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里帰り19
「違うのですか?エズリラ侯爵家は六侯爵家の一番下でしたからね。近年は王家に嫁ぐこともなく、降爵を噂されることもあったではありませんか」
エズリラ侯爵家はずっと侯爵家の底辺であった。
歴史が古いのならまだ価値があったかもしれないが、先祖が評価されて陞爵されたが、その後に問題を起こすこともあった。
「そのようなことはない!」
「だから、王家には絶対に従うのですよ」
「ブルーベル!いい加減なことを言うな」
「そうですか?筆頭侯爵家になって、馬鹿にされていた周りを見返してやりたいのですよね?」
ブルーベルはセイジーにもリスリーにも、本当はスルトの婚約者ではなく、エーストの婚約者にして、王太子妃にさせたかったと言われたこともある。
「馬鹿になどされていない!お前にエルゲリータ王国の何が分かる!」
「ええ、分かりませんよ。関係を築いていないのですから、それなのに縁談の口添えを通そうなどおかしいでしょう?」
「おかしくはない!母国に貢献することは当然だろう!」
「また当然ですか……」
当然、当然と続けるセイジーにブルーベルもそろそろいいかと判断した。
「家族から放置され、スルト殿下と婚約してからは、王子妃教育で体罰を受けるようになって、自分たちも行っても見付からないと思いましたよね?視界に入って腹が立った、話し掛けて来て苛立った。そんな理由で見えないところを叩いたり、殴ったり、これは当然ですか?」
「っな!そんなデタラメを言うな!」
「そうよ!あなた、何でも言っていいわけではないわ」
セイジーは机を叩き、黙っていたリスリーも声を上げた。
「流石に叩いたり殴った傷はもうありませんが……お父様が突き飛ばして、切れた傷が頭に。お兄様が足を引っ掛けて、皮膚が抉れた時の傷が太腿にございます。お母様は頬を叩く程度でしたが、甲高い声で喚き散らしておりましたよね?私がおかしくなってからは気味が悪いと近付いて来なくなって、静かで良かったです」
ブルーベルは穏やかな昔のような微笑みで、淡々と話して聞かせた。
「お前……」
セイジー、アーサー、リスリーはブルーベルに言われたショックなどではなく、コレドールにどう思われるかを考えており、彼のほうを見れなかった。
コレドールも傷については聞いてはいなかったが、デタラメではないことは分かるために動揺することはなかった。
「コレドール殿下、誤解しないでください!今、ブルーベルの話したことは大袈裟に話しているだけですので、本気にしないでください。この子がおかしいのは殿下もご存知でしょう?」
だが、セイジーはこのまま誤解されることもできないと、説明をすることにした。
「ええ、心を壊しているのは分かっております」
コレドールも何も分かっておらず、今も誇れる立場ではないが、それでも目の前の三人よりは理解しているだろうという自信はあった。それよりも心を壊した娘に、おかしいと言える神経を疑う。
「そうです。ですので、混乱しているのでしょう。少しそのようなことはあったかもしれませんが、ブルーベルは不器用で、そうです。スルト殿下とも上手くいかなかったことで、厳しくしただけなのです」
それも結局は筆頭侯爵家になりたいからに繋がるのではないかと思う。
「それは言い訳ですか?」
「違います!」
「この子はおかしいのです!」
リスリーはブルーベルが言ったような金切り声で叫んだ。
「でしたら、お子様には平等に行われたと言うことですか?」
「いえ、ですので、この子だけが殿下にお伝えするのもお恥ずかしい話ですが、出来が悪かっただけでございます」
「面白いものですね」
「っえ?」
コレドールが笑ったことで、ホッとすることはなく、セイジーはどういうことだろうかと不安になった。
エズリラ侯爵家はずっと侯爵家の底辺であった。
歴史が古いのならまだ価値があったかもしれないが、先祖が評価されて陞爵されたが、その後に問題を起こすこともあった。
「そのようなことはない!」
「だから、王家には絶対に従うのですよ」
「ブルーベル!いい加減なことを言うな」
「そうですか?筆頭侯爵家になって、馬鹿にされていた周りを見返してやりたいのですよね?」
ブルーベルはセイジーにもリスリーにも、本当はスルトの婚約者ではなく、エーストの婚約者にして、王太子妃にさせたかったと言われたこともある。
「馬鹿になどされていない!お前にエルゲリータ王国の何が分かる!」
「ええ、分かりませんよ。関係を築いていないのですから、それなのに縁談の口添えを通そうなどおかしいでしょう?」
「おかしくはない!母国に貢献することは当然だろう!」
「また当然ですか……」
当然、当然と続けるセイジーにブルーベルもそろそろいいかと判断した。
「家族から放置され、スルト殿下と婚約してからは、王子妃教育で体罰を受けるようになって、自分たちも行っても見付からないと思いましたよね?視界に入って腹が立った、話し掛けて来て苛立った。そんな理由で見えないところを叩いたり、殴ったり、これは当然ですか?」
「っな!そんなデタラメを言うな!」
「そうよ!あなた、何でも言っていいわけではないわ」
セイジーは机を叩き、黙っていたリスリーも声を上げた。
「流石に叩いたり殴った傷はもうありませんが……お父様が突き飛ばして、切れた傷が頭に。お兄様が足を引っ掛けて、皮膚が抉れた時の傷が太腿にございます。お母様は頬を叩く程度でしたが、甲高い声で喚き散らしておりましたよね?私がおかしくなってからは気味が悪いと近付いて来なくなって、静かで良かったです」
ブルーベルは穏やかな昔のような微笑みで、淡々と話して聞かせた。
「お前……」
セイジー、アーサー、リスリーはブルーベルに言われたショックなどではなく、コレドールにどう思われるかを考えており、彼のほうを見れなかった。
コレドールも傷については聞いてはいなかったが、デタラメではないことは分かるために動揺することはなかった。
「コレドール殿下、誤解しないでください!今、ブルーベルの話したことは大袈裟に話しているだけですので、本気にしないでください。この子がおかしいのは殿下もご存知でしょう?」
だが、セイジーはこのまま誤解されることもできないと、説明をすることにした。
「ええ、心を壊しているのは分かっております」
コレドールも何も分かっておらず、今も誇れる立場ではないが、それでも目の前の三人よりは理解しているだろうという自信はあった。それよりも心を壊した娘に、おかしいと言える神経を疑う。
「そうです。ですので、混乱しているのでしょう。少しそのようなことはあったかもしれませんが、ブルーベルは不器用で、そうです。スルト殿下とも上手くいかなかったことで、厳しくしただけなのです」
それも結局は筆頭侯爵家になりたいからに繋がるのではないかと思う。
「それは言い訳ですか?」
「違います!」
「この子はおかしいのです!」
リスリーはブルーベルが言ったような金切り声で叫んだ。
「でしたら、お子様には平等に行われたと言うことですか?」
「いえ、ですので、この子だけが殿下にお伝えするのもお恥ずかしい話ですが、出来が悪かっただけでございます」
「面白いものですね」
「っえ?」
コレドールが笑ったことで、ホッとすることはなく、セイジーはどういうことだろうかと不安になった。
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