76 / 110
調査9
しおりを挟む
「説得という説得はしていないように思います」
「そう。当時、聞いたとしても、王太子妃として当然だと思ったかもしれないわね」
「そうだな。何か思い出すことがあれば、言ってくれ」
「はい、思い出してみます」
コレドールはリファスとレイピア、ブルーベルもオペリーク王国を離れていて正解だと感じていた。フェイリアも汲んでくれたのだろう。
調査は続けられたが、調べることはできても、いずれは直接訊ねなければならないという話にもなっていた。そこへある方から、連絡があった。
「どうして、今さらあのようなことを訊ねられたのかと気になりまして、訪ねさせていただきました」
そう言って、調査部を訪ねて来たのは、アイラーとサエリの診断を行ったローラ・ベリンス医師であった。
「別件で調べることがございまして、念のために確認をしたのです」
「そうですか……」
「何かありましたか?」
腑に落ちない様子のベリンス医師に、何か確認の際にあったのだろうかと思った。
「診断書が問題になったのでしょうか?」
「いえ、確認をしたかっただけです。保管してあった複写も見せていただき、確認が取れております」
診断書は複写になっており、病院側に一枚、患者側に一枚となっており、照らし合わせることもできている。だが、ララスに関してはシズート男爵家に一応、頼んではみたが、複写は見付かっていなかった。
「不正を疑っているのではありませんか?」
「どうして、そう思うのですか?」
「私も不正を疑う部分があるのです」
「不正を?」
ベリンス医師の不正という言葉に、皆は集中した。
「私が診断したわけではないのですけど、年下の幼なじみが当院でブライダルチェックを受けたのです。幼なじみは当時、パシム侯爵家で働いておりまして」
「えっ」
「やはり、ララス殿下について調べてらっしゃいますか?」
「い、いえ」
調査員はララスの名前が出たことで、思わず上ずってしまい、ベリンス医師は見逃さなかった。
「私も守秘義務があります。ですが、ずっと引っ掛かっていたことがありまして、話をさせていただきます。こちらのことも、そちらのことも必要なければ、なかったことにしませんか」
「分かりました」
調査員もベリンス医師を信じて、話をする覚悟を決めた。
「まず、ララス殿下はお二人と一緒で診断書を提出されたのでしょうか?」
「そうです」
「ありがとうございます。幼なじみは、今はオック男爵家に嫁いだのでエミリー・サッジ、当時はエミリー・ファークと申します」
調査員は別の調査員を見ると、パシム侯爵家のメイドにエミリー・ファークの名前があった。男爵家の令嬢であった。
「あります」
「エミリーは結婚を控えていて、婚約者は気にしないと言ってくれたそうですが、身体が弱い部分がありまして、妊娠について不安がありました。それで、ブライダルチェックを受けることになりました。さすがに私がするのは気恥ずかしいので、他の女性医師に任せました。問題はありませんでした」
エミリーは自分が覚悟するために受けたいと言い、問題がなかったことには、彼の子どもを産めるかもしれないと涙を流して喜んだ。
「それで、その話をパシム侯爵家でメイドたちにも相談していたので、話をしたそうです。すると、ララス殿下の耳に入ったのか、自分も受けるのだけど、どのような検査を行うのかと訊ねられたそうです」
「ララス殿下に……」
誰かを受けさせて、診断書を見せてもらったのかと思ったが、そうではなく話を聞いて思い付いたのではないかと考えた。
「はい、それでエミリーは検査のことを話したそうです」
「はい……」
「ここで終われば、何も思いませんでしたが、診断書を見せてもらえないかと言われたそうです」
「っ」
いよいよ繋がりそうな内容に、その場にいた数人の調査員は息をのんだ。
「そう。当時、聞いたとしても、王太子妃として当然だと思ったかもしれないわね」
「そうだな。何か思い出すことがあれば、言ってくれ」
「はい、思い出してみます」
コレドールはリファスとレイピア、ブルーベルもオペリーク王国を離れていて正解だと感じていた。フェイリアも汲んでくれたのだろう。
調査は続けられたが、調べることはできても、いずれは直接訊ねなければならないという話にもなっていた。そこへある方から、連絡があった。
「どうして、今さらあのようなことを訊ねられたのかと気になりまして、訪ねさせていただきました」
そう言って、調査部を訪ねて来たのは、アイラーとサエリの診断を行ったローラ・ベリンス医師であった。
「別件で調べることがございまして、念のために確認をしたのです」
「そうですか……」
「何かありましたか?」
腑に落ちない様子のベリンス医師に、何か確認の際にあったのだろうかと思った。
「診断書が問題になったのでしょうか?」
「いえ、確認をしたかっただけです。保管してあった複写も見せていただき、確認が取れております」
診断書は複写になっており、病院側に一枚、患者側に一枚となっており、照らし合わせることもできている。だが、ララスに関してはシズート男爵家に一応、頼んではみたが、複写は見付かっていなかった。
「不正を疑っているのではありませんか?」
「どうして、そう思うのですか?」
「私も不正を疑う部分があるのです」
「不正を?」
ベリンス医師の不正という言葉に、皆は集中した。
「私が診断したわけではないのですけど、年下の幼なじみが当院でブライダルチェックを受けたのです。幼なじみは当時、パシム侯爵家で働いておりまして」
「えっ」
「やはり、ララス殿下について調べてらっしゃいますか?」
「い、いえ」
調査員はララスの名前が出たことで、思わず上ずってしまい、ベリンス医師は見逃さなかった。
「私も守秘義務があります。ですが、ずっと引っ掛かっていたことがありまして、話をさせていただきます。こちらのことも、そちらのことも必要なければ、なかったことにしませんか」
「分かりました」
調査員もベリンス医師を信じて、話をする覚悟を決めた。
「まず、ララス殿下はお二人と一緒で診断書を提出されたのでしょうか?」
「そうです」
「ありがとうございます。幼なじみは、今はオック男爵家に嫁いだのでエミリー・サッジ、当時はエミリー・ファークと申します」
調査員は別の調査員を見ると、パシム侯爵家のメイドにエミリー・ファークの名前があった。男爵家の令嬢であった。
「あります」
「エミリーは結婚を控えていて、婚約者は気にしないと言ってくれたそうですが、身体が弱い部分がありまして、妊娠について不安がありました。それで、ブライダルチェックを受けることになりました。さすがに私がするのは気恥ずかしいので、他の女性医師に任せました。問題はありませんでした」
エミリーは自分が覚悟するために受けたいと言い、問題がなかったことには、彼の子どもを産めるかもしれないと涙を流して喜んだ。
「それで、その話をパシム侯爵家でメイドたちにも相談していたので、話をしたそうです。すると、ララス殿下の耳に入ったのか、自分も受けるのだけど、どのような検査を行うのかと訊ねられたそうです」
「ララス殿下に……」
誰かを受けさせて、診断書を見せてもらったのかと思ったが、そうではなく話を聞いて思い付いたのではないかと考えた。
「はい、それでエミリーは検査のことを話したそうです」
「はい……」
「ここで終われば、何も思いませんでしたが、診断書を見せてもらえないかと言われたそうです」
「っ」
いよいよ繋がりそうな内容に、その場にいた数人の調査員は息をのんだ。
3,071
あなたにおすすめの小説
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
愛なんか消えてしまえと願う私は悪くないと思う
ましろ
恋愛
「赤ちゃんができたの」
母の言葉に目眩がした。
我が家の両親は恋愛結婚。身分差から駆け落ち同然で一緒になった二人は未だにその愛は消えず、燃え上がり続けているのだからある意味凄いわ。
でもね? どうしてそんなにも子どもを作ってしまうの⁉
私を入れて子どもは七人。お父さんの給料ではお手伝いさんなんか雇えるわけもなく、おっとりしたお嬢様気質の抜けないお母さんだけで家事育児などできるはずもなく。
そうなると働き手は長女の私だ。
ずっと小さな頃から弟妹のお世話と家事に明け暮れ、それなのにまだ産むと言うの?
「……ねえ、お母さんにとって子どもって何?」
「うふふ。それはね、愛の結晶よ」
愛。愛って何? 私はあなたの愛のために働き詰めなのですけど?
自分達の手に余るなら、そんなモノなど捨ててしまえっ!
❦R-15は保険です。
連載中のものが止まったままのくせに!とは言わないで(泣)
現在、作業中のものがなかなか終わらなくて息抜きのための不定期連載です。
【完結】白い結婚はあなたへの導き
白雨 音
恋愛
妹ルイーズに縁談が来たが、それは妹の望みでは無かった。
彼女は姉アリスの婚約者、フィリップと想い合っていると告白する。
何も知らずにいたアリスは酷くショックを受ける。
先方が承諾した事で、アリスの気持ちは置き去りに、婚約者を入れ換えられる事になってしまった。
悲しみに沈むアリスに、夫となる伯爵は告げた、「これは白い結婚だ」と。
運命は回り始めた、アリスが辿り着く先とは… ◇異世界:短編16話《完結しました》
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?
四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
愛される日は来ないので
豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる