さよならの代わりは

野村にれ

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証言3

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「念のためよ、家族もいるんだから」
「もし訪ねて来たとして、警備を頼れなかったら、落ち着いて話を聞いてこちらにすぐに伝えてください」
「分かりました」

 ララスは謹慎になっているので、連絡手段はないが、ジュージはともかく、オジェンとクレアが事情を知っているのなら、訪ねてくる可能性はある。

 無理矢理に邸に入ろうとしたなど警備が動けるが、話をしに来たということであれば、穏便に話を聞く方が安全である。

 エミリーもしっかりと頷き、調査員たちはサッジ男爵邸を後にした。部屋に戻ると、戻っていた調査員に声を掛けた。

「誰かララス殿下の乳母だったオメリー・ジンクに話を聞いたか?」
「いいえ」

 戻って確認すると、オメリー・ジンクは既にパシム侯爵家を退職しており、証言をするかは分からないが、話を聞きたいと思った。

「見付からないんです。家族も居場所が分からないと言って」
「分からない?」
「はい、ジンク子爵家は既に息子が継いでいて、夫は亡くなっています。領地で静かに暮らすと言っていたそうなんですけど、旅行に行くと言って、そのまま帰って来ていないそうで、亡くなったという届も出ていません」

 調査員たちはパシム侯爵家、辞めた使用人に話を聞いていた。

 亡くなったという方もいたが、覚えている覚えていないに関わらず、診断書が書かれた日辺りの話をほとんどが聞くことができた。

 だが、オメリー・ジンクには聞けていなかった。

「捜索願は?」
「出されてはいます。ですが、周りに当分帰らないとも話していたようで、積極的には捜されていません」

 ララスに近い存在だったことから、ジンク子爵家に話を聞きに行ったが、嘘でも隠している様子もなく、オメリーはいなかった。

「いつからだ……?」
「退職したのはララス殿下が結婚した際のようですが、乳母として、その後は身の回りの世話をするためにいたようですから、おかしな話ではありません」
「そうか」
「姿を消したのは、お世継ぎができない話が顕著になっていた頃ですね」

 意味があるのか、偶然なのか、何か知っていたのならパシム侯爵家から口留めをされていただろう。離れて欲しいと言われた可能性もある。

 だが、もしかしたら本人が自ら意を汲んで、離れたとも考えられる。

「パシム侯爵家に言われたのか、自ら出て行ったのか……」
「捜すのは時間が掛かりそうです」
「そうか……分かった」

 証言は難しそうな上に、捜すとなると時間が掛かることを報告するしかない。

 そして、パシム侯爵家からもオジェンは診断を受けた日付を報告したが、それは診断書の日付であった。婚約者候補の大事な検査だということから、間違いだったなどということは許されない。

 調査員はエディードとセラリア、コレドールに集まった情報を伝え、オメリー・ジンクのことも話した。

「そうか、時間が掛かりそうだな」
「はい、どうやら嫁ぐまではべったりの関係だったようで、何か知っていても、証言するとは思えないという話もあります」
「ならば、もう証拠を突きつける。これ以上は長引かせることはできない」
「承知いたしました」

 モルゾフ王国への報告もあるために、早く判断をしなければならず、捜している時間はない。

 エディードとセラリアは、ララス、ジュージ、オジェン、クレアを呼び出した。コレドールも同席はしているが、

 席を一人一人を離して座らせて、会話ができないようにした。ララスに話し掛けたそうにしていたが、死後は現金と伝えていたために、誰も話すことはなかった。

 エディードとセラリア、コレドールが入室すると、皆が立ち上がって頭を下げた。

「座ってくれ。話をする前に、何か言いたいことはあるか?発言を許可する」

 最後の自白をするチャンスを与えたつもりであった。
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