこと、さらにミリーシュ・フイジのことが調べられることになった。
まず、ララスの診断書のサインについては、正式にイザル・シズートのサインではないとされた。
本人がわざと書いたのではないかとも考えられていたが、専門家は本人はあり得ない。透かしてなぞった、似せて書いたとしか考えられないと結論が出た。
これで、診断書についてはイザルが認めた物ではないとされ、一体誰がこのような不正をしたのか。だが、イザルは亡くなっており、これだけでは言い逃れされる可能性があるために、これだけで糾弾はできない。
それでも、ララスの診断書は認められないとなった。
ようやく、コレドールにも疑惑について、エディードとセラリアから伝えられることになった。
「え?どういうことですか?」
「診断書は不正だった」
「正確には診断した医師のサインが本人の物と正式には認められないとなったの」
「で、では……何か問題があることを隠したというのですか?」
「可能性は高いわね」
「そんな……」
コレドールは妊娠ができないララスに寄り添ったつもりだった。横柄なところはあったが、それでも自信がないよりはいいだろうと考え、正妃を優先してきた。
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