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贈り物
「先生、どうするのがいいと思いますか?」
「これまで通りがいいと思います。ブルーベル様から何があったのか訊ねることはないとすれば、どう思ってらっしゃるか、聞ければ一番いいですね」
「可能でしょうか?」
「目覚めてみないと分かりません……」
フェイリアは彼女を見つめたが、今までと違って自信なさそうな声であった。
「今までなかったことですものね。念のためにモモリに毎朝確認をしてもらって、目覚めることを願うしかないかもしれないわね」
モモリはフェイリアに向かって頷き、視線が合う時点でブルーベルと彼女は違うが、黙っていれば見た目にはどちらかは分からない。
「目を覚ます感覚は分かりますか」
「はい、それは感じることができますので可能です」
「それならば、維持しながら目覚めること待つのがいいかと私は考えます」
意識を失って、眠ったままとなれば衰弱する一方だろう。それならば、ブルーベルが目覚めるまで、彼女が維持をする方がいい。
「ではこのまま、様子を見ながらにいたしましょう。何か希望があったらモモリに伝えてもらって、お兄様が対応する。もしも、解離性同一性障害のことで何かあったら私にすぐ連絡を」
「分かった」
「ありがとうございます、感謝いたします」
「いいえ」
フェイリアがまとめてこれからのことが決まると、扉が叩かれてモモリがひょっこりと確認をすると、リファスとレイピアであった。
「どうぞお入りください」
「叔母様いらしてくださったのですね」
「ごきげんよう」
リファスとレイピアはフェイリアが到着したことにホッとした。
「飛んで来たわ」
「「ありがとうございます」」
まさか子どもたちが知っているとは思っていなかったが、二人がブルーベルを心配したり、嫌な印象を感じなかったのは彼女のおかげだったのだろう。
それはフェイリアにとってはとても嬉しいことだった。
「いい万年筆があったか?」
「はい」
コレドールが二人に声を掛け、フェイリアは何かと思ったが、二人は彼女の元へ向かい、リボンの掛かった箱を渡した。
「お母様、レイピアと選びました」
「気に入っていただけるといいのですけど」
「ありがとうございます、とても嬉しいです」
フェイリアは何か分からなくとも、リファスとレイピアと彼女の嬉しそうな様子にまた涙が零れそうになった。
「開けてもいいかしら?」
「「はい」」
彼女はリボンを解いて、箱を開けるとグリーンとイエロのグラデーションになった万年筆だった。
「まあとっても素敵。グリーンがリファスで、イエローがレイピアね」
「正解です」
「とっても綺麗でしょう?」
二人は回しながら万年筆を見る彼女に、幼子のようにはしゃいでいた。
「ええ、これで頑張れそうだわ」
「良かったです」
「お母様、ちょっと書いてみてください」
「そうね」
三人はキャッキャと何か書く物を探しに行き、モモリもその様子を見て目尻を拭っていた。コレドールは事情が分からないフェイリアとコロメ医師に説明をすることにした。
「彼女はブルーベルとは字が変わってしまうらしくてな」
「ああ、そうなるのね」
コロメ医師も書く人格が違うのだから、そうだなと頷いた。
「似てはいるそうなのだが、念のために万年筆を変えたということにしようということになり、あの子たちが選びたいと言って、頼んだんだ」
「そう……とても良いわね」
今までプレゼントをしたくても、お互いできなかったことが叶って、ただただ微笑ましい気持ちだった。
「書きやすいわ、ブルーベルより綺麗に書けないからから恥ずかしいんだけど」
「そんなことないですよ」
「私の名前も書いてみてください」
「そうね」
レイピアとリファスの名前を書き、二人は自分たちの選んだ万年筆でお母様が自分たちの名前を書いてくれることが嬉しかった。
「これまで通りがいいと思います。ブルーベル様から何があったのか訊ねることはないとすれば、どう思ってらっしゃるか、聞ければ一番いいですね」
「可能でしょうか?」
「目覚めてみないと分かりません……」
フェイリアは彼女を見つめたが、今までと違って自信なさそうな声であった。
「今までなかったことですものね。念のためにモモリに毎朝確認をしてもらって、目覚めることを願うしかないかもしれないわね」
モモリはフェイリアに向かって頷き、視線が合う時点でブルーベルと彼女は違うが、黙っていれば見た目にはどちらかは分からない。
「目を覚ます感覚は分かりますか」
「はい、それは感じることができますので可能です」
「それならば、維持しながら目覚めること待つのがいいかと私は考えます」
意識を失って、眠ったままとなれば衰弱する一方だろう。それならば、ブルーベルが目覚めるまで、彼女が維持をする方がいい。
「ではこのまま、様子を見ながらにいたしましょう。何か希望があったらモモリに伝えてもらって、お兄様が対応する。もしも、解離性同一性障害のことで何かあったら私にすぐ連絡を」
「分かった」
「ありがとうございます、感謝いたします」
「いいえ」
フェイリアがまとめてこれからのことが決まると、扉が叩かれてモモリがひょっこりと確認をすると、リファスとレイピアであった。
「どうぞお入りください」
「叔母様いらしてくださったのですね」
「ごきげんよう」
リファスとレイピアはフェイリアが到着したことにホッとした。
「飛んで来たわ」
「「ありがとうございます」」
まさか子どもたちが知っているとは思っていなかったが、二人がブルーベルを心配したり、嫌な印象を感じなかったのは彼女のおかげだったのだろう。
それはフェイリアにとってはとても嬉しいことだった。
「いい万年筆があったか?」
「はい」
コレドールが二人に声を掛け、フェイリアは何かと思ったが、二人は彼女の元へ向かい、リボンの掛かった箱を渡した。
「お母様、レイピアと選びました」
「気に入っていただけるといいのですけど」
「ありがとうございます、とても嬉しいです」
フェイリアは何か分からなくとも、リファスとレイピアと彼女の嬉しそうな様子にまた涙が零れそうになった。
「開けてもいいかしら?」
「「はい」」
彼女はリボンを解いて、箱を開けるとグリーンとイエロのグラデーションになった万年筆だった。
「まあとっても素敵。グリーンがリファスで、イエローがレイピアね」
「正解です」
「とっても綺麗でしょう?」
二人は回しながら万年筆を見る彼女に、幼子のようにはしゃいでいた。
「ええ、これで頑張れそうだわ」
「良かったです」
「お母様、ちょっと書いてみてください」
「そうね」
三人はキャッキャと何か書く物を探しに行き、モモリもその様子を見て目尻を拭っていた。コレドールは事情が分からないフェイリアとコロメ医師に説明をすることにした。
「彼女はブルーベルとは字が変わってしまうらしくてな」
「ああ、そうなるのね」
コロメ医師も書く人格が違うのだから、そうだなと頷いた。
「似てはいるそうなのだが、念のために万年筆を変えたということにしようということになり、あの子たちが選びたいと言って、頼んだんだ」
「そう……とても良いわね」
今までプレゼントをしたくても、お互いできなかったことが叶って、ただただ微笑ましい気持ちだった。
「書きやすいわ、ブルーベルより綺麗に書けないからから恥ずかしいんだけど」
「そんなことないですよ」
「私の名前も書いてみてください」
「そうね」
レイピアとリファスの名前を書き、二人は自分たちの選んだ万年筆でお母様が自分たちの名前を書いてくれることが嬉しかった。
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