さよならの代わりは

野村にれ

文字の大きさ
71 / 110

調査4

しおりを挟む
「例えば、近くで結婚を控えた女性がいたら勧めて、自分も受けるから、どのような検査なのかと聞くことができるのではありませんか?平民は受けることはまずないでしょうけど、貴族ならあり得るかもしれません」

 訊ねたのはララスではないだろうか。女性同士なら、私も受けるからどんな検査があるか知りたいと言えば、問題があれば、見せにくいかもしれないが、問題がなかったら、あっさり見せるのではないだろうか。

「ああ、診断書が出される前に、結婚を控えたようなものがいないか調べてみるか」
「そうですね」

 パシム侯爵家に勤めていた貴族令嬢や、縁者で付近で結婚した女性はいないか調べることになった。

 調べていると、診断書を確認をしに行った調査員が戻って来た。

「どうだった?」
「はい、ローラ・ベリンス医師に確認が取れ、自身が受け持ったと認めています」
「そうか」
「確か、二人は事故に遭って入院先で受けたということだったな?」
「はい、その通りです」

 アイラー・オイキス伯爵令嬢、サエリ・パジルア伯爵令嬢は同じ馬車に乗っていた際に、馬車が横転して事故に遭って、入院することになった。

 邸に戻ることもできたが、二人とも足を骨折してしまい、リハビリもあるため、入院となった。

「二人は結婚されて、子どもを産んでいるからな」

 アイラーとサエリも問題はないと診断書を提出しており、ローラも認めたとなれば、何の問題はなく、子どもも産めているのだから、結果も出ている。

「お二人には王妃陛下が話を聞くことになっているんですよね?」
「ああ、婚約者候補については王妃陛下が管理されていたからな。話が聞きたいということになっている」

 まだ聞けてはいないが、セラリアが近い内に話を聞く予定になっている。

「ローラ医師は女性ですよね?パシム侯爵家の侍医に、女性医師はいなかったということですか?」
「ああ、いなかった」
「だから、シズート医師だったのかもしれませんね」
「ああ、高齢で、そろそろ引退を考え、王立病院の医師、丁度良かったのかもしれないな」
「でも、確認をされていて、書いていないとなっていたら?」
「そこなんだよな……」

 確認をされていたらどうなっていたのか、もしかしたら脅されていた可能性もあるが、確かめようもない。

「賭けだったのではありませんか?」
「賭け?」
「確認を取られたら終わりだけど、きちんとした医師が診断しているのだから、確認までは取らないだろうと……」
「うーん」

 そうだと言われたらそれまでだが、不正をするのなら不確かな手段は取らないのではないかと思える。

「病気のことも聞いていたのなら、亡くなれば確認の取りようもないと考えたのかもしれませんね」
「あまり良くないと聞いていたのかもしれませんからね」
「そこを乗り越えればと……うーん」

 婚約者候補に選ばれた段階で検査があったのだから、選ばれるまでに時間はあった。それまでに調べられなければと思ったのだろうか。

「二人の事故まで仕組まれたことということは、ありませんよね?」
「病院に入院させるために?それとも、邪魔だったとか?」
「タイヤが外れた事故だと書いてあったが……」
「整備不良ということになったのですよね?」
「ああ……だが、もう一度調べてみるか。協力もしてもらえるだろう」
「はい」

 アイラーとサエリの診断書についてはもう調べることはないために、パシム侯爵家と事故について調べることに加わることになった。

 そして、セラリアはアイラーとサエリに会うことになった。アイラーは侯爵家に、サエリは伯爵家に嫁いでいる。

「お呼びしてごめんなさいね、内密にお話を聞きたいことがあるの」
「はい」
「はい、何なりと」

 一体、二人揃って何の話だろうかと思い、緊張していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されない妻は死を望む

ルー
恋愛
タイトルの通りの内容です。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

【完結】白い結婚はあなたへの導き

白雨 音
恋愛
妹ルイーズに縁談が来たが、それは妹の望みでは無かった。 彼女は姉アリスの婚約者、フィリップと想い合っていると告白する。 何も知らずにいたアリスは酷くショックを受ける。 先方が承諾した事で、アリスの気持ちは置き去りに、婚約者を入れ換えられる事になってしまった。 悲しみに沈むアリスに、夫となる伯爵は告げた、「これは白い結婚だ」と。 運命は回り始めた、アリスが辿り着く先とは… ◇異世界:短編16話《完結しました》

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?

四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

愛される日は来ないので

豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。 ──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。

処理中です...