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エルゲリータ王国・王家5
エーストとミジュリーは謁見室に案内され、そこには既にスルトとマリージュとアリーシャ、さらにはミレックとジーラスもおり、国王・キールスと王妃・リュエンザと向き合って座っていた。
「ジーラス……」
一体、何の話だろうかと思い、宰相にも尋ねたが何も教えてくれなかった。
「エーストとミジュリーも座りなさい」
「は、はい」
「はい……」
エーストとミジュリーは緊張感のある雰囲気に恐る恐るスルトとマリージュの横に座り、コレゼリト公爵は国王夫妻の横に立っている。
「揃ったな。エースト、呼び出された理由は分かっているな?」
「い、いえ、分かりません」
キールスが問い掛けたが、エーストに心当たりはなかった。むしろ、ジーラスがいることから、何かしたのではないかと考えていた。だがそうなると、どうしてスルトたちまで呼ばれているのかが分からない。
「モルゾフ王国から使者がいらした」
「っえ」
どうしてキールスのところへ来たのか、間違えたのかと慌てた。
「オペリーク王国からも苦情が届いている。ミジュリーへもだ」
「それは相手がブルーベルということで言い過ぎた部分はありますが、あちらも大袈裟に言われているのだと思います。それよりもモルゾフ王国はどうして父上に……」
オペリーク王国からは苦情が入るとは思ったが、それよりもモルゾフ王国のことが気になって堪らなかった。
「私が国王だからだが?」
「そ、それはそうですが……」
「モルゾフ王国もオペリーク王国もエースト、ミジュリーにお怒りだ。どう責任を取るつもりだ?」
「モルゾフ王国には断られたのですか?」
「そうだが?」
エーストはまさか既に自分の知らないところで断られていたとは考えてもおらず、ミジュリーも状況が悪かったが、何を言えばいいのか分からなかった。
「考えるなどではなく……?」
「考えるまでもないだろう。アリーシャの婚約の申し込みについては既に断られ、終わった話だったはずだが?」
「っえ」
アリーシャは自分の婚約だと言われて、思わず声が出たが、すぐにマリージュが片手で彼女の口を押えて首を振った。
「私は再度婚約を申し込むなど聞いていない。違うか?」
「ブルーベルにアリーシャの推薦状をもらったのです」
マリージュは思わずエーストを睨み付けたが、エーストは気付かなかった。
「父上に話す前にモルゾフ王国へ使者を送ったことは申し訳ないと思っています。ですが、スチュワート王太子殿下の婚約が決まる前にと思い、急いでしまいました。申し訳ございませんでした」
エーストはキールスとリュエンザに向かって深く頭を下げた。
「ミジュリーは知っていたのか?」
「はい、申し訳ございません」
「スルトは?」
「いえ、知りませんでした」
「マリージュは?」
「知りませんでした」
「そうか」
エーストは決まってから、スルトを驚かせようと考えていたために、弟にも伝えていなかった。
「推薦状は意味がなかったのでしょうか……?」
エーストはしおらしい態度でキールスに問い掛けた。
「そもそも、スチュワート王太子殿下の縁談の申し込みの権利とでも言うのかな、それがアリーシャにはない」
「それは、どういうことですか?」
「関わりもない国、会ったこともない、会ったことがある程度の相手からは考えることはないというのが近しい間では暗黙の了解になっているそうだ。それすらエーストは知らないのだから、届いた時点で相手が誰であれ断るということだよ」
コレドールはわざと伝えなかったが、ようやくエーストにもスチュワートの婚約には条件があったことが知らされた。
「ですが、こちらは王家です!」
王家の縁談を関わりがないからと断るのは、いくら素晴らしい方でも度が過ぎているとエーストは感じていた。
「ジーラス……」
一体、何の話だろうかと思い、宰相にも尋ねたが何も教えてくれなかった。
「エーストとミジュリーも座りなさい」
「は、はい」
「はい……」
エーストとミジュリーは緊張感のある雰囲気に恐る恐るスルトとマリージュの横に座り、コレゼリト公爵は国王夫妻の横に立っている。
「揃ったな。エースト、呼び出された理由は分かっているな?」
「い、いえ、分かりません」
キールスが問い掛けたが、エーストに心当たりはなかった。むしろ、ジーラスがいることから、何かしたのではないかと考えていた。だがそうなると、どうしてスルトたちまで呼ばれているのかが分からない。
「モルゾフ王国から使者がいらした」
「っえ」
どうしてキールスのところへ来たのか、間違えたのかと慌てた。
「オペリーク王国からも苦情が届いている。ミジュリーへもだ」
「それは相手がブルーベルということで言い過ぎた部分はありますが、あちらも大袈裟に言われているのだと思います。それよりもモルゾフ王国はどうして父上に……」
オペリーク王国からは苦情が入るとは思ったが、それよりもモルゾフ王国のことが気になって堪らなかった。
「私が国王だからだが?」
「そ、それはそうですが……」
「モルゾフ王国もオペリーク王国もエースト、ミジュリーにお怒りだ。どう責任を取るつもりだ?」
「モルゾフ王国には断られたのですか?」
「そうだが?」
エーストはまさか既に自分の知らないところで断られていたとは考えてもおらず、ミジュリーも状況が悪かったが、何を言えばいいのか分からなかった。
「考えるなどではなく……?」
「考えるまでもないだろう。アリーシャの婚約の申し込みについては既に断られ、終わった話だったはずだが?」
「っえ」
アリーシャは自分の婚約だと言われて、思わず声が出たが、すぐにマリージュが片手で彼女の口を押えて首を振った。
「私は再度婚約を申し込むなど聞いていない。違うか?」
「ブルーベルにアリーシャの推薦状をもらったのです」
マリージュは思わずエーストを睨み付けたが、エーストは気付かなかった。
「父上に話す前にモルゾフ王国へ使者を送ったことは申し訳ないと思っています。ですが、スチュワート王太子殿下の婚約が決まる前にと思い、急いでしまいました。申し訳ございませんでした」
エーストはキールスとリュエンザに向かって深く頭を下げた。
「ミジュリーは知っていたのか?」
「はい、申し訳ございません」
「スルトは?」
「いえ、知りませんでした」
「マリージュは?」
「知りませんでした」
「そうか」
エーストは決まってから、スルトを驚かせようと考えていたために、弟にも伝えていなかった。
「推薦状は意味がなかったのでしょうか……?」
エーストはしおらしい態度でキールスに問い掛けた。
「そもそも、スチュワート王太子殿下の縁談の申し込みの権利とでも言うのかな、それがアリーシャにはない」
「それは、どういうことですか?」
「関わりもない国、会ったこともない、会ったことがある程度の相手からは考えることはないというのが近しい間では暗黙の了解になっているそうだ。それすらエーストは知らないのだから、届いた時点で相手が誰であれ断るということだよ」
コレドールはわざと伝えなかったが、ようやくエーストにもスチュワートの婚約には条件があったことが知らされた。
「ですが、こちらは王家です!」
王家の縁談を関わりがないからと断るのは、いくら素晴らしい方でも度が過ぎているとエーストは感じていた。
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