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告発
「レイピアの責任ではないわ、大人の責任よ」
「でも……」
「レイピアは何も悪くない。そんなこと言ったらブルーベルが悲しむわ。子どもに責任を取るように言うなんて、大人として最低のことよ」
彼女はレイピアの肩を抱きしめ、頭を撫でいた。リファスも「絶対に違うから」とレイピアを慰めていた。
呆然とするコレドールに、彼女はしっかりと伝えることにした。
「私はブルーベルを近くで見ていたものだと思ってください。ブルーベルはまた子どもを産ませようと考えた時に、ブルーベルは人ではなくなりたいと思っていたのです。出産後に一度、今のような状態になりました」
コレドールは何と言えばいいのか、両親に言われたからと言い訳する言葉が出て来そうになったが、グッと堪えた。
「でも、子どもが責任を感じてしまうと思い、どうにか戻ったのです。本当は自分のことより相手のことを考えられる優しい子だから……」
彼女はブルーベルの顔だが、ブルーベルが子で思う母のような口振りで、優しい表情をしていた。
「そう、そうだったのか……叫び続けて……いたな」
陣痛の時にブルーベルの初めて聞くあまりに大きな声に驚いたことを思い出し、あの時だったのかと一致していた。
「子どもを産ませる側妃だったとしても、心を壊していても、人間なのです」
「すまない……」
レイピアに話さなくてもいいのではないかと思ったが、聞き終えれば子どもたちには聞く権利があると思った。
「レイピアにも、リファスにも何の責任もない。すべては私の責任だ。本当に申し訳なかった」
コレドールはブルーベルとリファスとレイピアに向かって頭を下げた。リファスとレイピアは何も言わなかったが、彼女は答えた。
「私に謝ってもブルーベルには伝わりません。目覚めた時に謝ってください」
「分かった、必ずそうさせてもらう」
リファスとレイピアも頷いており、謝るのはブルーベルだと言いたかったのだろうと思った。
「聞きたいのだが、記憶はどうなっているのだろうか」
「私はブルーベルの記憶を把握していますが、ブルーベルは把握していません。ですから、動くとしても眠っている時だけです。でないと記憶がない部分ができてしまいますから」
「だから、今は眠っていると……」
記憶がないことを不思議に思って、彼女の存在に気付かれることを避けたいのだろうと理解した。
「会話は理解していたのだろうか?」
「耳には入っているけど、心には届いていないような感じです」
「そうか……」
モモリが上手く誘導すれば伝わることから聞こえてはいるのだろうと思っていたが、感じないような状態なのだろう。
「ミジュリー妃の言葉が良くなかったのだな」
「はい、ミジュリー殿下が言ったことも良くなかったと思います。あの方の声はブルーベルには、苦しみを思い出すきっかけになってしまったのです」
「会わせなければよかった……」
今さらどうにもならないことだが、深く後悔することになった。
「ミジュリー妃はいつもあの調子だったのだろう?」
「そうです、あの方はエースト殿下のためにと焦っていたのでしょう」
コレドールも焦っている様子は確かにあったが、それほどまでに婚約が決まらないのだろうとしか思っていなかった。そして、ふとブルーベルについて気になることがあった。
「聞きたいのだが、ブルーベルは不器用だと言われていたのは事実なのか?公務は君が行っていたわけではないのだよな?」
「私はしておりません。不器用だと言われていたのは圧を与えるのです、だから緊張してミスをしていただけです。公務にミスはないでしょう?」
「ああ、おかしいと思っていた」
ブルーベルの公務はきちんとできており、ミスもなかった。足りないことが一度あったが、こちらが資料を渡していなかっただけであった。
「でも……」
「レイピアは何も悪くない。そんなこと言ったらブルーベルが悲しむわ。子どもに責任を取るように言うなんて、大人として最低のことよ」
彼女はレイピアの肩を抱きしめ、頭を撫でいた。リファスも「絶対に違うから」とレイピアを慰めていた。
呆然とするコレドールに、彼女はしっかりと伝えることにした。
「私はブルーベルを近くで見ていたものだと思ってください。ブルーベルはまた子どもを産ませようと考えた時に、ブルーベルは人ではなくなりたいと思っていたのです。出産後に一度、今のような状態になりました」
コレドールは何と言えばいいのか、両親に言われたからと言い訳する言葉が出て来そうになったが、グッと堪えた。
「でも、子どもが責任を感じてしまうと思い、どうにか戻ったのです。本当は自分のことより相手のことを考えられる優しい子だから……」
彼女はブルーベルの顔だが、ブルーベルが子で思う母のような口振りで、優しい表情をしていた。
「そう、そうだったのか……叫び続けて……いたな」
陣痛の時にブルーベルの初めて聞くあまりに大きな声に驚いたことを思い出し、あの時だったのかと一致していた。
「子どもを産ませる側妃だったとしても、心を壊していても、人間なのです」
「すまない……」
レイピアに話さなくてもいいのではないかと思ったが、聞き終えれば子どもたちには聞く権利があると思った。
「レイピアにも、リファスにも何の責任もない。すべては私の責任だ。本当に申し訳なかった」
コレドールはブルーベルとリファスとレイピアに向かって頭を下げた。リファスとレイピアは何も言わなかったが、彼女は答えた。
「私に謝ってもブルーベルには伝わりません。目覚めた時に謝ってください」
「分かった、必ずそうさせてもらう」
リファスとレイピアも頷いており、謝るのはブルーベルだと言いたかったのだろうと思った。
「聞きたいのだが、記憶はどうなっているのだろうか」
「私はブルーベルの記憶を把握していますが、ブルーベルは把握していません。ですから、動くとしても眠っている時だけです。でないと記憶がない部分ができてしまいますから」
「だから、今は眠っていると……」
記憶がないことを不思議に思って、彼女の存在に気付かれることを避けたいのだろうと理解した。
「会話は理解していたのだろうか?」
「耳には入っているけど、心には届いていないような感じです」
「そうか……」
モモリが上手く誘導すれば伝わることから聞こえてはいるのだろうと思っていたが、感じないような状態なのだろう。
「ミジュリー妃の言葉が良くなかったのだな」
「はい、ミジュリー殿下が言ったことも良くなかったと思います。あの方の声はブルーベルには、苦しみを思い出すきっかけになってしまったのです」
「会わせなければよかった……」
今さらどうにもならないことだが、深く後悔することになった。
「ミジュリー妃はいつもあの調子だったのだろう?」
「そうです、あの方はエースト殿下のためにと焦っていたのでしょう」
コレドールも焦っている様子は確かにあったが、それほどまでに婚約が決まらないのだろうとしか思っていなかった。そして、ふとブルーベルについて気になることがあった。
「聞きたいのだが、ブルーベルは不器用だと言われていたのは事実なのか?公務は君が行っていたわけではないのだよな?」
「私はしておりません。不器用だと言われていたのは圧を与えるのです、だから緊張してミスをしていただけです。公務にミスはないでしょう?」
「ああ、おかしいと思っていた」
ブルーベルの公務はきちんとできており、ミスもなかった。足りないことが一度あったが、こちらが資料を渡していなかっただけであった。
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