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調査5
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「二人がコレドールの婚約者候補になった頃に事故に遭ったでしょう?」
「はい」
「はい、何かあるのでしょうか?」
セラリアは事故のことも聞き、そこからどうして診断書を出す経緯を尋ねようと考えていた。
「タイヤが外れて滑ったということだったけど」
「はい、整備不良だと聞いております」
乗っていた馬車はパジルア伯爵家の馬車で、サエリはアイラーに申し訳ない気持ちを持っていた。
「意図的に仕組まれたとは、考えられないかしら?」
「っえ」
「事故がということですか?」
「ええ、似たような事故が起きてね。それで何か変わったことがなかったかと思って、話を聞かせてもらえないかと思ってお呼びしたの」
そんな事故は起きていないが、サエリとアイラーは知る由もない。
「そうでしたか」
「サエリ、何かある?」
アイラーも当時、話は聞いたが、サエリの家の馬車であるために、自分が話すよりもと考えた。
「あの時はお父様が調べて、整備は規定通りに、安全確認は毎回していると言っておりました」
「それでも、事故が起こることはあるとされたのよね」
「はい」
パジルア伯爵家も馬車を適当に扱っていたわけではなく、安全確認も御者が怠っていることもなかった。それでも事故が起こらないということはないとされた。
「確か、学園に迎えに来て、その後に二人で事故に遭ったのよね」
「はい」
「その日は二人は約束していたの?」
「そうです」
「誰かに話していた?」
アイラーとサエリはその言葉に、まさかとハッとした。
「……友人には話しました」
「そう」
「その中にいたということですか?」
「それは分からないわ、でも二人に何か心当たりがあったりするかしら?」
「心当たり……」
アイラーは恨まれているようなことはして来なかったつもりだが、怒りを買っていたのかと不安になった。
「嫌なことを言われたとか、あまり相性の良くない相手がいたとか……」
「ミリーシュは?」
「あっ」
サエリも同様に考えていたが、思い浮かんだのは一人の令嬢だった。
「ミリーシュ?」
「ミリーシュ・フイジ伯爵令嬢です。婚約者候補に選ばれたかったので、どうしてあんたたち二人がと言われました」
正確には二人がライバル?いいえ、どちらもどうせ選ばれないわよねと言われたのである。
「でも、その子は……」
「はい、婚約者のいる相手に言い寄って、令嬢のドレスを騙して奪ったことで……除籍されて、今はどうしているか知りません」
ミリーシュ・フイジは令嬢のドレスを侍女の振りをして引き取りに行って、そのドレスを着て、パーティーに参加して、令息の家から激怒された。そして、フイジ伯爵家から除籍された。
修道院に入ったという噂もあるが、オペリーク王国にいるかも分からない。
「他にはいない?」
「後は、それこそミリーシュ・フイジと同じように考えていた方でしょうか」
「そう、学園に来るまでは馬車に異常はなかったと証言されているの」
「では、停めている間にということですか?」
「少し外す程度だったら、簡単にできるそうよ。だからと言って整備不良ではなかったとも言えないのだけど」
当時も二人が婚約者候補と決まったために、念のために意図的にという点も調べられたが、無理矢理外した傷もなく、目撃証言などもなく、整備不良とされた。
「そうですか」
「二人で出掛けることを話した中に、候補者はいた?」
「それは、いないと思います」
「候補者の中に親しかった人はいたの?」
「ウィンラー・レジールノ様とは、元より時折、話すことはありました。お見舞いにも来てくださって」
「そう」
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2回、投稿させていただきます。
次はいつもの17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
「はい」
「はい、何かあるのでしょうか?」
セラリアは事故のことも聞き、そこからどうして診断書を出す経緯を尋ねようと考えていた。
「タイヤが外れて滑ったということだったけど」
「はい、整備不良だと聞いております」
乗っていた馬車はパジルア伯爵家の馬車で、サエリはアイラーに申し訳ない気持ちを持っていた。
「意図的に仕組まれたとは、考えられないかしら?」
「っえ」
「事故がということですか?」
「ええ、似たような事故が起きてね。それで何か変わったことがなかったかと思って、話を聞かせてもらえないかと思ってお呼びしたの」
そんな事故は起きていないが、サエリとアイラーは知る由もない。
「そうでしたか」
「サエリ、何かある?」
アイラーも当時、話は聞いたが、サエリの家の馬車であるために、自分が話すよりもと考えた。
「あの時はお父様が調べて、整備は規定通りに、安全確認は毎回していると言っておりました」
「それでも、事故が起こることはあるとされたのよね」
「はい」
パジルア伯爵家も馬車を適当に扱っていたわけではなく、安全確認も御者が怠っていることもなかった。それでも事故が起こらないということはないとされた。
「確か、学園に迎えに来て、その後に二人で事故に遭ったのよね」
「はい」
「その日は二人は約束していたの?」
「そうです」
「誰かに話していた?」
アイラーとサエリはその言葉に、まさかとハッとした。
「……友人には話しました」
「そう」
「その中にいたということですか?」
「それは分からないわ、でも二人に何か心当たりがあったりするかしら?」
「心当たり……」
アイラーは恨まれているようなことはして来なかったつもりだが、怒りを買っていたのかと不安になった。
「嫌なことを言われたとか、あまり相性の良くない相手がいたとか……」
「ミリーシュは?」
「あっ」
サエリも同様に考えていたが、思い浮かんだのは一人の令嬢だった。
「ミリーシュ?」
「ミリーシュ・フイジ伯爵令嬢です。婚約者候補に選ばれたかったので、どうしてあんたたち二人がと言われました」
正確には二人がライバル?いいえ、どちらもどうせ選ばれないわよねと言われたのである。
「でも、その子は……」
「はい、婚約者のいる相手に言い寄って、令嬢のドレスを騙して奪ったことで……除籍されて、今はどうしているか知りません」
ミリーシュ・フイジは令嬢のドレスを侍女の振りをして引き取りに行って、そのドレスを着て、パーティーに参加して、令息の家から激怒された。そして、フイジ伯爵家から除籍された。
修道院に入ったという噂もあるが、オペリーク王国にいるかも分からない。
「他にはいない?」
「後は、それこそミリーシュ・フイジと同じように考えていた方でしょうか」
「そう、学園に来るまでは馬車に異常はなかったと証言されているの」
「では、停めている間にということですか?」
「少し外す程度だったら、簡単にできるそうよ。だからと言って整備不良ではなかったとも言えないのだけど」
当時も二人が婚約者候補と決まったために、念のために意図的にという点も調べられたが、無理矢理外した傷もなく、目撃証言などもなく、整備不良とされた。
「そうですか」
「二人で出掛けることを話した中に、候補者はいた?」
「それは、いないと思います」
「候補者の中に親しかった人はいたの?」
「ウィンラー・レジールノ様とは、元より時折、話すことはありました。お見舞いにも来てくださって」
「そう」
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2回、投稿させていただきます。
次はいつもの17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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