さよならの代わりは

野村にれ

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調査12

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「誠か?」
「はい、わざわざ話をしに来てくださいました。まだ結果は出ていませんが、殿下の診断書の字に似ていると私は感じました」
「そうか」
「そう……」

 二人は重苦しく、事実を受け止めた。

 だが、診断書の出所が見付かったかもしれないことに、小さく頷きあった。

「鑑定が終わり、もしも同じだと判定されたら、病院と診断書を書いた医師に確認を取るつもりです」
「ああ、よろしく頼む」
「いよいよということですわね」

 それから鑑定を待ちながら、ララスに話した後で、関係者の誰に話を聞くかを考えられていた。そして―――その日がやって来た。

 鑑定士に鑑定が終わったからと報告に調査員たちの部屋を訪ねて来た。こちらの緊張が伝わったのか、鑑定士も生唾をのんだ。

「いかがでしたでしょうか」
「結論から述べた方がいいですか?」

 調査員たちは顔を見合わせて、頷きあった。

「はい、結論をお願いします」
「同一と認められました」

 おおおと歓声が上がり、皆は不正ではないと証明したかったのではなく、不正だったと認められることを望んでいたことが明らかであった。

「失礼しました」
「いいえ、筆圧を鑑定しまして、ララス殿下の診断書と一致しました」
「そう、ですか」

 これからのことを考えると、嬉しいとは言えないが、この調査が始まってから、ララスのことはベリンス医師よりも最近だが、穿った見方をしていた。

「はい、ですのでこちらのエミリー・ファークの診断書を写したのがララス殿下の診断書となります」
「ありがとうございます」
「問題はなかったという証明なので無理もないですが、全く同じように書かれているというのが、浅はかと言いますか……」
「全く同じように書かれていたのですか?」
「はい、面倒になったのか、多少乱れはありますが、写したことは明らかです」

 エミリーは男爵令嬢で自分のために検査を受け、ララスと違ってどこかに提出するわけでもない。診断書を比べられることもないと考えたのだろう。

「騒がしくなるということですね」
「はい、そうなると思います」

 鑑定士はこれが鑑定結果の書類を渡して去って行ったが、これで正式に動き、ララスやパシム侯爵、パシム前侯爵夫妻は王家が話を聞くだろうが、その他の方たちには調査員が聞くことになる。

 シズート男爵家には調べてもらってはいたが、ララスに何か問題があるような記述は見付かっていなかった。

 調査員は鑑定結果を持って、エディードとセラリアを訪ねた。

「鑑定結果が出ました、こちらでございます」
「ああ」

 エディードに渡したが、セラリアも待っていられない様子で、覗き込んだ。

「認められたか……」
「はい、不正は暴かれるということなのでしょう」
「そうね、そういうことなのでしょう」

 ここまで運が良かったのか、不正が暴かれることはなかった。だが、違和感を感じる者はいたということである。

「ララス、パシム侯爵、おそらくパシム前侯爵夫妻も関わっているだろう」
「ええ」
「まずララスに、家族に、調査員たちは裏取りと邸の者、辞めた者にも話を聞いてもらえるか」
「はい、そのように準備しております。今、元の診断書の複写を病院と医師に確認をして、借りて来てもらうように指示を出して、証拠を揃えます」

 鑑定結果が出たために病院と医師に確認に向かわせていた。

「ああ、よろしく頼む」

 調査員たちは待機となり、医師の確認も取れ、診断書の複写も無事にベリンス医師が念のために保管してくれており、手に入れることができた。

 ベリンス医師には認められたとは口にはしなかったが、確認があったということは認められたのだなと察していた。

 コーレイドにも不正が認められたことが伝えられた。

「そうですか」
「まずはララスに話をする。それからララスは監視下に置き、パシム侯爵、パシム前侯爵夫妻にも話をする」
「分かりました、私も同席します」
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