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調査11
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「なぜ話してくださったのでしょうか?」
「失礼な話をしてもよろしいですか?」
「はい、今日の話を洩らすようなことはございません」
もはやベリンス医師と調査員たちは、同じ不正を探る仲間のような気持ちになっていた。
「当時から気味の悪さは感じておりました。ですので、恐れながらララス殿下を穿った見方をしておりました。そして、失礼ながら子どもはできなかった」
「やはりと思いましたか?」
「正直、思いました。どのような事情かは分かりませんが、医師としても不正があったのではないかという気持ちはずっとありました」
不可解なララスの行動はベリンス医師には、拭えない記憶になっただろう。だが、それはエミリーもではないかと考えた。
「エミリー夫人もではありませんか?」
「いえ、エミリーは診断書の不正とは考えていません。ですので、ララス殿下の妊娠と診断書のこと繋げてはいないのです。診断を受けると言っていたけど、何か問題があったのかしら程度です」
「それは、良かったかもしれませんね」
「はい、私も今となってはそう思いました」
退職したとはいえ、ララス殿下について何か話したり、疑ったりしたら、危険があったかもしれない。
「それで、この前、診断書のことを訪ねて来られて、私に後ろ暗いことはありませんから、すべてをお見せしました。ですが、なぜ調べられているのか……頭に引っ掛かってしまい、まさかと思ったのです」
「詳しい話はまだできない状況ですので、申し訳ありません」
「いいえ、当然のことだと思います。ですが、ララス殿下が診断書を出したかも分かりませんから、まずはそちらを確認できたら、話をしてみようと訪ねさせていただきました」
「ありがとうございます、感謝いたします」
写したことが証明できるかは分からないが、内容が一緒であれば、それだけでも糾弾する手札にはなるだろう。
「私が言うことではありませんが、大変なことになりますよね?」
「そうですね、ですが許されぬことですから」
「そうですね」
「何かありましたら、ご連絡させていただきますので」
「はい、手伝えることがあれば、おっしゃってください」
「でしたら、こちらの診断書を書かれた医師は?」
エミリーの診断書を書いた医師は、覚えのない診断書を書いたことになり、確認を取ることになる。
「名前も書いてあります。今も一緒に勤めております。彼女も私の幼なじみということで、おそらく覚えていると思います」
「念のために複写の方も探して、厳重に保管いただけますか?」
「分かりました、これから病院に行きますので、探してみます」
「よろしくお願いします。鑑定が終わりましたら、書かれた医師、病院に正式に確認という形を取らせていただきます」
「はい、よろしくお願いいたします」
ベリンス医師は帰って行き、エミリーの診断書を鑑定に出すために持ち込んだ。証拠に何かあってはいけないと、そこで初めて診断書を見たが、ララスの診断書の字によく似ていると感じた。
「確かに別の筆跡が見えますね」
「残っていますか?」
「はい、紙の厚さと保管状態が良かったのでしょう」
手袋をした鑑定士は、厳重に扱いながら、光に当てて角度を変えながら筆跡を確認をした。
「診断書は複写で、こちらは原本ですよね?」
「はい、複写も病院にあると思います。念のために、保管していただくように頼んであります」
「それは懸命です」
アイラーとサエリの診断書も、エミリーの診断書もあるために、おそらく残っているだろうと思っているが、万が一ということもあるために保管を頼んだ。
「どうかよろしくお願いします」
「はい、慎重に行います」
診断書は厚め紙に記入してあること、カーボン紙を挟んで複写するためにしっかり書かれていること、鑑定士は手応えを感じていた。
そして、調査員はエディードとセラリアに報告を行った。
「失礼な話をしてもよろしいですか?」
「はい、今日の話を洩らすようなことはございません」
もはやベリンス医師と調査員たちは、同じ不正を探る仲間のような気持ちになっていた。
「当時から気味の悪さは感じておりました。ですので、恐れながらララス殿下を穿った見方をしておりました。そして、失礼ながら子どもはできなかった」
「やはりと思いましたか?」
「正直、思いました。どのような事情かは分かりませんが、医師としても不正があったのではないかという気持ちはずっとありました」
不可解なララスの行動はベリンス医師には、拭えない記憶になっただろう。だが、それはエミリーもではないかと考えた。
「エミリー夫人もではありませんか?」
「いえ、エミリーは診断書の不正とは考えていません。ですので、ララス殿下の妊娠と診断書のこと繋げてはいないのです。診断を受けると言っていたけど、何か問題があったのかしら程度です」
「それは、良かったかもしれませんね」
「はい、私も今となってはそう思いました」
退職したとはいえ、ララス殿下について何か話したり、疑ったりしたら、危険があったかもしれない。
「それで、この前、診断書のことを訪ねて来られて、私に後ろ暗いことはありませんから、すべてをお見せしました。ですが、なぜ調べられているのか……頭に引っ掛かってしまい、まさかと思ったのです」
「詳しい話はまだできない状況ですので、申し訳ありません」
「いいえ、当然のことだと思います。ですが、ララス殿下が診断書を出したかも分かりませんから、まずはそちらを確認できたら、話をしてみようと訪ねさせていただきました」
「ありがとうございます、感謝いたします」
写したことが証明できるかは分からないが、内容が一緒であれば、それだけでも糾弾する手札にはなるだろう。
「私が言うことではありませんが、大変なことになりますよね?」
「そうですね、ですが許されぬことですから」
「そうですね」
「何かありましたら、ご連絡させていただきますので」
「はい、手伝えることがあれば、おっしゃってください」
「でしたら、こちらの診断書を書かれた医師は?」
エミリーの診断書を書いた医師は、覚えのない診断書を書いたことになり、確認を取ることになる。
「名前も書いてあります。今も一緒に勤めております。彼女も私の幼なじみということで、おそらく覚えていると思います」
「念のために複写の方も探して、厳重に保管いただけますか?」
「分かりました、これから病院に行きますので、探してみます」
「よろしくお願いします。鑑定が終わりましたら、書かれた医師、病院に正式に確認という形を取らせていただきます」
「はい、よろしくお願いいたします」
ベリンス医師は帰って行き、エミリーの診断書を鑑定に出すために持ち込んだ。証拠に何かあってはいけないと、そこで初めて診断書を見たが、ララスの診断書の字によく似ていると感じた。
「確かに別の筆跡が見えますね」
「残っていますか?」
「はい、紙の厚さと保管状態が良かったのでしょう」
手袋をした鑑定士は、厳重に扱いながら、光に当てて角度を変えながら筆跡を確認をした。
「診断書は複写で、こちらは原本ですよね?」
「はい、複写も病院にあると思います。念のために、保管していただくように頼んであります」
「それは懸命です」
アイラーとサエリの診断書も、エミリーの診断書もあるために、おそらく残っているだろうと思っているが、万が一ということもあるために保管を頼んだ。
「どうかよろしくお願いします」
「はい、慎重に行います」
診断書は厚め紙に記入してあること、カーボン紙を挟んで複写するためにしっかり書かれていること、鑑定士は手応えを感じていた。
そして、調査員はエディードとセラリアに報告を行った。
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