96 / 110
終焉3
しおりを挟む
診断書についてパシム侯爵家には発表すると伝えてはいたが、離縁となったために、診断書とは言わず書類を偽造したという内容に留めた。
それでも王太子妃の不正は、国民にも貴族にも動揺が広がり、一体何なのかということにもなったが、個人のことであることだと伝え、金銭の着服や情報を洩らしたわけではないと説明をした。これが最後に認めた温情であった。
アイラー・オイキス伯爵令嬢、サエリ・パジルア伯爵令嬢の事故については、さすがに証拠が見付からなかった。ただララスが二人の入院を利用したのは間違いないだろうが、罪とは言えない。
ミリーシュ・フイジはどこにいるのかも家族も分からないようで、結局は関係は見付からなかった。
そして、正妃については側妃が繰り上がることが多いが、熟考するとした。
フェイリアにも事前に伝わり、驚くことはなかったが、うやむやにはしなかったことには両親も兄も見直すことになった。
「離縁か……」
オフィルクにも伝えると、何やら考えている様子であった。
「ブルーベル様のこと?」
「ああ、どうなるのかと思ってね。フェイリアは嬉しいか?」
「嬉しいわけではないわ、でも最初から不正をしていたなんてね。そこまでは私も考えていなかったわ」
少なからず母国が荒れることは、フェイリアにも本意ではない。
ただララスとは気が合わないとは思っており、婚約者に決まってからは上から物を言うようになって、嫌いだと認めることになった。
「候補者同士だから見えるものもあるんだろうな」
「それは絶対にあるわね、些細なことでも人物像と齟齬があったのだと思うわ」
フェイリアには言えない、しないこともウィンラーにはしていたのか、見ていた。そして、齟齬が気持ち悪いと感じていたのだろう。
「確かに王太子妃に固執はしていたのでしょうけど、子どもを産みたくなかったわけではないでしょうからね。子どもができなかったことを責めることはできないわ」
「これで子どもは生まれていたら、どうなっただろうな」
「複雑だけど、生まれていたら問題にはならなかったのも事実なのよね」
診断書に不正があったとしても、何の問題もなく子どもが生まれていたら、ウィンラーの疑惑も違ったのかと思っていただろう。
図らずしも自分の隠したかったことで、首を絞める結果となった。
「素直にありのままを提出すればよかったのよ、そうしたら子どもができなくても違ったわ」
「どこかで自信がなかったのかな?」
「そうなのかしらね。私は穿った見方をしてしまうから、自分に問題があることが許せなかったのかと思ってしまうわ」
フェイリアはララスの良いところが見付けられないままであったために、自分を完璧だと思い、生理不順・無月経であることを提出したくなかった。
「でも男性ホルモンが多いのではないかというのは、納得してしまったわ」
「そのようなことがあるのだな」
「ええ、私も調べてみたら、当てはまるのよ」
男性ホルモンが多いという診断が出ていると手紙には書かれており、フェイリアも調べてみると、ララスに通ずる項目が多かった。
「ララスって眉が太くて、肌荒れもよくしていたの。声も低めで、体はしっかりしていたわ。でも見た目はいいのよ、それよりも性格がお兄様にはそうは見えていなかったようだけど積極的で、負けず嫌いなんて明らかじゃない?」
「人として特に気になることではないが、そう言われるとそうなのかと思うな」
「きちんと調べて治療をすれば、違ったかもしれないのに」
自分で自分の欠点に蓋をしたことで、治療を妨げてしまったのではないかと感じていた。ララスも優秀ならば、そのことに気付き、絶望していることだろう。
「リファスとレイピアにも話をしないといけないわね」
「そうだな」
手紙にはリファスとレイピアにも詳しいことは戻ってから伝えるが、話しておいて欲しいとも書かれていた。
丁度、両陛下と話をしていた二人に話をすることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日12時に、
新作「私は運命なのですか」を投稿しております。
よろしければ、よろしくお願いいたします。
それでも王太子妃の不正は、国民にも貴族にも動揺が広がり、一体何なのかということにもなったが、個人のことであることだと伝え、金銭の着服や情報を洩らしたわけではないと説明をした。これが最後に認めた温情であった。
アイラー・オイキス伯爵令嬢、サエリ・パジルア伯爵令嬢の事故については、さすがに証拠が見付からなかった。ただララスが二人の入院を利用したのは間違いないだろうが、罪とは言えない。
ミリーシュ・フイジはどこにいるのかも家族も分からないようで、結局は関係は見付からなかった。
そして、正妃については側妃が繰り上がることが多いが、熟考するとした。
フェイリアにも事前に伝わり、驚くことはなかったが、うやむやにはしなかったことには両親も兄も見直すことになった。
「離縁か……」
オフィルクにも伝えると、何やら考えている様子であった。
「ブルーベル様のこと?」
「ああ、どうなるのかと思ってね。フェイリアは嬉しいか?」
「嬉しいわけではないわ、でも最初から不正をしていたなんてね。そこまでは私も考えていなかったわ」
少なからず母国が荒れることは、フェイリアにも本意ではない。
ただララスとは気が合わないとは思っており、婚約者に決まってからは上から物を言うようになって、嫌いだと認めることになった。
「候補者同士だから見えるものもあるんだろうな」
「それは絶対にあるわね、些細なことでも人物像と齟齬があったのだと思うわ」
フェイリアには言えない、しないこともウィンラーにはしていたのか、見ていた。そして、齟齬が気持ち悪いと感じていたのだろう。
「確かに王太子妃に固執はしていたのでしょうけど、子どもを産みたくなかったわけではないでしょうからね。子どもができなかったことを責めることはできないわ」
「これで子どもは生まれていたら、どうなっただろうな」
「複雑だけど、生まれていたら問題にはならなかったのも事実なのよね」
診断書に不正があったとしても、何の問題もなく子どもが生まれていたら、ウィンラーの疑惑も違ったのかと思っていただろう。
図らずしも自分の隠したかったことで、首を絞める結果となった。
「素直にありのままを提出すればよかったのよ、そうしたら子どもができなくても違ったわ」
「どこかで自信がなかったのかな?」
「そうなのかしらね。私は穿った見方をしてしまうから、自分に問題があることが許せなかったのかと思ってしまうわ」
フェイリアはララスの良いところが見付けられないままであったために、自分を完璧だと思い、生理不順・無月経であることを提出したくなかった。
「でも男性ホルモンが多いのではないかというのは、納得してしまったわ」
「そのようなことがあるのだな」
「ええ、私も調べてみたら、当てはまるのよ」
男性ホルモンが多いという診断が出ていると手紙には書かれており、フェイリアも調べてみると、ララスに通ずる項目が多かった。
「ララスって眉が太くて、肌荒れもよくしていたの。声も低めで、体はしっかりしていたわ。でも見た目はいいのよ、それよりも性格がお兄様にはそうは見えていなかったようだけど積極的で、負けず嫌いなんて明らかじゃない?」
「人として特に気になることではないが、そう言われるとそうなのかと思うな」
「きちんと調べて治療をすれば、違ったかもしれないのに」
自分で自分の欠点に蓋をしたことで、治療を妨げてしまったのではないかと感じていた。ララスも優秀ならば、そのことに気付き、絶望していることだろう。
「リファスとレイピアにも話をしないといけないわね」
「そうだな」
手紙にはリファスとレイピアにも詳しいことは戻ってから伝えるが、話しておいて欲しいとも書かれていた。
丁度、両陛下と話をしていた二人に話をすることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日12時に、
新作「私は運命なのですか」を投稿しております。
よろしければ、よろしくお願いいたします。
2,728
あなたにおすすめの小説
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?
四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
愛なんか消えてしまえと願う私は悪くないと思う
ましろ
恋愛
「赤ちゃんができたの」
母の言葉に目眩がした。
我が家の両親は恋愛結婚。身分差から駆け落ち同然で一緒になった二人は未だにその愛は消えず、燃え上がり続けているのだからある意味凄いわ。
でもね? どうしてそんなにも子どもを作ってしまうの⁉
私を入れて子どもは七人。お父さんの給料ではお手伝いさんなんか雇えるわけもなく、おっとりしたお嬢様気質の抜けないお母さんだけで家事育児などできるはずもなく。
そうなると働き手は長女の私だ。
ずっと小さな頃から弟妹のお世話と家事に明け暮れ、それなのにまだ産むと言うの?
「……ねえ、お母さんにとって子どもって何?」
「うふふ。それはね、愛の結晶よ」
愛。愛って何? 私はあなたの愛のために働き詰めなのですけど?
自分達の手に余るなら、そんなモノなど捨ててしまえっ!
❦R-15は保険です。
連載中のものが止まったままのくせに!とは言わないで(泣)
現在、作業中のものがなかなか終わらなくて息抜きのための不定期連載です。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる