さよならの代わりは

野村にれ

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婚約の申し込み4

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 アスリーナにもララスのしたことは聞かされて、新聞に載っていたのも目を通した。現実なのだとは分かっているが、受け止められなかった。

 ララスはアスリーナにとって、自分を理解して素晴らしいと認めてくれる存在だった。それが不正なんて、そんなことをしていたことがショックだった。

「だったら、領地に行けばいい」
「っな!」
「出掛けることもなく籠っているのだから、王都でも領地でも変わりないだろう?」
「でも領地なんて」

 領地は生活には困らないが、新しいことは何もない。今は籠ってはいるが、アスリーナも王都のカフェなどに一人で行ったりしていた。

「両親とララスという不正集団がいる。そこでお前らのせいだと言ってやればいい」

 ジュージは断られていると言っても駄目ならば、あの掃き溜めにぶつければいいのではないかと考えた。

「どういう意味?」
「元より断られているのに、王家に不正を行ったような家の娘など、モルゾフ王国の王家が絶対に娶るわけがないでしょう!」

 サミラは強い言葉で現実を突きつけることにした。

「そのせいなの……?」
「その前に断られているって言っているでしょう!19にもなって、どこまで恋に浮かれているの?恥ずかしいわよ、勉強ができるのなら現実を見なさい」
「分かってはいるわ!」
「それならば、断られたのだから諦めなさい。元より過ぎた相手だったでしょう?」

 遠くからではあったが、オペリーク王国に訪問されたスチュワートを初めて見た時にあまりの格好良さにあの人と結婚したいと思った。

 年下で、他国の王太子殿下で、自分の容姿には自信がないアスリーナは憧れただけだった。

 眠る前にスチュワートに見初められて婚約すること、皆に羨ましがられて結婚すること、自分が愛される想像をするだけで心が躍った。

 それでもアスリーナも過ぎた相手だとは分かっていた。だから想像することで、満足していた。

 学園でもクラスメイトも生徒会でも、令息たちがスチュワートを見た後だと、酷く霞んで見えた。その令息を格好いいと言っている令嬢たちも安っぽく感じるようになっていった。

 元より友人と呼べる相手はいなかったが、どんどん周りとも距離ができていた。

 スチュワートへの思いを始めて告げたのはララスだった。するとアスリーナは優秀だから、お似合いだと言われて、叶うのではないかと思うようになった。

 だが、叶わなかった。分かっている、分かっているが、近付いてしまった分、現実を見たくなかった。

「でも、叔母様が……」
「不正をしていた叔母様ね、問題を大きくした叔母様」
「それは……」
「断られてあなたが諦めれば良かった、叔母様も現実を見れば良かった」

 サミラにスチュワートのことを諦めろと、モルゾフ王国に行くまでは言われることはなかったが、話すことは恥ずかしさもあってしなかった。

 だが、どこかあなたには無理だと思われているように感じていた。

「モルゾフ王国に謝罪に行った際に、二代に渡ってと言われたんだ。その時に気付くべきだった」
「二代って……」
「おそらくララスは元よりモルゾフ王国の王家によく思われていなかったんだよ。そんな奴が持って来た縁談など受けるわけがないだろう」

 ジュージはウィンラーのこともだが、今さら聞く気もないが、シュリリー元王女とも何かあったのではないかと思っていた。

「そんな!叔母様は……」

 アスリーナもララスから「私は王太子妃なのだから大丈夫よ」としか言われていないことに気付き、それ以上言葉が続かなかった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日も1日2回、投稿させていただきます。
次はいつもの17時です。

そろそろ大きく動く予定です。
もう少しお待ちください。

よろしくお願いいたします。
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